
どうも、そいる塾長です。
今日は京都公立高校の入試制度の解説です。要項にこっそり書いてあるんですが、とても分かりにくい制度について。うっかりこれを見てしまうと心配になる保護者の方がいらっしゃるので事前に周知しておきます。なおこれは昔から中期選抜で採用されていた制度ですが、入試改革後も共通枠にそのまま持ち越されました。そこで昔の記事を書き直し、データもお見せしながら詳しく解説します。
2018年に「中期選抜のややこしい選抜方法」という記事を書きました。2027年度入試から中期選抜はなくなり、前期選抜の「共通枠」に変わります。ただ、あのややこしい決め方は、共通枠にもほぼそのまま残りました。
共通枠のおさらい
2027年度からの京都の公立高校入試は、2月の「前期選抜」1回にまとまりました。その中に2つの枠があります。
- 独自枠:学校ごとに検査や配点を決める枠(これまでの前期選抜に近いもの)
- 共通枠:みんな同じ物差しで選ぶ枠(これまでの中期選抜に近いもの)
独自枠で不合格だった人も、共通枠に志願していれば、そのまま共通枠で選考されます。
共通枠で使う点数は2つです。
- 内申点:1〜3年の9教科の評定の合計。音楽・美術・保健体育・技術家庭は2倍。満点は195点
- 当日点:国語・数学・英語・理科・社会 各40点。満点は200点
本題:共通枠にあるややこしい選抜方法の仕組み
ここからが本題です。選抜要項には、こう書かれています(共通枠の部分を抜き出しました)。
(a)及び(b)の値をそれぞれ高得点順に並べ、その順位が双方ともに募集人員の90%の数以内に位置する者について、報告書の必修教科の評定以外の記載内容及び面接の結果を資料として総合的に判断し、合格者を決定する。
(c)によって合格とならなかった者の中から、(a)及び(b)の値の合計を高得点順に並べ、報告書の記載内容、統一学力検査の成績及び面接の結果を資料として総合的に判断し、合格者を決定する。
(a)が内申点、(b)が当日点です。順番に整理するとこうなります。
- まず、第1志望の第1順位でその学校を受けた人の中から、定員の9割までを決めます
- その中で、内申点の順位と当日点の順位が、両方とも定員の9割以内の人を先に審査します
- 9割の枠がまだ余っていれば、残りの人を内申点と当日点の合計で並べて決めます
- 最後の1割は、ここまでで合格にならなかった第1順位の人と、第2順位でその学校を書いた人を合わせて、合計点で決めます
ポイントは2です。内申と当日の合計点で並べる前に、内申点と当日点で「別々に」順位をつけて並べ、両方上位(定員の90%以内)の人を先に審査する、という仕組みです。
ここだけ読むと「両方上位じゃないとダメなのか」と不安に思ってしまいますよね。
でも3があります。2で埋まらなかった枠は合計点で決まります。片方が9割に入らなかった人は、ここで勝負することになります。
それでもやっぱり内申か当日点でどちらかに偏ってしまう場合は不利なのか。次で見てみましょう。
例で見てみます
2018年の記事で使った例を、共通枠に置き換えてみます。極端な例なのでご容赦ください。
定員100人の高校に、第1順位で130人が受けたとします。最初に決めるのは9割の90人分です。
| グループ | 内申点 | 当日点 | 合計 | 人数 |
|---|---|---|---|---|
| A | 120 | 120 | 240 | 50人 |
| B | 140 | 110 | 250 | 40人 |
| C | 110 | 135 | 245 | 40人 |
- 内申点の順位:1〜40位がB、41〜90位がA、91〜130位がC
- 当日点の順位:1〜40位がC、41〜90位がA、91〜130位がB
両方とも90位以内に入っているのはAだけです。まずAの50人を審査します。
残りの40人分は、BとCが合計点で争います。合計250点のBが、245点のCに勝ちます。Cは最後の1割の枠で、第2順位の人たちと合計点で争うことになります。
つまり、Bは当日点が91位以下だったのに合格しています。片方が9割の外でも、合計点で上にいれば受かるということです。
一方でCは、合計点がAより高いのに、先に合格が決まったAに負ける形になりました。合計点が高い人が負ける、ということも起こりうる仕組みです。ただ、それは内申と当日の点が、こんなふうにきれいに分かれたときの話です。
実際はどれくらい起きるのか、試算してみました
「極端な例なのは分かったけど、実際は?」という声が聞こえてきそうなので、コンピュータで試算してみました。
条件はこうです。
- 定員100人。倍率は1.1倍・1.3倍・1.6倍の3通り
- 内申点と当日点は「内申が高い子は当日も高い傾向がある」という形で、散らばりを仮に決めて受験生を作る
- 選抜要項の決め方どおりに合否を出す。これを2,000回くり返して平均する
- 第2順位の人と面接は入れていません
まず、1回分の試算を点で描くとこうなります。1つの点が受験生1人です。

右上の緑の四角が「両方とも9割以内」。その外にいるオレンジの人たちも、合計点で合格しています。
これを2,000回くり返して平均した結果がこちらです。

定員100人なら、十数人から30人ほどは「片方が9割の外」で合格しています。倍率が高い学校ほど、この人数は増えます。
もう1つ分かったことがあります。合否を「合計点だけで上から順に並べた場合」と比べると、合格者はほとんど入れ替わりませんでした。入れ替わりが出たのは、内申と当日の点がほとんど関係ない、という現実離れした条件のときだけです。
※京都の公立高校は受験生の点数を公表していないので、この試算は実際のデータではなく仮の条件で作ったものです。人数は条件で動きます。「片方が9割の外でも受かる」「ほぼ合計点で決まる」という傾向として見てください。
では、何を意識すればいいのか
結局は合計点を上げる。これに尽きます。
両方9割以内に入っていれば有利なのは確かです。でも、それは「入っていないと落ちる」という意味ではありません。「内申が足りないから当日で取り返せない」「当日が苦手だから内申があっても無理」と考えなくて大丈夫です。
その上で、内申点でいえば、音楽・美術・保健体育・技術家庭の4教科は2倍で数えます。1年あたり、主要5教科が25点、この4教科が40点。3年間で、内申195点のうち120点がこの4教科です。ここを落とすのはもったいない。詳しくはこちらの記事に書いています。
→ 【2027年】変わる!京都公立高校入試の内申点の重み(https://soil19.com/kyoto2027-haiten-naishin)
しかし内申点は中1からの積み重ね。中3で進路を選ぶ時点で足りない内申は、もうどうしようもありません。偏りを気にしても仕方がないので、当日点を1点でも多く取りに行く。最後はこれです。
よくあるご質問
Q. 第2順位の学校はどれくらい当てにできますか?
第2順位で合格が出るのは、最後の1割の枠だけです。その枠には、第1順位でその学校を受けて9割に入れなかった人だけでなく、第1順位で上位校を受けて惜しくも届かなかった人も回ってきます。本当の闘いはこちらです。第1順位で受けてもギリギリのレベルの学校を第2順位にするのは、大変危険だとご認識ください。
Q. 独自枠で受けて落ちたら、もう終わりですか?
共通枠にも志願していれば、そのまま共通枠で選考されます。
さいごに
制度の文章は、どうしても不安になる書き方をしています。でも、やることは変わりません。毎日の授業と定期テストで内申を積み上げて、当日の点も上げる。それだけです。
志望校の選び方や、内申と当日のバランスで迷ったら、お通いの塾にご相談くださいね。

