要約力を鍛える!小学生のための「お話プレゼン」

そいる塾長
そいる塾長

ご無沙汰しております、そいる塾長です。

夏期講習で忙殺されておりました上、お盆休み中に体調を崩してしまい、結果ブログを書く時間も気力もありませんでした^^;
ということで本日は久々に、SOILの小学生向け夏期講習の狙いのひとつである「要約力」についてのお話です。

小学生の朝学習

SOILの未来を背負う小学生のみなさんには、かなりSOIL色強めなカリキュラムで算数や国語に取り組んでもらっておりまして、もっともっとこのブログで紹介していきたいところではあります。

夏休みにおこなった朝学習でも色々とやったのですが、それについてはまた次回にでも書くとして今回はその中でも私が重視した狙いの一つをご紹介します。

私はなぜか小学生の「夏期講習(非受験)」に関してはどうしても通常期とは違うイベント性というか非日常性を持たせたいと考えています。

小学生です。受験するわけでもないんです。本来なら塾に来るよりももっとやるべきことがある、なんて言ったら怒られるかもしれませんが、私は通常期に行っているような授業をするためだけなら小学生に夏期講習は不要だなと考えています。

しかし同時に通常期にはなかなか行えないことができるのも夏休みなんですよね。学校の宿題の自由研究や読書感想文もそう。ああいった課題の出し方にはいろいろと思うところがあるのですが、あれらも同じく非日常性を帯びた学びだなと。

そういうものにはそういうものなりの良さもあると思うのです。それがああいった課題の出し方をするせいでただの面倒なタスクになってしまうのはもったいない。

同じようにせっかく夏休みに塾へ来るなら、いつもより少しでもいいから勉強を楽しく感じてもらいたい。この楽しさはやはり勉強に対する能動性のきっかけになります。そしてそれを夏休み明けの通常授業にもつなげていきたい。そんな思いですね。

ということでSOILの小学生の夏休みはちょっとそんな非日常性を持たせながら、ただし遊ばせるわけでは決してなく、あくまで通常期からの授業のターゲットを補完するようなもの(つまり決して遊ばせるわけではない)を行いたいと思っているわけです。

そんな変な縛りを勝手に設けてやっているのが小学生の朝学習会(笑)

こんなことできるのは本当に小学生の時だけなんでね。

ということで何やるべきかは本当に悩むわけですが、そんなことを前提に講習内容についてアレコレ考えているとき、Twitterで目に飛び込んできたのが以下で紹介する市販の教材でした。

おはなし推理ドリル

それがこの「おはなし推理ドリル」シリーズです。

科学や歴史といった小学以降で学ぶような内容に関するもので全6種。

対象は小学4~6年生向けとなっていますね。本を開くと上部に文章、下に問題というように一見国語の問題集のように見えますが、といっても国語の勉強用…ではないかな。残念ながらこれをやったところで国語の成績云々にはあまり影響しないと思います^^;

しかし表紙から漂う非日常感が半端ない(笑)

そしてその構成が通常期の学習を補完するうえで私の狙いとぴったり合致するのでは!?と思わせてくれる内容。ということでこの教材を使って講習を行うことを即断しました。

さて、ここからは少しこの教材の中身に触れながら私がこの夏休みに狙ったことについて書いていきますね。

国語嫌いはまず文章を読まない

これが一つです。

実は春から小学生にはよくある国語のテキストを用いた、いわゆる読解というような授業をしていません。文章を読んで問題に答えるというやつですね。

模試のテスト結果や授業での様子を見てまずやるべきことがあるなという判断です。

ということで今は全員一文一文を正確に読むということを国語の授業では重視して取り組んでもらっているわけですが、その内容は今回置いておいて、とにかく国語嫌いが集まってきた印象があったので夏はできる限り能動的に”読む”ものを用意したかったというのがあります。

案の定、何人かの生徒はタイトルだけでかなりの食いつき。「推理」という言葉に反応したようです。

その点では生徒たちが忌避するいわゆる「国語」感を感じることなく取り組めたかなと。

しかしこの「推理」というキーワードに私が反応したのはそのキャッチ―さ故という理由だけではありません。

「お話プレゼン」がやりやすい

これが今回の記事で一番書きたかった内容(前置きが長くなりました^^;)

