どうも、そいる塾長です。
今日は2019年嵯峨野コスモスの国語を解きながら実況中継風に解説と講評を書いていきます。
傾向と対策を知ってしっかり準備していきましょう!
嵯峨野コスモス2019国語の傾向と対策
100点満点、試験時間50分で、ここ5年の出題傾向を見ていると大問4~5(小問は30前後)。第1問が現代文の評論で第2問が小説、第3問は古文というのが定石。ここに変更ななさそうですね。
50分で大問3つはかなり時間的にしんどい。問題自体はそこまで難しいものではありませんが、50字や70字指定の記述問題があるなかでこの分量を50分で解くのはかなりの高速処理が必要になるのは間違いないかと。
過去問演習で時間配分をしっかり体に覚えさせておきましょう。
- 第1問:20分
- 第2問:15分
- 第3問:15分
これくらいがオーソドックスな配分かなと。もちろんこれは個人差があるのでこの通りでなくても問題ありません。
2019年度の合格者平均は合格者平均は専修で72.3、共修で73.9。ここ5年は年度により5割~7割とふり幅が大きい印象。
難易度については、あくまで嵯峨野コスモスを受験する生徒にとっての難易度であり、嵯峨野コスモスの問題内での相対的な評価です。他の専門学科の難易度や共通問題の難易度とは基準が異なることをご理解ください。
簡単に言えば…
- 難易度:易 →解けないと絶望
- 難易度:標準 →解けたら合格ライン
- 難易度:やや難→解けると差がつけられる
- 難易度:難 →解けなくても気にしなーい
という感じにしております。あくまで個人的な見解ですので悪しからず。
ちなみに市販されている嵯峨野コスモスの過去問ではこちらがオススメです。
では早速解いていきましょう。
第1問:現代文(評論)
第1問は現代文で評論。文字数は公立中期選抜などと比べると2倍弱と長め。ふだんから同じくらいの分量の文章で練習しておきましょう。
問題を解く手順としては、まず1回最初に最後まで通して読みましょう。これをすると時間がないという方がいらっしゃいますが、これをしないから設問ごとに時間がかかり時間が足りなくなりっている可能性が大です。
この分量であれば通読は速くて5分。もう少し遅くてもいいくらいです。
正直このレベルの問題であれば、ちゃんと読めていれば問題自体はノータイムで解答できます。
- タイトルを確認
- 1回目、マーキングしながら最後まで通読し主題を抑える。
- 問題を読んで、該当箇所までマーキングした語句をつなげながら読み直し。
- 解答
この流れがもっとも効率がよく時間はかかりません。
なお最初に出典(タイトル)をチェックしておくと最初の通読時に主題が取りやすくなりますね。
今回はこちら。
生物学的なお話しかな?と意識しながら読むかどうかは少しでも役立つかと。本文最初の前提部分では主題の内容が出てこないことが多いので本論とつなげられない、本論が出てきたことに気が付けない人もいますからね。
(1)難易度:易 漢字
漢字は書き取りではなく大学入試のセンター試験と同形式の同じ漢字を含む熟語を選ぶ問題。
「口頭」「命運」と平易なレベルなので落としたくない。ふだんから語句を漢字の語義からイメージできるように覚えていきたいところですね。
(2)難易度:易 漢字の読み
「促す」「雇った」とこれまた非常に平易なレベル。落としたくないところ。
(3)難易度:易 慣用句
「しのぎ」を削る。難易度は低い。
(4)難易度:標準 読解(記述式)
問題文の空欄を埋める形で、本文の前提部分(序論)の主題をとらえているかを尋ねる問題。
二項対立構成の分かりやすい部分なので、キーワードをしっかりマーキングしながら仕分けして読んでいれば瞬時にどの要素で書けばよいかは判断できると思います。
またその際に問題文の空欄前に「歴史書に書かれている出来事や人物だけでなく」とあるので、ここから「人物」・「出来事」に対応する2つの要素を入れて書くことに気が付けるかが大切です。
そこさえわかれば「無名の人」「何気ない日常」という要素を入れるのは容易かと。
動画の読解編のように読んでいれば問題見る前にこの要素はしっかりマーキングできていると思いますので、ちゃんと読めている人にとっては1~2分で解ける問題ですね。
(5)難易度:標準 読解(選択)
国語の問題を解くうえで大切な「傍線部の分析」をしっかり行えば瞬殺できる問題。
今回は傍線部に「最初から大きな歴史の一部」という表現があり、この「最初から」に対応する要素があるのは(エ)の「長い歴史の一部として始まり」の箇所のみ。
- (ア)は「これから形成されていく歴史に大きな影響」とあり(エ)と真逆の内容。
- (イ)は文末の「でしかない」が本文の趣旨と異なる。
- (ウ)は「コントロール」できないと本文にある。
こうやって各選択肢の傷を確認しながら消去法で解いてもいいですが、正解の選択肢が光ると一気に時間が節約できますね。
(6)難易度:標準 読解(選択)
(7)難易度:標準 空欄補充(適語選択)
