どうも、そいる塾長です。
お詫び
早稲田大学が共通テスト受験を指定校推薦において必須化
9月9日に早稲田大学(国際教養学部を除く)が、指定校推薦における共通テストの受験を必須化すると発表しました。変更は2021年度入学者から。「入試における大きな変更点は2年前までに」という通称2年前ルールにのっとりギリギリのタイミング発表されました。
(2年前ルール関係なかったですね^^;)
つまりこれがで起用されるのは現高校2年生から。ということになります。
ただし、指定校推薦の合格決定は12月。
ということで共通テスト考案当初に発表されていた内容と全く異なる形になってしまった共通テストは、結局今のセンター試験と同じ時期に実施するわけで、この共通テストのスコアが合否判定に使われることはありません。ていうか使えません。
ちゃんと明記されています。
入試改革が発表された際、一般入試は学力以外の部分を重視する(共通テストで基礎学力→2次試験で小論・面接など実施)ことや、逆にAO入試や推薦入試では基礎学力の担保のため共通テストをのスコアを利用すると文科省は述べていたはずです。
その辺は下記リンクのとっても長い記事の最後の方で2年前に私も書いた通りです。
それ結局全部同じになるんじゃね?という突っ込みは置いておいて、全然最初に言ってた形じゃなく何のためにやるのか全く意味不明な共通テストですが、この早稲田の発表を見てついに来たか!と思ったのですよね。ですが結局「合否判定には影響しない」か…^^;と。
”最初は”そう思ったわけです。
ということで現高2生で早稲田の指定校推薦を狙う人は今まで通り学校の勉強をしっかり頑張ってもらって評定基準を満たし、校内選考を勝ち抜いてもらえば心配ありません。
現高2生はね
しかしよくよく考えてみると、これってよく考えるとかなり今後の指定校推薦に影響を与えるんじゃないかと。
「合否には影響しない」の本当の意味
ここからが本題。といってもあくまで私見であり予想です。そういう発表があったわけではありません。
しかし、これは現中学生、とくに今高校入試で志望校を選ぼうとしている中学生にはとても大きな問題となる可能性があります。
指定校推薦の問題点
合否に影響しないのになぜ共通テストのスコアが必須になるのか。その説明の前に今一度指定校推薦の問題点を復習しておきましょう。
共通テストが合否に影響しないとなると、結局、私大の指定校推薦入試はこれまで通り学校評定を満たしていたらほぼ100%合格することになります。
しかし、はっきり言えばこの学校評定が学力の証明にならないということが指定校推薦の問題点だったわけです。
その理由は大きく分けて以下の2点
- 学校ごとに指導内容・学習レベルが異なるため
- 学校内のコースごとにカリキュラムやテストが異なりそれぞれ評価されるため
例えば偏差値60の高校と40の高校では同じ評定5でも学力レベルが同じとは限らない。ということです。
この①の問題点に関しては少なくとも大学が枠を与えなければいいだけのことです。しかし一番厄介なのは②。
公立も私立も校内でコースがレベル別に分かれていることが多い。
となるとカリキュラムや学習レベルが異なります。
例えば某公立中高一貫高校は、京大合格者多数の中高一貫コースと、地方国公立が精いっぱいの普通科、そしてその普通科の中にスポーツ推薦で集められた強化指定の部活生徒が集まったスポーツコースが作られています。
私立高校だと、Aコース、Bコースのようになっていますよね。
これらは全て別カリキュラムで別の試験。当然評定もそれぞれ分けて付けられます。
なんなら学校説明会でどのコースが指定校推薦が受けられるか発表していたりします。
みたいな。上記の例では、公立はスポーツクラスの子が最優先で指定校推薦を受けられますし、私立の例ではBコースの子たちが推薦の対象。
なお指定校推薦の枠は大学側が各高校の合格実績などをもとに割り振っているので、となると最上位コースの子を推薦してほしいわけです。
