【高校生】文理選択に迷ったらまず最初にやること

そいる塾長
そいる塾長

どうも、そいる塾長です。

高1の10月にやってくる最初の分岐点である「文理選択」のお話です。最近面談でよく話題になります。まだはやい?とんでもない!のんびりしていると大変なことになりますよ!一応面談でよくお話する内容なので「保護者さんへの手紙」とはなっていますが、伝えたいのは生徒本人です。ぜひお子さんと一緒にお読みになってご家庭でご相談ください。

将来やりたいことが決まっていなくても大丈夫

おそらく最初に考えるのは高校入試の時でしょうかで。将来のこと。そんなことも考えず偏差値や部活、なんなら雰囲気で高校を決めた人がほとんどかと思います。私は高校なんてどこでもいいやんってなくらいにしか考えていません。

やれ特色だーってお偉いさんは叫んでますが、そんなものに金と先生の労力を費やすくらいなら高校として当たり前のことをちゃんとやってほしいなと。

しかしそんな高校でもやはり高校の選択は人生の分岐点であることには変わらないと思います。

少なくとも出会う先生、友人は変わりますよね。

そして何よりこれは後戻りができない選択です。

いや、後戻りしようと思えばできるのですが犠牲を伴うといった感じでしょうか。

分岐点とは自らが選択肢進むべき方向を決めること。今後、何度もこのような分岐点に出会うこととなります。

ということで今回は高校入学後、志望校決定という最後の選択までに訪れる最初の分岐点についてのお話。

文理選択

入試の時点で文理選択が行われなかった場合、高校の普通科では高1の10月ごろに翌年から理系・文系のいずれのコースに進むかを選択しなければいけません。

これが最初の選択。

まだ決まっていないという方からどちらを選ぶべきかのご相談を受けますがギリギリでは本当に良い選択はできません。

理想は将来就きたい職業に必要な方を選びましょう。ということになるのですが、それがまだ決まっていない方には難しい。

できれば時間のある夏休みにしっかり考えてほしいなと思います。勉強や部活も大切ですが、自分について自分でしっかり考える時間をもってほしいです。

その際に参考になればと思い、まだ将来やりたいことが決まっていない方に向けて「考える」ための材料を以下提供することにします。

将来の夢で決める

最近の風潮では中学生や高校生に将来の明確な目標なるものを押し付けがきつい。学校で作文書かされたり。そういや某塾では私の夢なんてものを書かされ写真に撮り掲示するなんてこともやってましたね。

ですが考えてもみればその時点で書かれる”夢”なんてものに出てくる職業なんて結局わかりやすーいものばかり。だってそんなの当たり前。

子どもたちが知っている職業なんて全体の数パーセント程度なんですから。なんなら親も先生も半分も知らないんじゃないでしょうか。

そして何より彼らが実際に仕事に就く頃に、現在ある職業のいったいどれほどが残されていることでしょう。

逆に今はまだ存在しない仕事が脚光を浴びているかもしれません。

だから今決まっているならそれはそれでいいのですが、決まっていなくても別に何も心配する必要はない。昨今のおかしな風潮に惑わされる必要はありません。

ただし、なにも考えないのは良くない。非常に良くない。

決まらなくてもいい。だからこそ常に考えておいて欲しいのです。

自分は何をやりたいのか、どうなりたいのか。

例えば、「お金持ちになりたい」でもいいし「人の役に立ちたい」でもいい。「大都会、いや海外でイケてる生活がしたい」でも「田舎でのんびりしたい」でもいいです。

職業までいかなくてもライフスタイルくらいは考えてみてはどうでしょう。そうすることでやるべきこと=職業が決まってくるまではいかなくとも絞られてくるかもしれません。

得意科目で選ぶ

将来のことが分からないとなると「今」を基準に考えることになります。

その場合分かりやすいのが得意科目での選択。たしかに文理で選択科目が変わりますのでこの基準が気になるのはわかります。

また将来が決まらないからこそ、少しでも”いい”大学へ。という考えも生まれがちで、そうなるとやはりより受験に有利な科目選択を行いたいという判断も働くでしょう。

ただ、やはりこの考え方は危険。

得意科目=好きな科目であることも多いでしょうから、そのような場合はもしかしたらその選択の先にやりたいことにつながる何かが隠れている可能性は確かにあります。

しかし上の等式が成立しない場合、または消極的な得意科目、つまり「他の科目に比べればまだまし」というレベルで考えるとよろしくないです。

得意なのではなく他の科目がひどすぎるというやつです。このような場合ほとんどが、まともに勉強をしていない結果であり、そんな状況で自分の”可能性”を判断するのは馬鹿げています。