選択肢の語句自体は評論文を読解するための必須語ばかりです。万が一この中に意味の分からない語句があるのであればしっかり理解しておきましょう。
現代文の空欄補充問題は苦手な人が多いですが、もし苦手なら目線を変えましょう。
もしかして空欄に語句を入れ、空欄前後の一文を読んで自然かどうか…なんて解き方はしていませんか?それでは絶対に解けません。
空欄補充問題は段落の要旨を抑えられているかが重要
空欄(X)なんてまさにそれで、この空欄のある段落は、その前の段落から主題は「社会的な時間の流れ」です。「社会的な時間の流れ」にいるの人間だけではないということこそ筆者の主張。落としたくない問題。解説動画の読解編では最初に読んでいるときに正解が見えてしまっていましたが、あのように大きく段落で意味をとるように読んでいきましょう。
(Y)に関しては生物の進化に歴史的な要素(偶然性)が含まれることを説明するための例えとして書かれているQWERTY配列についての説明部分。空欄前の数段落はQWERTY配列が市場の大部分を占めているのは偶然によるものであり、最も使いやすいからわけではないという趣旨。この「最も使いやすい」ということの言い換えとして「合理的ではない」という記述が本文にありますのでちゃんとマーキングができていたら瞬殺です。これまた問題を見る前に解説動画の読解編で読んでいる間に解答が分かってしまっていましたね。
(Z)は前段落までのQWERTY配列についての内容が、人間の歴史の中での偶然性を示すどのような側面かを考える問題。本文の主題に関係ないところでり選択肢がなければ難しい問題ですが、他に紛らわしい選択肢がないので消去法でいきましょう。
(8)難易度:標準 論述
最後は70字の論述。最後の問題でQWERTY配列について書かせるの?って感じはしますよね。あくまで先ほどの問題でも確認したQWERTY配列が生物の社会的な歴史の例として用いられていることに留意しながら本論の趣旨であるチンパンジーの社会についての内容を意識しながら書きましょう。
そうすると、本論の冒頭で登場したグールドの主張である「歴史には『偶然』と『そうであることの強み』が伴う」という2点を要素として記述するという基本方針はすぐに立つかと思います。それを踏まえて最後から2番目と3番目の段落あたりでこの2点の言い換えになっているところを解答要素として70字でまとめれば満点がとれます。
- 偶然が重なってQWERTY配列が主流となった
- それに皆が慣れていき、それ以外が使われなくなった
この2ポイントですね。
第2問:現代文(物語文)
第2問は物語文。評論とは違った読み方が必要。特に注意すべきは心情表現と、心情変化を伴う場面展開です。とはいえ必ず最初に通読を。
出典は恩田陸「蜜蜂と遠雷」
今年は第156回直木賞受賞の話題の1冊からの出典。既読状態で受験した人もいたでしょうね。私は今年読書を封じていますので未読でしたが、これはそいる文庫行き決定ですね。もう購入しましたw
もともと気になっていた作品ですので近々このブログの「そいる文庫」で紹介したいと思います。
さて、出題部分の文章量は評論の2倍弱と長いですが、あくまで物語文なので通読にかける時間は速くて4分くらいかなと。これももう少しゆっくり読んでも問題ないですが、評論文よりはざっくりと大きなところをとらえる感じで読んでいきましょう。「大きなところ」というのは物語文特有の背後に流れるテーマです。
4人の登場人物ごとに構成されている作品ですが、そのうちの一人「明石」という人物にスポットライトを当てた場面。今回はこの人物をテーマに何を描きたいのかというところが捉えられるかですね。
そいる文庫で紹介しましたセンター2018の井上荒野「キャベツ炒めに捧ぐ」も同じ形式でしたが、やはりこういう構成の小説と、短編集は出題しやすいですね。ここ5年の出典を見ても短編集が多いです。
なお、マーキングは評論とは違って心情表現や登場人物のキャラクターを示すところ、あとは場面の代わりどころだけ抑えておけば問題ないです。
物語文に関しては細かなところは問題で聞かれてからが勝負という感じでいきましょう。
(1)難易度:易 漢字(書き取り)
「由来」・「回帰」と難易度は低い。基本的な日々の漢字学習で十分ですね。
(2)難易度:易 語句の意味
語彙力を問う問題。
- b「変わり種」は悩ましい選択肢もなく問題ないかと
- e「斜陽産業」の「斜陽」は初見の生徒も多いかなと。ただ文脈と「陽」が「斜」めに差す状態を考えれば正解を選べるかと思うので難易度は高くないかと。
- g「閉口する」は大学入試でもよく見る定番極問題。まず漢字から「口」を「閉」じていないア・エは選ばないでほしいですが、イとウは初見の人には文脈や漢字の構成から判断し辛く間違える人が多いかもしれません。純粋に語彙力が問われていますね。
(3)難易度:標準 読解(記述)
傍線部の理由を尋ねる問題。傍線部は分析する必要もなく傍線部より前の部分からという指定もあるので傍線部からは遠いですが容易にp6の後半にある該当箇所はみつかるかと思います。
