【そいる文庫】「青い棘」三浦綾子(2010立命館大より)

そいる塾長
そいる塾長

どうも、そいる塾長です。

 

「青い棘」三浦綾子(1922-1999)

三浦綾子さんは立命館らしいチョイスですね。

三浦綾子 - Wikipedia

個人的には出題した箇所にはある意味大学入試らしいセンスを感じがして好きです(笑)

 

今回は立命館大学2010年度国語の入試問題から

今回は立命館大学2010年度国語第1問の出典作です。

その昔国語の授業を担当してた女子高生(高3)がこの問題が全く出来ていなくて解説。

JK
JK

意味わからへ~ん( ;∀;)

解説されるまで何の話か全くわからなかったらしいです(-_-;)

問題は立命館現代文らしい難易度なんで、さすがにちょっと難しいにしても、内容が読めんわけ無いだろう…。なんやかんやいって物語文。

問2、問8なんかはしっかりとした物語文の読解力を試される良問かなと。

最近なくなった(?)のか立命館の抜出問題は評論だろうが、物語文だろうが傍線部から遠い場合が多いですね。

ただ尋ねられている内容をしっかり押さえればすっと該当する段落に飛ぶことが可能となります。

少なくともこういう問題は最初からしらみつぶしに検索かけていくような方法では見つかりません。何を探しているのか分かっていない状態では見つかるものも見つかりません。

最初の本文読解と傍線部、問題文の分析でしっかり何を問われているかを見抜き、本文の該当する段落へジャンプできるようにしましょうね。

そのためには文章の構成をしっかり押さえること。そして段落ごとに要約してインプットする読解力が必要です。

今回の文章だと「死」を連想させるような表現が「伏線」であるという当たり前レベルの物語文の表現技法をしっかり押さえ読んでいけば問2は数秒で該当箇所が見つかりますよ。

苦手な人は練習時に段落ごとに「つまり?」と自分に質問し答えていくような読解の練習をしましょう。初学者なら段落ごとにタイトルをつけていくような練習も効果的かなと。ま、これは評論文のほうが練習になるかなとは思いますが。

 

 

読書感想文

解説するとさくっと問題は解けたんですが、授業後なんか妙にテンション上がってしまった彼女。

嫌な予感がしたんですが、その日の帰りブックオフで買って一日で読み切ったらしく、次の日ルンルンで先生も読んで♡と貸してくれました。

いや、受験勉強せい!

彼女のように物語文で得点が乱高下する人は注意が必要です。特にセンターみたいな一発勝負でそれはいかん。

主人公が自分と遠いとか、時代背景が違うと解けないって人は物語文の解き方の前提から間違えていますので注意。

イチかバチかにならないようにしっかり対策を。

表面上のストーリーに惑わされず、本文の背後に一貫して流れるテーマをしっかりおさえましょう。

今回は、タイトルにあるの部分を丁寧に読み解けば正解に至ります。と言いたいところですがそんな簡単じゃない。

そういえば入試問題作りやすそうな文章ですね。にしても、入試問題があんなところで終わるのは反則。確信犯ですね。気になって古文が解けないっちゅうの。

かくいう私は気になりながらも、最近まで読まずに放置。いわゆる借りパチ(関西弁)してたわけです^^;

彼女はただ今スコットランド。立派な大人の女性になりました。今度あったら必ず返そう。今なら違った読み方ができるでしょう。

この頃はまだ”女の子”だったんでしょうね。子どもだった生徒が大人になっていくのを見るとうれしい半分なんか切ない。ちなみに彼女、この授業の後、彼女は好きな男性のタイプがジョニーデップって言ってました。影響されすぎじゃね?

スコットランドでジョニーデップ似の彼氏が出来ていたらこの問題に責任をとってもらおう。

人生を変える1冊ってあるのですね。ん?これは違うか。

旦那のお父さんを好きになる気持ちなんて、女子高生がわかるわけないんですが、たしかになかなかドキドキする展開ではあります(笑)

背表紙には…

夫婦、嫁舅それぞれの心の奥に潜む棘を鋭く衝く問題作。」

と書いてあります。問題作って書いちゃってますが(笑)、いいですね、。こういうのすごく好き。

内容はというと、同じく背表紙の…

「いやだわ、私・・・夫よりお父さんのほうを信じてる。夕起子は心の片隅で大学教授の舅に理想の男を描いていた。」

ってとこに集約されております。

はい、ここだけ読めば完全な大人の恋の物語ですね。しかも禁断の。ドロドロしてそうですね(;’∀’)

三浦さんは禁忌的なものをよくテーマにされるとか。

ただしこの作品、愛や結婚以外にも戦争ががっつり裏テーマだったりします。

結構なページ数を戦争の描写に当てています。ちょっと長いって感じたのは私だけ?