私が国語を学ぶ上で絶対に必要だと考えていて、特に小学生のうちに伸ばしたいと考えているものが「要約する力」です。

要約の重要性は今更書く必要もないのですが、どうしても国語の授業中に扱った文章の要約を「文章」という形でまとめさせるとなると小学生にとって最初は非常にハードルが高い。

いや高校生でも難しいのです。

要約文をサクッと書ける、というだけでもうそれはかなり高度な学力を兼ねそろえているといっても問題ないでしょう。

ということで小学生だろうが高校生だろうが、私は要約の入門として、読んだ内容を口頭で説明してもらう「お話プレゼン」を行います。

プレゼンといっても要約文をなんかのスピーチコンテストのように発表するんじゃありませんよ。

それでは書くことよりも難しい^^;

ポイントは会話。

わたしとの対話のなかで要約に必要な情報を拾いながら読んだ内容について説明していってもらいます。

一方向ではなく双方向、つまり対話する中で私が要約に必要とされる要素について質問していきそれに生徒が答えるという形式です。

例えば「浦島太郎」をお話プレゼンするとなると…

そいる塾長
そいる塾長

どんなお話やった?

生徒
生徒

竜宮城へ行く話

そいる塾長
そいる塾長

なんやねん、竜宮城って?

生徒
生徒

海の中にあるねん。

そいる塾長
そいる塾長

なんでそんなとこ行くことになるの?

生徒
生徒

カメ助けたから。

そいる塾長
そいる塾長

なんでカメ助けたら海底都市に行くことになるの?

こんな感じです(笑)

要約ができない子供たちは基本的に「何」が要約に必要かが分からない。

何も情報が出てこない子から、テキストや本を開き、最初の一文目から朗読し始める子までいる。

相手に読んだ内容を伝える際にどの情報が必要でどの情報が不要か、いや情報の必要性の優劣の判断ができないわけです。

つまり情報分析とその活用ができない。

だから対話で要約に必要な情報を引き出してあげる。それによりどのような情報をどのような流れで説明すると正しく情報が伝わるのか(論理的な流れ)という感覚を体験させたいんですよね。

それに慣れてくると自分で質問を先読みして子どもたちの方から情報を出してくるようになります。

なおまたどこかで書きますが小6クラスで行っている「読書会」もこのお話プレゼンがメインです。

言うまでもありませんが、ここで求められる力は単に要約やプレゼンのように人に伝えること「以外」にもとても重要な力です。私の狙いも決して「プレゼン力」向上にあるわけではないです。

単純に何かを読んだ際(もちろん見たり聞いたりした際にもですが)に、得た情報に対してどのようにシンプルにわかりやすく情報を脳内に格納する=理解する力というのは勉強の基本

つまりはテキストを読んだり、授業を受けたりした際にどれだけ頭に残せるか、というのを安易に「記憶力」なんて言葉で片付けてはいけないように思います。

そしてさらに正しくインプットされた情報をどのようにアウトプットするか。それが情報の活用力の基礎となる。

そのための練習を私は「要約」、今回の小学生で言えばこの「お話プレゼン」で行いたいのですね。

その点、この「おはなし推理ドリルは事件編と推理編で構成されており(なかには一つになってているお話しもありますが)、「どんな事件」で「誰が犯人か」という要約で伝えるべきポイントがわかりやすいのと、ひとつのお話が見開き2ページ(1ページのお話もあります)でコンパクトなので練習にはぴったりでした。

そして何より「推理」というものについて説明するためにはしっかり論理的に話を組み立てないといけません。私が「推理」という言葉に反応したのはこのためです。

時間の制約もあり、なかなか全員のプレゼンをすべて聞いてあげられなかったですが、それでもこの夏、人に自分の読んだ内容を説明する機会はやはり作ってよかったなと。

本当にみんな下手なんで(笑)

