どうも、そいる塾長です。
では2019年3月6日に実施された京都公立高校中期選抜国語の問題を解いてみました。
解きながら書いていきますので、全体の感想・難易度は最後にまとめますね。
国語は数学などよりも出題傾向により雰囲気が変わり、得点にも影響しますので、まずどのような問題がどのような配点になっているかのチェックと各問題でどのように勉強していけばしっかり得点できるか確認しておきましょう。
本日は第1科目の国語。
全体概観
第1問が古文、第2問は現代文といういつもの形。問題数も20で変わらずです。
生徒にはどんなテストでも開始直後に全体確認するように口酸っぱく指導していますが、今年も全く変化なし。
そして昨年度の解説でも書いたように今年も「正解を2つ選べ」形式の内容一致問題はなし。なぜ消したのかはよく分かりませんが…。
また継続しての傾向としては太郎くんと花子さん(今年は加奈さんも参加)が本文内容をご親切にまとめてくれる形式は続行。公立入試ならではの事情で古文はこういうのもありかなと思いますが、現代文はどうなんでしょうかね。不要な気もします。まぁ、これを本文理解の手助けにすれば要旨をとるのが苦手な人には助かると思いますので上手く使っていきましょう。
第1問:古文
「古今著聞集」からの出題。鎌倉時代の説話集ですね。世俗的なお話がメインでストーリーが明快と、高校入試の定番です。行数で言うと昨年が6行と歴代でも飛びぬけて短かかった分、今年の12行は単純に倍なので多少長く感じるかもしれませんが、あくまでこれくらいがデフォルトです。
高校入試定番の説話なので、説話読解のポイントである「エピソードからこの話の何が”おもしろい”のか」というところくをしっかり捉えるだけのお仕事です。
しっかり高得点を狙いたいところ。設問も平易なレベルなので満点を狙いたいところですね。
苦手な人は必ず最初に(4)の恵里さんと優一くんの会話部分を読んでおきましょう。
ここを読めば少なくとも以下の内容が本文を読まずとも読み取れます。
- 「上六大夫」がトキを射落とす際、射るのを遅らせた。
- それを「兵衛の尉」が不思議に思う。
- 射るのを遅らせた理由はトキの羽の状態を配慮して水に濡れないようにしたから。
ここまでわかれば要旨は読めたも同然なので、あとはこの話につながるように未知語や文法を文脈で補いながら読んでいきましょう。
(1)主語の推測
難易度(標準)
(2)解釈
難易度(易)
(3)現代仮名遣い
難易度(易)
定番の現代仮名遣い。とても易しい問題。
(4)要旨
読解の際に(4)にお世話になっていれば本文を読み進めながらA・B・Cの空欄補充は容易にできるかと。
苦手な人は、内容から❶捜索範囲を決定(今回は時間の流れに沿って、トキを射るまで、射た後くらいの感じで内容を分けましょう。)→ ❷空欄前後のキーワードをもとに古語で対応する言葉を探す。
こんな感じでテキパキ解けます。そこまで難しくないので苦手意識を持たないように過去問で練習してみましょう。
① 難易度(易)
問題文では「の上空」の上が空欄Aとなっているので「上六大夫」がトキを射るまでの前半部分から「上空」に対応する語句を探せば「うへ」という言葉の発見は用意。あとはその上の字数を数えて終了です。
② 難易度(易)
第2問
今年も高校入試の標準レベルと言える評論文。
火をテーマに現代社会が抱える問題について文化と自然という観点から考察していく読みやすい内容です。
(1)漢字
難易度(易)
今年も基礎レベルの「拡」散。このレベルが中3で入試対策に漢字練習をしないといけないのはまずいですね。
(2)読解
難易度(標準)
オーソドックスな傍線部の理由を問う問題ですが、前提部分の読解に関して二項対立(対比構造)を読み取れているかを尋ねる大学入試のセンター試験を意識したかのような問題構成ですね。個人的にこの問題は好きです。
とはいえ難しいことはなく、傍線部が第1段落の最後の一文で、段落の結論部分にあたるのでそこまでのキーワードを標識語(キーワードがどのような文脈で用いられているかを示す言葉)に注意しながら丁寧に読んでいけば分かりやすい問題です。
逆に標識語を意識せずキーワードが本文に「書いてあるか」で判断をする「検索」だけで国語を解く人には難しい問題。
選択肢がどれも同じように本文のキーワードでてんこ盛りにされているのでどれも正解のように見えてしまうのではないでしょうか。とくに(ア)(ウ)で迷った人は危険です。感覚だけで本文を検索(書いてあったかどうかの確認)するような解き方をするのではなく正しい読み方と解き方を身につけましょう。
せっかくなので決して難しい問題ではないですが、国語が苦手な人のために「シンプルに読解し問題を解く」方法をこの問題で簡単にご紹介しますね。