あと立命館の問題でも問われていますが、「死」を連想させる表現が多すぎて、まだかまだかと読んでいくのはちょっとしんどい。途中で心が折れる人もいるかもしれませんが頑張って読みましょう。なお、これが入試問題を解くポイントだったりします。

かくいう私も、当時ちょっと読んで「そっちか~」ってなって、読むのがしんどいんで放置してたんですが、「入試問題の出典ものを中心に紹介」って言ってしまった手前、教室に置きっぱにしてましたのを引っ張り出して読んでみたというわけです。

 

戦争が重要なテーマ

時期が時期だけにタイムリーな作品なのかもしれません。

戦争がテーマの小説をもっと多くの子どもたちに読んでほしいと思うんですね。

子供たちには自分が生きた時代とは異なる価値観を知ってほしい。歴史で学ぶ表面ではなくその内部にある価値観にも触れてほしいなと。

戦争については今の子達も学校の授業で嫌ってほど学ぶし、長崎や広島に修学旅行にも行くとは思うんで、彼らが学んでないとは言いません。でも、彼らと話していると確実に「歴史」として捉えているなと感じていしまいます。

やはり私達戦争を知らない世代よりもさらに戦争が遠のいている感じがしてなりません。英語の教科書の「A Mother’s Lullaby」とかでもいいんですが、もっとこういう戦争を体験した世代の「現在」から見た戦争を知ってほしいというか。

 

今この時代にいる戦争体験者が(三浦さんを含め多くの作家さんは既にお亡くなりになっていますが。)、あの時代を、今この平和な時代の中でどう見ている(見ていた)のかを知るのはとても大切なことだと思います。

特に三浦さん世代はいわゆる戦中派。青春時代が戦争時代ともろかぶりの悲劇の世代。

確実に今の自分がのっかている線上、しかもそう遠くない延長線上に確実に戦争があったということ。

そして今の私たちが当たり前のように享受している幸せの殆どを彼らは失って生きてきたことを疑似体験だけでもすべきです。

 

 

子どもたちにとっての憲法の改正議論

こんなにも子供たちから戦争が遠のいた状況で憲法改正が議論されているのは大変心配です。

私が塾でちょっとそそのかせば彼らはすぐに改憲派にも非改憲派にもなると思います。(しませんよ笑)

この本を読めばいわゆる左側に引っ張られるかもしれません。

こんなに簡単では危険だなと。自分で考える力を育てるのはやはり大切です。私は塾をやっている以上、絶対に政治的に偏った指導はしないと決めています。

なんとな~く紹介した本の内容だけで、私の政治信条を決められてはたまらないので一応書いておきますね。政治や宗教というデリケートな問題を子供たちから尋ねられるたびに、情報は与えますが自分で判断するように言っています。

私の仕事は考える道具を与えることであり、答えは与えるべきではないと考えています。

改憲についても公民を学ぶ中3や政経受験の高3からはどうしても尋ねられます。

高校生
生徒

先生はどっちがいいと思います?

私の答えは、「憲法9条だろうが、自衛隊だろうが、日米同盟だろうが、核兵器だろうがなんだっていいので、どうしたら自分の子供を守れるかを考えてほしい」です。

それしか言えません。

「日米同盟」や「核武装」、逆に「世界に誇る9条」「核兵器廃絶」はいずれも目的ではなく手段。

手段と目的をはき違えたような議論は大きな間違いだと思います。

彼らが考えるのをやめたら日本はおしまいです。国民みんなが考えた上での結論なら民主主義国家なんだから仕方がない。

しかし残念ながら彼ら子どもたちには考える能力がない。今の教育をみているとそんな国民を作り上げたいのかなと思うほど。

その能力を育てる役割の学校の先生が、浅くて中身のない偏りまくりの政治論を将来を担う有能な子どもたちに聞かせるなと。最近近隣中学でそんな話を耳にして怒り心頭です。

手段については正解なんてない。そんな正解のないものを正解があるように教えるのは詐欺師の所業。家庭ならともかく教育の場でそれはアンフェアです。(もちろん親の影響が一番でかいんですが・・・)

