どうもそいる塾長です。
岸本先生がバズっていらっしゃったので、『ちょwお前のツイート伸びすぎw有名人じゃんw』ということで勝手に引用してのっかってみました(*´ェ`*)
面談で生徒に「この科目が4から5になればここの併願とれるよ」って話をしたら、「5にしたいんですけど先生に嫌われてるんです。」との返答が。
中学生が成績を考えるとき、どうすれば先生に嫌われないかをまず考えなきゃいけない日本の成績システムちょっと異常すぎないか?
— りんごくん@慧真館 (@keishinkan) 2018年10月11日
塾やってると避けて通れないこのテーマ。
自分の生徒だから高く評価して欲しいんだろ?とかじゃなく。おかしいんです。
塾屋でなくともおかしいと思っている保護者さんはたくさんいらっしゃる。入会相談で最初にこの話をされたお母さんもいらっしゃったくらい。うちの近所の中学はひどくて有名。それが嫌で住所移した方がいらっしゃるほど。
そんな中学のとある少年の物語。別に勇気とかは関係ないです(笑)アマゾンプライムでブレイブストーリーを見ている途中だったのでこんなタイトルにしただけです。
これ宮部みゆきさんなんですね。知らなかった。機会があったら小説版を読んでみたいな。
とりあえず今日はうちの塾生だったとある少年のブレイブストーリー(無理矢理)
内申点と戦った男の子の物語
とてもおとなしい子だった。吹奏楽部に所属。暗いというわけではないが他の子とはしゃいだりはせず、私にもあまり積極的に話しかけてくるような子ではなかった。「別に」が口癖のどこか自分の時間を生きている、そんな子だった。
12月、すっかり寒くなり学校では最後の進路相談を兼ねた三者懇談が行われていた。受験の足音がもうそこまで近づいていた。
彼は自宅近くの人気公立高校志望。内申点は十分。模試でもA判定。滑り止めも定番私立高校に早々に決定し、もはや入試までは何の凹凸もない安定ルートを歩んでいるように思われていた。
そう、あの三者懇談の日までは。
運命を変える日
私が教室で事務をしながら生徒たちが自習にくるのを待っていると、彼が息を切らせながら教室へ駆け込んできた。そして興奮気味に私にこう尋ねたのだ。
私立って内申関係ないですよね?○○○○○高校って内申関係ないですよね?今の僕の力やったら行けますか?もう学校にはそこ1本でいくと言ってきました。頑張りますんでよろしくお願いします。過去問てもう買っておいたほうが良いですか?・・・
驚いた。そんなキャラじゃなかった、というのが一番だったが、それ以上になんでそんな高校の名前がここで出てくるのかわからなかった。学校から走って来たとのこと。少し落ち着かせて話を聞いて驚いた。
彼が興奮していたのは三者懇談で出された成績表のせいだった。そこに記されていた英語の評定のためだったのだ。
彼は特に英会話教室に通っていたわけでもなかったが得意科目は英語。3年になってからも90点以上、いや95点以上をずっと取り続けていた。最後のテストも96点。平均は60点位の一般的な定期テストだった。ちなみに模試でも偏差値が出やすいものなら70あたりの常連。点数はほぼ満点をとっている。英検も準2級を所持。
当然まじめで授業態度もよく(友人談)提出物もしっかり出している。実際通知表の意欲関心の観点もAと授業態度も評価されている。
そんな彼の英語の評定が…4だった。
後でお母さんから聞いた話だが、三者懇談でそれを目にしたときは、さすがにお母さんが「これはおかしい!」とクレームをつけそうになったそうだ。
ところがその前にその大人しい彼が先生に食ってかかった。
これ、なんで4なんですか?