苦手な人はまずキーワードにマーキングをしながら読みましょう。そして問題を解く際には選択肢の文章にも本文でマーキングしたキーワードが登場すれば同じくマーキング。
そのうえで本文と同じ方向を示す標識語で選択肢の文章が構成されているかを確認することで、はっきりとどの選択肢に傷があって、どの選択肢が本文の要旨と同じ構成になっているかちゃんと理解したうえで解けると思います。
ポイントはキーワードがどのような文脈で使われているかですね。
苦手な人は思考をシンプルにするためにも、そのキーワードは「良い意味で使われているのか、それとも悪い意味なのか」といった風にキーワードを標識語をもとに対比させながらニ項対立形式でキーワードを仕分けする感じで読んでいくとわかりやすいですね。
この第1段落では「社会の発展」・「文明の歩み」・火の「拡散」・「専門家」「集中化」「快適」「安全」というプラスの属性(人類にとって「良い」意味で使われているということ)をもつキーワードが並んだあとに「一方」という標識語があるので、それ以後に登場する「巨大化」・「複雑化」というキーワードはマイナスの要素だとわかります。
そしてその後の部分でも「関わらず」という標識語を用いて「人類の能力は増大」というプラスの要素と「個人のもとから遠ざかり」「一人ひとりの能力は縮小」というマイナス要素が対比されて書かれていることが分かりますし、そして何よりそのマイナス要素との並びで傍線部が登場するので、まずこの問題が「文明が発展したことによる”マイナス要素発生”の理由」をたずねているのだということが分かります。
このように段落の要旨をキーワードと標識語からとっておくと選択肢の選択は非常に楽。この時点で選択肢の述語部分がマイナスになっていない(エ)は確実に消去されます。
あとは細かなところで何がマイナスなのか、を自分の本文へのマーキングをもとに確認すれば「個人のもとから遠ざかり」「一人ひとりの能力は縮小」であることは容易に判断できるので、述語で「能力」の話をしていない(イ)は消去できます。
そして述語部分が同じく⁻マイナス要素である「能力」の低下について述べている(ア)(ウ)に関してはその能力の低下というマイナス要素が「全体」か「個人」かで容易に判断できますね。
と文章で解説したのでわかりにくいとは思いますが参考まで。
(3)接続詞
難易度(易)
(4)漢字(読み仮名)
難易度(易)
畏怖ですからね。読めてほしいところ。
(5)文法
難易度(易)
本文での用法を確認しなければならないものの、名詞と連体詞の基礎で難易度は低い。定期テストでちゃんと文法の勉強していれば事足ります。
(6)読解
難易度(易)
(2)とは異なり、傍線部直前の要素(「未来志向型」と「今の時間を手段化し、犠牲にし…」)2つでパシッと選べるので非常に難易度は低いです。
傍線部が特に一部分にのみ引かれている場合、その一文の残りの箇所に重要な解答要素が用意されていることが多いので傍線部を延長しよく確認するようにしましょうね。
(7)語彙
難易度(易)
「平衡」の意味を問う問題ですが意味を万が一知らなくとも「安定した平衡状態」の「安定」の意味を文脈からとれば分かるし、選択肢を吟味していけば「つりあい」=「均衡」という言葉が連想できても解けますね。
(8)熟語の成り立ち
難易度(易)
熟語の構成を尋ねる定番問題ですが、例年に比べても難易度は低いサービス問題。
(9)読解
難易度(標準)
傍線部が「この現実」と指示語形式であるにもかかわらず、解答要素が傍線部から遠いので正答率は低いかと思われますね。
「この」が指すものがすぐに「有限の空間と時間に限られているという」の部分を指すのはすぐにわかりますが、問題の空欄補充の形式にフィットする語句が見当たらないので捜索範囲を広げる必要があります。
本文全体の段落構成をしっかりととらえること(例えば各段落にタイトルを振っていくような読み方)ができていれば解答要素がどこにあるかは見つけられると思います。
また、問題の空欄Aの下にある「資源」というキーワードに触れている段落を捜索すれば容易に「有限」という先ほどの指示語が指す部分にも使われている語句が見つかるので後は容易に空欄部分を埋められると思います。
傍線部から離れた解答要素を捜索するための捜索範囲をこのように論理的に決定できるかが勝負です。
(10) 読解
難易度標準(標準)
ここも(2)と同じように解いてみましょう。
「現代社会」というキーワードが本文全体を二項対立でとらえた際に、①それがマイナス(筆者は現代社会を危惧している)であるとともに、②その±をわけるキーワードが「成長」=マイナス、「成長しない」=プラスであることを考えれば、「消費」がキーワードに設定されている