しかし高校側は合格実績をあげるため一般入試で合格の可能性がある最上位コースは勉強を頑張ってもらい、一般入試では見込みのない下位コースの子たちに実績をあげてもらうというわけです。
偏差値50あるかないかの某公立高校では、毎年1枠だけ来る同志社の指定校推薦合格者がスポーツクラスの子です。評定平均4.8の子を差し置いて「仮定法って何?」と図書館でおしゃべりしている子が同志社に合格したりするわけです(生々しくてごめんなさい^^;)。
つまり大学側が求めている生徒と高校が送り出す生徒のミスマッチが起きているわけです。
もちろんそんなことしない高校もあります。そもそもコースわけがない学校もありますし、下位コースからの推薦でも本当に優秀な子もいます。
それに学力以外の面を重視するのが推薦。お勉強しかできない子なんて太刀打ちできない才能の持ち主が推薦組にはいます。そもそもまじめな子でないと評定とれませんし。
だから早慶などトップ大学の推薦組は一般組より優秀、なんて言われたりするのも納得です。
しかし全私大の定員の半数以上がAOや推薦系入試合格者となってきている昨今、もし本当にそんなに優秀な人材がたくさんいるならもはや入試改革なんて必要ないのではとも思うわけです。
つまり中堅以下の私立大学は人集めに使っていると言われてもおかしくない状態。そして有名大学への楽々コースとして指定校推薦が使われているのも事実ということです。
これが指定校推薦の批判される要因。
早稲田の指定校推薦での共通テスト採用が持つ本当の意味
ということで今度こそ本題。
上記指定校推薦の問題点でお話したような楽々コースとして指定校推薦を考え、それを基準に高校選びをしている方に注意です。
確かに現高2生は共通テストで何点をとっても学校からの推薦が受けられればほぼ合格確定です。
しかし入学後その点数は大学側にチェックされるわけです。
つまりこの変更で影響を受けるのは生徒個人の合否ではなく、共通テストで学力の担保たる学校評定の信頼性。
もしもここでその整合性のとれない生徒が送り込まれてきたと判明したら…。
これにより早稲田は望んでいない学力の生徒を送り込んでくる高校の枠を無くす可能性があるということ。
現に先ほど書いた公立中高一貫校のには早稲田の指定校視線枠があったのですが、スポーツコースの子が”やらかした”ために枠がなくなったなんて噂されています。
他にもこの先輩がやらかしたら枠が減った(なくなった)という噂はあらゆる学校でまことしやかに囁かれています。
2021年度入試からの変更は時期的に難しくなっているのでMARCHや関関同立がすぐに早稲田に追随するとは思えません。
しかし、「共通テストみるからね」というメッセージひとつでいきなり指定校推薦合格者の学力レベルが上がり、指定校推薦が難しくなるとは思えませんが、推薦する高校にとって非常に大きなプレッシャーになるのは明白です。
さきほど現高2に影響がないと言ったのもこれが理由です。
影響を受けるのはその後輩たち。
いや、もしかすると枠がなくなることを恐れた高校側がこれまでと異なる形で今後指定校推薦枠を割り振る可能性も…。
再度書いておきますが、これらはあくまで私見であり個人的な予想です。しかしなんらかの変化は起きそうな予感はしますね。
ということで「楽」だからという理由、つまり大学側が求めていない理由で指定校推薦を狙って志望校を決め、高校生活を送ろうと考えているなら気を付けた方がいいですよ。
指定校推薦を”とりやすい”学校やコースに下げて受験するということですね。あとはスポーツで高校へ行く人たち。(うちのスポーツコースのこは文武両道で勉強もバリバリですので心配ないですが)スポーツコースの多くの生徒がスポーツ推薦ではなく指定校推薦で大学へいっっているのはすでに周知の事実。
いずれにせよ3年後には大きく事情が異なっている可能性が無きにしも非ずです。
指定校推薦を狙うなら、大学側が求める基礎学力を身に着けるとともに受験勉強では得られない経験をしながら高校の推薦に見合う人間に成長できる高校を選ぶという、至極真っ当な考え方(一般入試よりもハードル高いですが^^;)を持たなければならないかもしれませんね。
今日はこのへんで。