食ってかかったと書いたがそれはとても冷静な口調だったそう。ただお母さんからすれば自分よりその子が自分から先生に対してそう尋ねたこと自体がとても意外だったとのこと。これまでの三者懇談で初めて彼が発した言葉がこれだったそうだ。
しかしそこで担任の先生から返ってきた返事は・・・
英語の最後の英作文の問題で点数が取れてなかったよね。あそこで観点が下がっているから5には出来ないんだよね。
ミスが多かったこの男の子。いつも英語で満点が取れないのがこれ。英作になると三単現のSが抜けるようなミスをよくやっていた。だから最後のテストではそこだけが減点されていた。-4点。
他は満点だったにもかかわらずこれで、たった1回のテストの96点のうち減点された4点のことを持ち出して評定が5から4に下がるという説明をしたのだ。
そのときだった。彼はこう言った。
塾の先生から聞いたんですけど、私立高校の入試では内申関係ないって本当ですか?それなら僕は志望校を○○○○○高校の英語のコースにします。
突然の志望校変更。
お母さんは驚いたそうだ。しかもそこはなかなかの英語コースが有名な難関私立。何よりお母さんもその高校名は初耳だったそうだ。理由はハッキリとは言わないまま、もう公立高校は受験しないとその場で決定し三者懇談は終了した。
彼には姉がおり姉もうちの塾生。十分に上位公立高校が狙える力はあったが、体が弱く不安があったため推薦が狙いやすい私立高校に専願で進んだ。
弟である彼には私立でも行きたい高校があるなら行っても良いというのがご家庭の方針で実際その話はしていたそうですが、「別に」と言って近所の公立高校を志望していたのだ。すこし遠慮があったようだ。
学校に先駆けて行った私との面談でもまさにそんな感じだった。
しかし三者懇談の帰り道、彼はお母さんにこう言ったそうだ。
俺は英語が好きで将来は海外で仕事がしたい。だから英語は特に力を入れて頑張ってきた。それをあんな評価をされなあかん入試はこっちから願い下げやから、ちゃんと実力を見てくれる高校を受験したいねん。あとほんまのこと言うと留学したい。
1回家に帰りますと言って塾を出た彼を追うようにお母さんが来校されそんな事情を教えて下さった。
お母さんは嬉しかったらしい。このままなんとなく近所の高校行ってなんとなく大学行くよりよっぽど良い。ちょっとお金は節約していかないと、なんて笑ってはいらっしゃったが親子で納得した決断だった。
それにこうもおっしゃっていた。
熱い!
そう思いました。プライドがあったのでしょう。表には出さずとも将来の夢のため、英語には真剣に取り組んできた。英語だけは負けない、負けたくない。そんなプライドが。
そしてその日再度教室に来た彼の手には○○○○○高校の赤本が握られていた。
その日から必死に受験勉強に打ち込んだ。相変わらず入試問題でも英作文でのミスが目立ったけれど、今までとは取り組み方が全く違っていた。
その後
その後彼は無事○○○○○高校の英語コースに合格。
入学後の英語検定のスコアで学年一位を獲得。
そして翌年には1年間イギリスの名門校へ留学。最初は全くついていけない状態から帰国のときにはその名門ハイスクールでクラス1位の成績をとりジャパニーズやべーよと言われたとか言われなかったとか。またそこでは好きだった吹奏楽の練習をしたいことを学校の教諭に相談すると、なぜか超有名な音楽大学の教授を紹介され個人レッスンを半年ほど無料で受けさせてもらうなど、本当に充実した生活を送ったそうだ。
帰国後塾に顔を出してくれて、その高校の素晴らしさ、留学の素晴らしさ、今後の展望などマシンガンのように話して帰っていった。そんなキャラじゃなかったのに…。
本当に成長した。
音楽の道も考えたようだが、今はそのまま上の大学に進学、そして再度渡英。次は第3言語習得のためスペインへ行こうかと考えているとのこと。大きな夢に向かって今も頑張っている。
めでたし、めでたし。
なんにもめでたくない
めでたないねん!