そんなことでは将来にもつながらないし、ましてや受験ではその自称”得意”科目が足を引っ張ることにすらなりかねません。

だからこそ「やればできる」という妄言は避けたい。

本当にできるかどうかはやってみないとわからないし、全力を出して初めて見えるものがあるのです。


逆に理数科目が苦手でも将来就きたい職業が理系職ならば理系に進むべきと言えます。もちろん茨の道ですが、本当にやりたいこと、つまりそのためになら労力を惜しまないというならばその道を進む価値はあるかと。(”なんちゃって”な子がおかしなこだわりを持つ場合は労力は提供しないのが常で困るのですが^^;)

実際私の教え子のなかにも数学や物理が苦手でも医学部や京大工学部に進んだ生徒だっています。

学校や受験産業が夢や将来という言葉で煽るのは早期に目標を決めてそれをエネルギーに変えてほしいから(じゃないかなと)。

ある意味ではこのエネルギーは得意不得意に勝る場合はあります。

ただし、不得意なまま点数が取れなくても受かるわけではありません。入試は平等です(平等じゃない入試が話題になっていますが^^;)。合格点を超えなければ、どれほどの情熱をもってしても不合格です。

その辺は考えなくてもよいというわけではありませんね。

注意事項

理系の方が入試の難易度は圧倒的に難易度は高い
基本的に科目としては理系科目の方が難易度は高いというのは間違いないでしょう。
大学の学部別の偏差値を見ると文理で差がなかったり、なんなら理系学部の方が低く出ます。
しかしこれは偏差値が母数によるものだからです。理系はそもそも母数のレベルが圧倒的に文系よりも高い。わかりやすく言うと、文系の方が理系よりも勉強ができないこが多いために偏差値50のラインが低いのです。
だから上位大学の文系学部の偏差値が高く出やすい。
ですので同じ偏差値なら理系の方が競争率は高いと考えた方がいいですね。
あとは理科科目。文系は二次試験でも社会科が1科目しか要求されませんが、難関国公立になると確実に2科目要求されますしね。
そしてそもそもその理科が難しかったりします^^;
あと文系と違って下位の大学に理系学部が少ない。そのため理系で勉強に苦しむとそもそも大学で選べる学部がなかったりします。
ですので勉強ができない子でも理系に行こう!という話ではないのでその点は注意してくださいね^^;

大学の学部・学科で選ぶ

ということで、将来やりたいことが決まっていない生徒に勧める文理選択の基準がこれ。

職業となると細かすぎて分からない。しかし、大学の学部・学科はそこまでじゃない。

今はキラキラネームの学部学科を人集めのためにせっせと私大が作っているせいで数は増えましたが本質は同じようなところが多いですしね。

そしてこの学部学科は、現在学んでいる基礎科目からの延長でとらえやすいこともある。

工学部ー応用化学科みたいな分かりやすいものなら化学ですし、法学部・経済学部なら政経や世界史から入る人も。

なので割と「今」とつながるかと。そしてその先には職業が見えやすいのもあり「将来」ともつながるかと。

そもそも大学は本来職業訓練所ではなくもっとアカデミックな目的で行くところ。(昨今はそうではない傾向がありますが)就職はそうしてアカデミックな教養を身に着けた人間が選択すべきものだったのです。

だからこそ、今将来が決まっていないなら文理選択はアカデミックな希望で考えればいい。

そんな希望ねーよって方がほとんどでしょうが、下のような本をパラパラめくったり、大学のホームページを見て、様々な学部学科があることを知り、そこで何を学ぶことができるかは知っておきましょう。

