どうも、そいる塾長です。
読書会の目的:読書で”学ぶ力”の習得
さて、SOILでは「読書会」なるものをやっているわけですが、一体どんなことをやっているの?という方のためにちょこっとご紹介させていただきます。
読書会をやろうと思ったのは尊敬する神奈川県のカリスマ進学塾慧真館の岸本先生の影響。隔週で授業時間を延長してやるっていうスタイルはモロパクリw
ただTwitterやブログから読書会の雰囲気はつかめたものの「いったい何をやっているか」という中身については謎…。
ブログフェスなんかの関係で仲良くさせていただいているので直接聞けば良かったのですが、聞こう聞こうと思いながら結局聞けないまま見切り発車でとりあえずは自分が思うようにやってみることになったのですが、そしたらこないだ岸本先生が塾見学にお越しいただく機会がありまして今度こそちゃんと聞いてみると、うれしいことにほぼやっている内容が同じでした(#^^#)
これですね。
テレビだろうが、映画だろうが、YouTubeだろうが、ゲームだろうが。やっぱり同じ体験を共有できると面白い。
読書をする子としない子を分ける一番大きな要因は家族が読書をするかだと言われています。
そりゃそうです。子どもでなくとも、何かを知ったら誰かに伝えたい。感動は共有したい。
だから私や他の子どもたちと同じ本を読んで思い切りやりすぎぐらいに共有する体験をさせてあげたいなと。そうすることで読書をやらされるものからやりたくなるものへ、つまり能動的に読書をする習慣につながればと思っています。
このスタイルで読書会をやろうと思ったきっかけはこれ。
しかし、この方法にはまだまだたくさんの狙いがあります。それこそが「読書による”学ぶ力”の習得」です。
なおこれはSOILの指導理念である「学び方を学ぶ」ということに基づいた考えです。
本を読もうとは言うもののどうやって読めばいいかは教えてくれない。国語の問題の解き方は教えてくれるけれども読書をしているときの頭の動かし方は教えてくれない。
極めつけは書き方もおしえてくれないくせに読書感想文は書かされる^^;
だからこそ国語の授業とは別時間でまず第一に読書を楽しみながらも、そこで「どうやって読んでいけばいいのか」を自然と分かってもらうための時間にしたいなと思っています。
読書で学ぶ方法の習得①:要約する力
生徒に読書会をやるというと最初の反応は「えー( ゚Д゚)」というものでした。
しかし…
指定ページを読んできてもらって、その内容を私に教えてください。ちなみに私は読みませんのでお話の内容は知りません(*´з`)
というと目の色が変わるんですね。(なおこれも岸本先生と偶然にもやっていることが同じでした。)
その後聞いた話では、読書会について一番ブーブー言ってた子が家族で外食に行く際にも本を持っていき読んでいたらしく、指定ページを結局4回も読んできました。
そしてしゃべるしゃべる(*´▽`*)
今回、SOIL読書会2019第1シーズンに選んだ本は「2分間の冒険」
第1回では悟が異世界に飛ばされるところまで読んでくるよう指示したのですが、ひたすら30分間お話の内容について語ってくれました。
私がここで目的としているのは要約する力です。
文章を読んでその内容を簡潔にまとめる力です。これは言うまでもありませんが、単に入試問題で要約問題を解くためにあるわけではありません。
たくさんの情報から大切なポイントを識別して、シンプルな語と文構造で人にわかりやすく伝える形に整理するわけですから、自分自身が何かを学ぶ場合において、物事を頭で理解する際にとても大切になる能力です。
それを私との会話のなかでやっていくというのが最大の目的。
生徒は一生懸命お話してくれますが…正直ただひたすらに情報の羅列…。なんなら最初のページから暗唱しようとしていないか?というくらいにw
私は「2分間の冒険」に関しては大好きなのでもちろん実際には読んだことがありますし、ストーリーも承知しています。しかしあくまでストーリーを知らない人に教えないといけないので「(お話を知らない)私が知りたいのはそこじゃなくて」といって必要な情報をそうでない情報を分けていきます。
まずは3行でまとめるという制限を設けて、そこから私の質問に答える形で詳しい説明を付け加えていくという口頭でのやり取りで必要な情報とは何かということを知ってもらう。
もしくは肝心な情報が抜けていると「わかった!てことはその後〇〇になるんやろ!」といってわざと私が話をおかしな方向にもっていきます。そうすると「ちがう!ちがう~!」といって正しい情報をくれます。かわいいですよ(#^^#)
こうやって人に伝える際に情報の要不要や、プレゼンする順序などを自然と練習していってもらいました。
読書で学ぶ方法の習得②:クリティカルな視点を持つ
こうやってとりあえず第一シーズンは最後まで読み終えたわけですが、これで終わりにするのはもったいない。
ということで最後に生徒たちに「読書感想文」を書こうと言いますと…
絶対いやだ!
ま、こうなりますよね^^;
読書感想文への小学生たちの嫌悪感たるや…。
ということで、彼らが持っている読書感想文への固定概念をぶっ壊してやろうと…w
いきなり「二分間の冒険」でやるのは難しいので、何か昔話で練習してみることに。そして選ばれたのが「ウサギとカメ」w
これで要約→クリティカルな着眼点を探してみるという練習です^^;
ウサギとカメ
題材はウサギとカメ。
まずは要約。
- 足の遅いことをウサギにバカにされたカメがかけっこで競争をすることに。
- 大きくリードしていることに油断したウサギが昼寝をしている間にカメが先にゴールする
2行で書けますね。
で、読書感想文なのでこのエピソードから自分が感じたことを書けばいいわけです。
生徒にそれを尋ねてみると
- 油断大敵!
