【そいる文庫】「宇宙のあいさつ」星新一(小学生の読書会)

 

そいる塾長
そいる塾長

どうも、そいる塾長です。

 

これまでそいる文庫では入試出題作品を中心に書いてきましたが(前回は反則でしたね^^;)、SOILで実施する読書会で使いたい本についても紹介していければなと思っています。ということで今日は小学生向けな1冊を。ただし大人の方がハマるかもしれませんよ。

 

ショートショートと呼ばれる短篇小説よりも更に短いSFっぽいお話が35話詰め込まれた1冊。読書会の入門としてはもちろんぴったりではないかと。

なんせ1つの話が短い。

しかし読んだ文字数の3倍位の読書感想文書きたくなるような面白い話ばかりです。

文体はかなり柔らかく、ところどころに表紙を描いた和田誠氏の挿絵が入ってくるのも相まって雰囲気は絵本というかおとぎ話のようですが、内容はがっつり大人の悪意ときた(そればっかりではないんですがね)

ちなみに和田誠氏のイラストも好きなんですよ。話題の週刊文春の表紙書いてる(た?)人ね。

 

 

読書感想文

原稿用紙

原稿用紙

内容はとことんブラック、そしてシュール。この人は人間が嫌いなんだろうか?と感じずにはいられませんが、巻末の解説を読んでやっぱりなと納得でした(笑)

でもそれが好きなんですよ。特に大人になった今では余計におもしろい。

子どもにしてみればちょっと、いやホラー級の怖い話になってしまうものも。「泉」はまじで怖い。でも「宇宙の男たち」、「初雪」とか「対策」なんか最高ですよ。ぜひとも自分の子どもにも読んでほしい。
発想力もすごいけど何よりよくこの文字数でよく書き上げるなと。

この本で子供たちにいつか出会うであろう大人の悪意に触れさせていくのもありかなと思うんです。

寓話のたぐいって、本来こういう大人の悪意をうまく昇華したファンタジーというか、教訓めいたものが含まれているものなので趣旨的には大人が読んでニヤニヤするより、子どもがひりひりするほうがあっているような気もするんですよね。

※2012年度京産大の公募で、逸話・寓話・説話などの語句の意味の違いを尋ねる問題がでてました。特に逸話寓話を知らないんですね。この際覚えておきましょう。

そういえばグリム童話も実は怖いんですよね。やっぱり子どもにはこのちょっとしたスパイスが効くのかも。

 

小学校の教科書に登場した衝撃の「繁栄の花」

そもそも私がこの本を知ったのは小学校の国語の教科書がきっかけです。

この本に収録の「繁栄の花」というお話が小学校の教科書に収録されていたんです。

かくいう私も小学校時代にこの大人の悪意に触れたひとりなんですね。

授業中に「まじか!?」って友達と顔を見合わせたほどの衝撃の展開。見てはいけないものを見てしまったような感じ。

なんで今頃そんな話を思い出したか、いや一度たりとも忘れたことはなかったのです。この「繁栄の花」というお話と、無責任な小学校のアクティブラーニングごっこを。

実は、小学校の授業で出された課題が今も30年近く私を悩ませ続けているのです^^;

お題「この物語の続きを創作しなさい。」

作品自体、教科書史上最高にハマった作品だったので子供心に一生懸命考えました。でも残念ながら考えても考えても、どうやっても本編以上のおもしろい続編になんてならないんです。

本編を超える衝撃を生み出せないのですよね。まあ、そこまでやれとは誰も言っていないんですが^^;

なのに肝心のアクティブラーニングな授業はというと・・・

提出したらそれっきり。

 

 

これが私がいつも言ってるアクティブラーニングへの不信感の源です(笑)
どうしてくれるんだこのもやもや。出来ないならアクティブっぽいことするな!次の授業ウキウキで行ったんだぞこっちは。さくっと次の文章に入りやがって。
なんてことを大人になり忘れかけた頃にもなぜかまた、そして何度も何度もこの話を思い出してしまうのです。
おっさんになって普段から大人の悪意に触れているせいでしょうか。

おかげで私は今でも定期的に飽くなき探究心で夜な夜な物語の続きを考えてしまうんですよ。

てことで誰か生徒で私をびっくりさせるような生徒が出てこないかなと。
SOILの読書会ではこういうこともやってみたいなと。
アクティブラーニングだなんて言いません。ですが読んだ後だれかとその内容を話したくなる。これも大切なことだと思います。
今日はこの辺で。

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