こちらはSOILにも置いてあります。

挿絵とキャッチコピーにどことなく偏見を感じますが^^;それでも学部学科選びの入門として生徒にはなじみやすいかなと。


大切なのは学部学科をどこにするか決めることではなく、どんな選択肢があるかを知ること。

選択肢が頭にあれば考える材料となります。

そして文理選択の先には志望校を決めなければいけない。その際本当に優先すべきは大学名より学部学科であるべきです。

どんな看板を背負うかよりも、何を学ぶか、そしてその学びからどんな力を身に着けるかということを意識しましょう。

もう大学卒業後に就いた職業を一生続けると想定する方が難しい

そもそもこれからの時代、大学を卒業後、新卒で就職した会社、業種に一生いるなんてことを考えることの方が難しい時代です。

トヨタの社長ですら終身雇用は不可能と明言したくらい。

これからは3年、5年、10年というスパンで職や会社を変えていくことなんてのが普通になる。

となるとそのたびに何か新しい力を身に着け、それを武器にステップアップしていくのか、それとも会社から不要とされ切り落とされるかです。

そのとき大切なのは、つまり高校や大学で何を学んだかということよりも、その会社でどのようなことを学んだか。

例えば情報技術を大学で学んで今どきのIT企業に就職したが、そこでは自らが開発するよりもその開発チームのマネジメントの方が自分には向いているとわかったなら、今度は情報技術の知識・技能だけではなく、そのマネジメント能力を武器にステップアップする。

つまり就職後も常に学びが必要です。今、活躍しているような人は間違いなく常に学び続けている。

私がSOILの理念にも入れている「考える力」「学ぶ力」がまさにこれ。

「何のために勉強しないといけないのか」と言われれば、とにかくこの学ぶ力を身に着けるための学び方トレーニングというのが私の一つ目の答えです。

だからある意味ではそんなにこの学部学科選びで人生が決まってしまうわけではないということ。

もちろん後になって振り返った際の最適解というのはあると思います。しかし最初に書いたように多少の犠牲を払うことになれど、後戻りすることは可能。

いや新たな選択肢を常に用意することで新たな分岐点を自ら作り出すことが可能な時代が来たのかもしれませんね。

しかしできればちゃんとした「学び」ができるところに行ってほしい。「面白くない」学びではモチベーションが上がるはずもなく…。

そういう意味でもこの文理選択の機会にそうやって自ら動いて学部学科の情報を得ることでちゃんと選択肢を用意し、アンテナを張って自分で自分の将来についてしっかり考えるというのは非常に大切な機会になると思うのです。

数学が得意だから数学科を学ぶ必要はない

最後に、学部学科を考える際に間違えてほしくないのがこれ。

当然学部学科選びも今の自分の得意科目不得意科目という観点で選びがちです。

しかし今回気をつけてほしいのは苦手科目ではなく得意科目の方。

どうしても数学が得意だと数学科という考え方になりがちです。

しかし、何も数学で学んだことは数学科でしか生きないことはないし、もっと言えば他の学部学科では不要ということもない。

例えば、工学部や理学部など他の理系学部でも必須だし、なんなら文系の経済学部で数学ができなければお話になりません。もっと言えば、法学部出身の私からすると、法学を学ぶ上で数学的な考え方ができると非常に役に立つのではないかと。

だからこそ、得意科目をその科目としてそのまま役立てる以外に、その基礎科目で身に着けた力を利用して新しい学びに生かすことはできると思うのです。

これは就職の際も同じ。

先ほど書いたように、希望する学部学科で実務的な力を身につけずとも、アカデミックな学びを通じて身に着けた力をその先の仕事に活かす、つまり「学ぶ力」を鍛えておく、という考え方も重要ではないかなと思うのです。

特に今やりたいことが決まっていない人には子のような柔軟性があっていい。

まとめ

まだやりたいことが決まっていない。将来どのような方向に進めばいいか分からない人は、今年の夏休みにしっかり大学の学部学科について学んでみましょう。

夏休みは時間もあるし、オープンキャンパスや大学説明会なども頻繁に行われます。高校のものと違ってお祭り感が強いので遊びに行くのでもいいでしょう。

ただしまだ大学を決めるわけではないので涼しい部屋でインターネットで調べてみるだけでも十分です。

その際見てほしいポイントは以下。

  1. どんな学部学科があるのか
  2. どんなことを学べるのか
  3. どんな教授がいるのか
  4. その教授がどんな研究をしているのか
  5. 卒業生の進路

特に教授の研究をみるとイメージが湧きやすいですね。

本当に重要なのはどのような進路に進んだかということよりもそれをどのように決定したかということ。

少なくともこんな大切な人生の分岐点を親や先生まかせにしてはいけません。ましてやおかしな風潮に惑わされて後悔もしてほしくない。

自分で自分の進むべき道についてしっかりと考える。これもまた受験で学べる大切なことなのです。

待っていても「やりたいこと」は空から降ってきませんよ。降ってきても気づきませんよ。

だからこそ、常にアンテナを張り、自分から動いていきましょう!

SOIL会員の皆様は面談でのご相談も承りますので遠慮なくどうぞ!

今日はこのへんで。

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