あとは本当の理由を書かないといけないので、「いや、本当は、違う」の部分を見落として建前と本音の区別をせず、前者を解答にしたりしなければ問題なし。「怒り」や「疑問」などの心情表現は通読時にマーキングしておかないといけませんね。これがこの部分のテーマかなとも思いますので。
(4)難易度:標準 読解(選択)
傍線部の「明石の音楽観」や「反発」についてその内容を説明した選択肢を選べばよい。
明石の音楽観を示す語句でマーキングしたものをまとめると…
- 生活者の音楽
- 「普通のところ」にいたかった
この辺ですね。この2点を抑えておけばすぐに正解はイだとわかるかと思いますが一応他の選択肢の傷も確認しておきましょう。
- ア…正反対の内容で論外
- ウ…「祖母」というキーワードに引っ張られることのないように。「プロになるかならないか」が「反発」の内容のように書いてあるのがまずおかしい。また祖母は「音楽を生活のなかで楽しめる、まっとうな耳をもっている人」の例で「演奏者もまた、ふつうのところにいてよい」と言っているのであり、耳のするどい人のために演奏をしたいと書いてあるわけではない。
- エ…後半の「自分をからかい続けた男の子」というのは明石の音楽観とは無関係
こんな感じでしょうかね。消去法ではなくスパッとイを選びたいところですね。
(5)難易度:標準 読解(記述)
「ここのほうがいいや」は心情変化を示す発言ですね。「那須高原かどこかのスタジオ」ではなく蔵での練習を選択するという心情変化のきっかけは、回想シーンの終わり。
ある意味場面が変わるところですね。
今回は回想シーンで自分の音楽観は祖母の影響(傍線部fの一文の最後に書いてあります)だと気づき⇒最後は「じわっと身体の奥から何か温かいものが流れ出してきた」という心情変化につながります。
ということで傍線部の理由は…
- 「祖母」との思い出が詰まった蔵
- 「じわっと身体の奥から何か温かいものが流れ出してきた」
という要素を使って書けば模範解答となります。
(6)難易度:易 表現と内容(選択)
これまたセンター試験の物語文同様、最後は表現と内容についてたずねる問題ですが、表現はあまり気にせず内容で解きましょう。
ということで、エの花田の場面はファンだから勇気づけられたのではなく、音楽観が同じだと気が付いたから嬉しかったのですね。簡単です。
第3問:古文
第3問は古文。字数は公立中期選抜の2倍。出典は「俊頼髄脳」。
大学入試でよく出る歌論ですが、大学入試のように評論文チックな内容の箇所ではなく、あくまで短いエピソードの箇所なので普段入試問題演習で解いているような説話と変わらず、ストーリーに展開と”オチ”があり読みやすい内容。
特に今回は最後の(6)の内容一致問題でその”オチ”をバラしてしまっているので最初に問題に目を通しておけば話の内容が取れない人はいないかと思います。
(1)難易度:易 解釈
3か所の解釈を選択肢から選ぶ問題。これもセンター試験ぽくしているのかもしれませんが形式的には中期選抜と同じです。
- a…文法として「已然形+ば」「未然形+で」「格助詞『の』」などは理解しておいてほしいところではありますが、文法知識は使わず、「親のする事」の文脈理解で簡単に解けます。この辺は公立らしい問題ですね。
- b…これもまた文脈。「あけくれ恋ひ悲し」んでいるのは誰かという主語を尋ねる問題といいたいところですが、リード文をちゃんと読んでいれば解けてしまう問題ですね^^;いずれにせよ主語の推測は古文で必須です。
- c…「もの思ふ」「けしき(気色)」と「いかなる」という語句の意味が分かれば容易に解けます。特に後者は必須語です。ただしここも対話文の箇所なので「けしき」あたりの語句はわからなくても、この後の呉松孝のセリフから何を尋ねられたか推測はできると思います。
(2)難易度:標準 主語の推測
先ほども書きましたが主語の推測は古文では必須です。しっかり古文を読むたびに主語を補いながら読む癖をつけておきましょう。高校古文でも必須の能力です。
主語は文章の最初からしっかり辿っていくこと。聞かれた箇所から考えると分からなくなってしまいます。
- 1…この箇所で「恋ひ悲しびける」のは呉松孝というのがリード文から分かるのでそれを忘れるのも同じ呉松孝ですね。「この女の」という別の主語が挟まりますので「心ぐるし」いのは誰か考えて主語が変わっていることに気が付きましょう。
- 2…これは文頭に「女、」とありその述語部分なので間違える要素はないかと。
- 3…会話文のあとの「申しける」なので発言主を考えれば容易に「女」が主語だとわかります。
ちょっと難しいのは1ですが、2,3の動作主が「女」だとわかれば正解の選択肢が選べるので難易度的には低いかなと思われます。わかりやすいところから攻めていきましょう。
以下、蛇足かもしれませんが文章の接続ポイントで主語(動作主)が変わるポイントというのがありますので中学生向けにポイントをまとめておきます。
☑「て」でつながった動作の前後は同じ主語。これはほぼそう考えて間違いないですね。
☑ 已然形+「ば、ど」の前後では主語がよく変わる。※ただし絶対ではないので注意!