いや、あのね、やっぱおかしない?この評定。私は今でも全く納得していないからね。
同じような点数で同じとこ間違えてる女の子の評定はちゃんと5でしたから。なんならこの女の子1回80点台とってますから。だからうちに通うことになったんやから。ちゃんとこの目で確認しましたから。
やっぱり理不尽やて。子どもの一生がかかってるわけやで。たかが評定1下がったくらい何やねんとかちゃうねん。やる気なくすちゅうてんねん。だいたい英語だけの話しちゃうやろが。
しかも全くおのれらの評価は間違ってました~ってことよな?め~っちゃ国際人なってんで?国際人育てたかったんやろ?ちゃうんか?な?ちゃうんか?
せやのに4?
この子は力ある子やったから反骨精神で頑張ったけどな?普通できひんで?こんな男前なブレイブストーリーにはならへんで?
内申点とるための指導とかさ、したくないんよ。こっちは学力上げたいねん。
だからといって12月に突然難関私立1本勝負!とか言われる塾の身にもなれ(笑)
頑張れば大丈夫じゃないですか?
いや、「頑張れば大丈夫」じゃねーよ。
ほんで疑問形にすな。
頑張るのはあんたではなくてこの子とじゅーくっ!塾ですよ~!「頑張れば大丈夫」とかアドバイスなってへんねん!ムキーっ!追加料金請求したろか?あん?
評定も生徒もお前らの玩具ちゃうぞこらぁ!
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・・
・・・
…失礼いたしました。
しかし岸本先生のツイートとそのバズりっぷりを見てもこの理不尽への共感は3万いいねを超えています。それだけたくさんの方がこの評定の付け方を理不尽と感じているということでしょうね。
もうひとつのブレイブストーリー:ドナドナ少年見参!
私は「ひいきする」という言葉を中学校のとき4組の先生(私は1組)の態度から学びました。そして評定は態度で決まるということを音楽の先生から学びました。
当然ながらそんな先生ばかりではない。私は幸運なことに直接被害を被ることはほとんどなかった。
音楽の時間はみんなの前で歌を歌わされます。あれが嫌だった。しかし長年私の中学で音楽の教諭を務めるこの先生。好き嫌いが激しいことで有名。一度嫌われると評定をあげてもらえないから注意しなさい!なんて情報がママさん会から回ってきています(笑)
さて、歌のテストをどう乗り切るか。
内申点のため恥を捨てるか?
クラスにいる好きだった女の子の前で「どなどなど~な~ど~な~♪」
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・・
・・・
あかん…無理…できひん。
だから歌のテストを一発芸に変えた。そういうことにした。そうこれは宴会芸だ!
オペラ歌手のように手を胸のまえで組み、感情を込めてビブラート大盛りで毎回歌った。クラスは大爆笑。それでごまかした。
そしたらこの先生はそういう恥ずかしがらない態度を評価してくれることがわかった。だからずっと音楽は5だった。
ところがうちの地域では3年の2学期までしか評定が受験で使用されないので、3学期の最後の歌のテストで私は普通に歌った。クラスメイトからはもうとっくに飽きられていたからだ。どうせ評定にも入らないし。だから普通に歌った。
キレられた。
そして評定は3になった。
いや・・・普通に歌っただけですやん(^_^;)
まあ理不尽なのはその人くらいのもんであとはテストの点数通りだったかなと思っています。特段態度が悪い生徒ではなかったので。生徒会長でしたし(笑)
ツイートを見ているとうちの中学はそんなことはない、とおっしゃっている方もいらっしゃいます。確かに私もそんな先生ばかりではないと思います。極小数のおかしな評定の付け方がSNSによって目立つようになっているだけだと。
そう信じたい。
評定をなくせば良いとまでは言いません。しかし関心意欲態度に代表される教員の恣意性混入の可能性の排除はぜひともなんとかして欲しい。絶対評価から相対評価にした理由はなんでしたっけ?
※今回のお話はだいたい実話ですが私の思い出補正(恣意的)がかかっている部分がございます。何卒ご了承下さい(笑)
今日はこのへんで。
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