- コツコツ努力することが大切だ!
といった意見が出ました。
ありがち~(*´▽`*)
しかし今回の読書感想文の書き方講座のポイントはここから。
無茶ぶりですw
読書会であらすじをプレゼンしてもらっていても、本当に何が起きたかという事実をひたすら述べるだけで、そこに対する子どもたちの主観が出てこない。出来事を紹介するだけでそこで自分が考えたこと、感じたことが出てこない。
やはりそれでは「読んだ」ことにはならないと思うのです。
ということで、せっかくなので読書感想文というスタイルでこの「読んだ後色々考える」ということを訓練していきたいなと。
こんなことを生徒にはいきなり言っても分からないので今回は私が例をあげてみました。
それについては後述するとして、目的としては当然読書を通じて本から学びを得ることは当然ですが、それ以上に「読書で学ぶ方法の習得」です。
そのために現在は「読む」ことに重きを置くのではなく読んだ後に重きを置いています。
クリティカルな視点
クリティカルな視点というのはまず当たり前を疑ってみるということからスタートします。
ですのでまずはウサギ=×、カメ=〇という構造を疑う。
そうすると…
例えばこんな視点が生まれます。そうですね、カメは自信満々でウサギに勝負を挑みますが、完全にウサギの自滅で勝ちを拾っただけです。
もう一度やれば勝ち目はない。ウサギが昼寝をすることが事前にわかっていたのでなければただ運が良かっただけ。
しかしなぜカメはあんなに自信満々で苦手なかけっこで勝負を挑んだのか。これもウサギを油断させるため、つまりは昼寝を誘うための巧妙な罠!?なんて発想が。しかしそれでも確実に昼寝するなんてことはあり得ないわけです。
睡眠薬でも入れない限り。
ここで「ウサギとカメ」の物語を再度読み直してみましょう。一つ気になることがあるのです。
それがこのウサギとカメの勝負の審判。
「だれが場所をきめて、勝ったものにほうびを出すのですか」
と、カメはいいました。
「キツネが公平でりこうだから、あれにたのもう」
と、ウサギはいいました。
そこでキツネが、競争をはじめる合図をしました。
キツネ?キツネが公平?キツネと言えばこういう物語では決まって狡猾でずるがしこいイメージの動物。そんなキツネが公平?
もしや…
キツネとカメが裏で手を握り、ウサギに睡眠薬のポカリスエットでも飲ましたとすると…。
はい、めちゃくちゃ脱線しましたね^^;
しかし着眼点をかえて色々思考することで遊んでみる例としてこんなのを提示してみました。
そうすると生徒たちは爆笑しながら…
しかしここからが読書感想文の醍醐味。
…的な感じで書けば読書感想文ぽくなるわけですね。(先生目線ですがね)
今回はふざけましたが、生徒たちが持てない視点を提供するのが私の仕事ですからね。なんとかウサギとカメでも頑張ってみました^^;
読んで思考する。読書でも、映画でもテレビ番組でもなんならYouTubeでも、後味を楽しんで欲しいのです。面白かったねではなくそこから考えることをスタートしてほしい。
正直言って読書感想文なんてどうでもいいっ( `ー´)ノ
そこに目的はないんです。読書感想文で賞をとるためにいい子ぶる必要はなし。それよりも他の人はもっていない着眼点や自分の考えたことを論理的に説明し納得させる力を身に着けてほしい。
読書で学ぶ方法の習得③:アクティブラーニング
私が一方的に話すのではなく、私も含めて生徒同士がやいやい議論する感覚。
今流行りのアクティブラーニングですなw
この言葉が嫌いなのはやっている学校で成功しているところがほとんどないから。本当にごく一部の超ハイレベル高校くらいではないでしょうか。
上手くいかないのは、物理や世界史など基礎知識を学ぶ段階でやろうとするからかなと。まだ理解していないものでアクティブにラーニングしろと言っても無理じゃないかと。
こういうのは基礎知識を振り回せるようになってからやるものだと思うのです。つまり大学入ってからでいいんじゃないのっていうのが本音。
しかし、アクティブラーニングの理念自体が悪いわけじゃない。知識を与えられることに終始せず、こういう無から自分の考えを生み出していく練習はいくらでもしておいて損はない。
それこそ学びの本質だし、おもしろさでもあるからです。
だからだれでもできる読書会がいいんですよね。
もちろん将来小論文やエッセイを書く、そしてディスカッションをすることが多くなりそうなこの世代。少しはその準備が楽しくできたらなと思っています。
読書会は面白いものでないといけない。それはその「場」の空気だけではなく、その本自体の、そして読むことの面白さに子どもたちが気が付けるようにうまく持っていく必要があるのは間違いないでしょうね。
パワーを使いますがこれからも頑張っていきたいと思っております。
と、2分間の冒険について全く触れないままブログが終わろうとしていますが、その辺はそいる文庫でいつか書ければなと思います。今回もちろん最大のテーマ「いちばん確かなもの」についてはやいのやいのやりましたが、大人になってから読んでも色んな気づきがある哲学書のような本ですから、生徒たちには大事に本棚にとっておいて欲しいなと思っています。
読書会第2シーズンの本はこれだ!
ということで11月から2冊目の本にうつります。
次回はこちら。以前「そいる文庫」でも紹介した1冊。
第1シーズンとは違って短編集なので、また違った動きができそうで楽しみです。
何より楽しみなのは私が小学校のときに抱えたモヤモヤを子どもたちにぶつけるチャンスが来たからなんですがね^^;
そのお話が気になる方は以下のリンクから(笑)
また第2シーズンも報告できれば幸いです。
今日はこのへんで。
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