☑ 連体形or体言+「を、に」でもよく変わります※ただし絶対ではないので注意!
こんな感じですね。ですがこれらは絶対ではないので、あくまで参考程度にしておいて、やはり文脈から類推することが大切です。
あくまで筆者は書かなくても分かるだろうという意識で主語を省略します。つまり内容で判別できるような場合は省略するということ。
- ☑ 敬語から分かるだろうパターン
- ☑ ”名もなき者”を主語にする必要などないわ!パターン
- ☑ 会話の順番的に分かるだろうパターン
などなど色々あります。
(3)難易度:標準 読解(選択)
傍線部の解釈は問題でしてくれているので本文が読解できていれば問題なく解けますね。
肝心の本文の読解ですが、「不本意ながら結婚した相手が実は恋焦がれていた憧れの人だった」というこの1点のみ。リード文をしっかり読めば難しくはないかなと思います。
ストーリーというものが存在することを考えていない人でもなければ選択肢でア・イあたりを選ぶことはないかと。エを選んだ人は、主語を取らずに読んでいる人か、もしくは「おろかならぬ」あたりを読み違えたか…。「契り」というものが何か理解できていない可能性もありますかね。仏教や恋愛関連などの古文常識は漫画でも読んで頭に入れておくべきですね。
↑高校生向けの記事ですが参考までにどうぞ。
(4)難易度:易 解釈(選択)
傍線部の解釈ですが、実質主語(動作主)の推定問題ですね。
”誰が書いて流し、誰がそれを読んだのか”が分かれば問題なく解けますし容易に推定できます。
傍線部eは「~を見れば」とあり発言主がこの木の葉を見たことは明確。なお傍線部eは会話文中にありますので、その発言主がだれかは(2)で判明していますね。
(5)難易度:標準 読解(記述)
「だれとだれがどのようにしたのか」という問題条件がありますが、この問題文の場面は2人しかいないので迷うことはないでしょう。「とりいでたる」も「とりだした」と簡単で、何を取り出したかは「木の葉」以外何があろうか(いやない)という反語を使いたくなる(笑)くらい簡単なので問題ないでしょう。
ポイントは「木の葉」の修飾語をどうするかですね。「詩が書いてある」「川で拾った」あたりは説明として必要かと思います。骨格を決めたら字数に合わせて説明を加える形で文を構成しましょう。
(6)難易度:易 読解(選択)
内容一致問題。ここを最初に読んでおくと本文の読解が楽になりますね。しかも今回は「適当でないもの」を選ぶ問題。4つのうち3つは正解なわけですからね。特にアの選択肢なんて絶対載せてはいけないような気がするのですが…^^;
講評
塾によっては大は小を兼ねるで高校の参考書を渡し、高校生レベルで本文を読解させてしまおうという指導をされているところもありますが、残念ながらそういう塾の卒業生を見ても高校入学後全く頭には入っていませんね^^;
専門学科の古文ではある程度までは教えておいた方が楽というのはありますが、高校生でもしんどい古典文法を中3が学ぶとなると時間と労力が得点に見合ったものにならないのは明白。
主語の推定などの基本的な読解技術と、今回であれば「おろかなり」などの基本語句の暗記、そして古文常識をさらっと学ぶくらいにして他の科目に時間をかけた方がいいというのが私の考えです。
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