2021年度難関私大入試は「安全志向」の脅威 (続)世界恐慌

そいる塾長
そいる塾長

どうも、そいる塾長です。

今年は難関私立大学が軒並み志願者数減で「安全志向」なんて言われているようですが、それが一番怖いのですよ…。というお話。

「安全志向」がもたらすもの

今年はこんな記事をよく見かけます。

2020年の狙い目はMARCH? “安全志向”で大学入試が激変 | AERA dot. (アエラドット)
ここ数年、大学入試は「激変期」にある。大都市部の人気私立大学は、国の政策によって門戸を縮小。その影響で2019年は受験生が地滑り的に中堅以下の私立大に殺到し、一気に難関化した。来たる2020年の入…

MARCHなど難関私大の志願者数が減っているというものです。

考えられる理由は2つ

  1. 私大入試の難化が周知された
  2. 大学入試改革のゴタゴタで浪人を避けたい

なお私のブログの人気記事ランキング不動の1位がこちら。

【大学入試】ー2019年私立大一般入試「世界恐慌の行方」ー
受験生を恐怖に陥れている私大の難化。その原因とこれからの展望についての考察です。これまでの難易度で私大を判断すると大変なことになります。もはや有名大学はすべて1ランク上がったと考えて間違いなし。本当にその大学は滑り止めになりますか?しっかりと志望校は選んでいきましょう。さて今年は浪人生の大量発生がどう影響するか。保護者さんも必見です。

2年前に書いたこの記事のPV数も今年はとっても控えめ^^;

周知が進んできて目新しさなどなくなってきたということでしょうね。私大難化から数年が経過し、面談をしていても受験学年の生徒や保護者も”なんとなく”は理解し始めているかなという気がします。

そしてもう一つ、理由としてやはり大学入試改革関連のゴタゴタが大きい。

浪人するには今年はしんどすぎる^^;

センター試験から共通テストに移行するにあたり変更点が見えないため、そもそも浪人のアドバンテージが少ないと考える人も多いでしょう。

4技能や記述式導入などは中止になりましたが、問題傾向が変わるのは受験生にとっては不安の種。それに社会科などの難化が危惧(共通テストの社会科の方向性は個人的にはアリだと思っています。)されていますね。

そもそも決定が遅すぎたため、早々に推薦入試1本に絞った人も多いのではないでしょうか。

ということで今年が「安全志向」というのは誰もが納得の結果かと思います。

しかし問題はそこではありません。

上記引用記事のようにMARCHや関関同立など難関私大の入試がはたして本当に易化するのでしょうか。

志願者数が減っても難易度は下がらない

私は個人的に、今回難易度は言われているほど下がらないかと思います。

ということで、私見ですが以下にそう思う理由を。

理由①:上位層の流入

いわゆる「逃げた」層と「降りて来た」層どちらが怖いのか
ポイントはこれ。
  • ✅ 安全志向で難関校を避ける層は合格可能性が不透明な層。ずばり合格可能性が低い層
  • ✅ 逆に残ったのは「安全志向」で受験する層。つまり確実に合格できる力を持った層。
難関私大の一般入試なんて倍率は10倍なんて普通。それが5倍になったとして、はたしてその減った分はどちらの層なのか…ということです。
さらに言うならばその受験を回避した層はどこへ行くのか。推薦で全員合格できるならいいですよ。しかしそんなことはない。
関東なら早慶がMARCHに、MARCHが日東駒専に流れるということ。
そしてさらに怖いのが、国公立組が併願校を増やす。この場合”横”に、そして”下”に増やすことになります。
関西では今年の公募を見ていると例えば佛教大学公共政策などで3倍から6.6倍と倍率が跳ね上がっています。合格最低点も8割越え。
佛教大には失礼ですが、佛教大の人気が上がったのではなく「安全志向」の結果と言わざるを得ません関関同立・産近甲龍、そして府立大・京都教育大の併願者、つまり上位層が”下”へ流入した結果ですね。
京大の併願校の定番と言えば同志社ですが、最近立命館も受験する子が増えています。これは”横”への流入パターン。
センター利用入試のボーダーが、すでに一昔前とは次元が違うラインに突入していることもありますし、リサーチA判定でも落ちる子が続出している子もいて、「安全志向」の人はもはやセンター利用は考えていなかったり。
このように安全志向になると確実により偏差値の低い安全圏の大学へ流入します。となるとただ単に下位の大学が難化するわけです。

理由②:滑り止めでもバッチリ対策済

慶応合格、青山・明治・日大全滅(不合格)
昨年SNSなどでこういうのをよく目にしました。
ここで勘違いしてほしくないのは、慶応よりMARCHや日東駒専が難化したということではありません。
滑り止めの対策が薄かったということです。つまり油断です。
現役生などは特に有限な時間というリソースをどこに振るかという問題があり、過去問対策など第1志望に時間を割きたいのは当然。
で、併願校に関しては過去問などを解いて、その年度の合格ラインを超えそうだったらその時点で安心して対策など取らないわけです。そのラインが上がることを想定していなければ。
先ほどの佛教大学の例で言えば、「公募で7割をとれば合格」の時代では許されたミスが8割になるともうダメなわけです。となると普段から過去問でミスなくしっかり安定して8割をとるように練習しておかないといけません。
「安定」というのもポイントです。
センター試験のように一発勝負ですと緊張から何が起こるか分かりませんが、佛教大学を含め私立大学では複数日程が出願できます。
これまでですと、滑り止めなんで一日だけでいいか…なんて言っていた層が「安全志向」になるとどうなるか。
全日程出願してきたりするわけですね^^;
このように「安全志向」は上位層の「バッチリ準備」を意味するわけです。東大や京大の併願者がわんさか来るような大学で、専願組が持つアドバンテージはこの「バッチリ準備」ができるところ。
東大京大志願者はセンター対策に二次試験対策ととにかくやらないといけないことが多い。
過去問を見ずに同志社に受かってくる猛者も昔はたくさんいました(;’∀’)
しかしもしも、そんな東大京大、早慶、そしてMARCHや関関同立の志願者がより下位の大学を「バッチリ準備」したうえで併願して来たら…
恐怖ですね。
ということで、今年の安全志向は入試の易化を生まないだろうという予測です。
逆に、滑り止めの対策をしっかり打っておかないと、滑り”止まらない”危険性というのは増していると考えた方が良いでしょう。
私大入試まであと少し。油断せず、しっかり併願校まで含めた対策を。
今日はこのへんで。

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