今回の授業でいきなり要約できるようになるなんていう夢のようなお話ではありませんが、その入門としてはある程度うまくいったかもしれません。

この春、体験授業の際に国語のテキストの本文を同じように口頭で要約させようとしたことがありました。その際、机から崩れ落ちる程、絶望的に嫌がっていた小4の男の子は、今回一番多く私のところへ来てお話プレゼンしてくれましたからね(*´▽`*)

要約力に関してはこれからの通常授業でも継続して意識していきたいところ。

常に授業中、与えた情報に対して生徒がどのように頭の中に格納したのかを確認しますし、算数の問題を解いた後、どのように解いたかを解説させるのもこの「お話プレゼン」と同じだと考えています。

そういう意味でもSOILの授業形式では対話型が重要になるわけです。

勉強内容に興味を持たせる

もうひとつこの教材をチョイスした狙い、それがこれから小中で学ぶ内容に興味を持ってもらうという点。

小学生の朝学習会は自由参加で集団個別式をとりました。それもあって今回は「お話推理ドリルシリーズ」全6種類のなかから生徒一人一人事前にどの教材を使いたいか希望を聞き、生徒の興味に合わせて教材をプレゼントしました。

結果「科学」と「歴史」が半々となったのですが、生徒に興味を持たせる、という点では全く時間が足りず…^^;

基本的には辞書はもちろん、スーパー理科辞典地図帳図説なんかを用意して気になるトピックスはアドバイスをもとに生徒自身で調べるようにさせたのですが、興味を持たせるという意味ではもう少し私の方でつっこんだ解説なんかができればもっと広がっただろうなと思う部分はあります。

歴史だと年表が載っていたり、科学だと解説部分に理科の教科書内容が載っていたりするのでそこをうまく使って知的関心を広げてあげられると犯人見つかったイェーイ!で終わらず面白いかなと。

この点では全員に同じ種類のものを持たせていれば集団授業形式にしておけばもう少し突っ込んだ内容まで指導できたかなとも思うのですが、全員バラバラに進む集団個別の限界でしたかね。

ある意味こちら(大人側)で広げてあげないと、「興味を持たせる」という点ではこの問題集は少し弱い気もします。例えば、単純に科学の力で犯人を見つけるといっても子どもたちが知っている知識だったり、そこまで科学の力を駆使しなくても犯人が見つかってしまったり(笑)

肝心の科学の部分にまで興味が行く前に犯人が見つかってしまうんですよね。

だから科学でも歴史でも、結局調べ物をするとなると「お話プレゼン」の際に私から質問された内容(本編の推理にはあまり関係ない内容)について突っ込んで調べるみたいな形になってしまいました。

例えば歴史だと、「壇之浦の戦い」が登場したので「壇之浦はどこにあるのか」を源平の戦況をこのおはなし推理ドリルで知ったうえで推測させてから地図帳で探させてみたり、これまた科学の方で満月の周期が推理のカギになるお話しで月の自転について考えさせてみたり。

ということでご家庭でお子さんに丸投げする場合、よほど自立した小学生でもなければそこまでの過度な期待は禁物ですが、こんな風にご家庭でも保護者さんが突っ込んであげると色々広がって面白いかもしれませんね。

まとめ

ということで以上、SOILの小学朝学習会で扱ってみた「お話推理ドリル」を用いた要約力の指導についてのご紹介でした。

時間的に教材全部は授業内で扱えませんでしたが、なかなか楽しんでいる様子で他のシリーズはもらえないかとせがんでくる子もいました。残りのお話も楽しみながら取り組んでもらえればうれしいですね。

とりあえず小4くらいからなら問題なく扱えると思いますので、国語が苦手な子に、というよりは6種類のテーマに興味がありそうならプレゼントしてみてはいかかでしょうか。

一緒に本屋さんに見に行くのもいいかもしれませんね。

そしてこの教材に限らず本を読んだらそれについて親子で会話。これこそが要約力を高めプレゼン力を鍛える秘訣だと思います。

ぜひご家庭でも「お話プレゼン」に挑戦してみてくださいね。

今日はこのへんで。