それでは戦時中の教育勅語と同じ。

野球やサッカーが下手なおっさんほどテレビ見ててすっかり名監督気分で解説しますよね。

 

あ、はい、この件はいつも以上にムカついています。

この問題教師が言ってることなんてほんとしょーもない内容です。しょーもないから余計に腹立つ。

大人が聞けば、「こういう人いるよね-」で流せるんですがね。

それでもそっち側に動いてしまってる生徒がいるんです。こういうバカな大人がしょうもない主観をぶっかけたとしても、負けずにしっかりと自分で考える力を持ってほしいなと。

こういうときこそアクティブラーニングじゃないのと(笑)

朝日新聞と産経新聞を読み比べろとまでは言いませんが、せめて小説でもいいから本をたくさん読んで自分の中で少しでも政治や戦争に対しても考える機会を持っておいてもいいのでは。

もちろん作家さん自信も偏っている場合があるので、色んな本を読んでいろんな価値観に触れておくことが大切。

読んだもの、聞いたことをそのまま自分の考えであるかのように勘違いしないように。丸呑みではなく、よく噛んでもぐもぐして下さい。いいですか?もぐもぐですよ!

「情報リテラシー」→中3公民でテストに出ますよ。

あんまりにも戦争、戦争した重たいテーマを避けたくなる気持ちはわかるので、こういう大人の恋愛とかいう中2(高2か?)が喜びそうなテーマと合わせて読んでみるのはいいかもしれませんね。

とまあ、この作品も当ブログのように途中から主題を大きく脱線していくイメージですw

 

大人の恋愛

まあ、天下の立命館大学様がお選びになった作品なので大丈夫だと思って紹介していますが、間違っても中高生に向けて書いた本ではないのです。

汚ーい大人の世界が見事に(?)描かれています。女性作家だからか、男性の描き方がとくにきつい。ちょっとやり過ぎ感が・・・。

昭和ってこんな時代だったってのは私も知っていますが、これを読んだらさすがに平成生まれは男性不信に陥りそうです。そんなもんを紹介するなと言われそうですが、あくまで出題したのは立命館。

私に責任はない。

でも明らかに現代とは違う男女の価値観が見られるのは良いかもしれません。

こういうものを腹を立てながら読むのも大切ですよ。

昭和へのノスタルジーとそんなノスタルジーの裏側の汚い部分がしっかり見える作品です。

「オールウェイズ三丁目の夕日」のようなノスタルジックな作品が描かない戦後高度成長期の裏側の汚い部分。

韓国の反日感情は戦時中ではなく戦後に醸成されたものではないのかと考えさせられますし、中国人観光客のマナーの悪さをギャーギャー言ってるおっさんたちが若い頃、海外で何をしていたかもわかります。(かなり偏ってますが実際そんな話は私たち世代も耳にしてるわけです)

そして大人の恋愛は中高生の恋愛とはやっぱり違うということ。それはどうでもいいか?

まあ、そんなこともこの本で学んでみてはいかがでしょう?

なんで中高生がキャーキャー言うようなドラマや映画を、大人は見なくなるかというと、内容がキレイすぎてつらいんです。

どこにも大人の悪意がない。

その大人の悪意を棘とよびましょうか。

きれいな俳優さんばかりで飾られてて面白くない。もっとドロドロしやがれって大人は思ったりするんです。

大人の心が棘だらけだから。

私なんてこれくらい棘だらけです。

だらけの現実の世界を見てしまった大人に、月9の恋愛ドラマはもう無理だw

逆にそこへ逃げ込みたくなる人もいるようですが。もはやおじさん、おばさんにとってそれはファンタジーなのかもしれません。

ディズニーとかジブリの世界と同じです。

ということで中高生の間に中高生にしか出来ない恋愛をしましょう。心にが出来る前に。

おそらく大学生くらいからが出始めるんではないでしょうか・・・。

大人の恋愛に憧れてるとしたらそれはおそらくドラマという汚い部分を削ぎ落とした一つのコントを見て憧れているだけ。

大人になって青春時代を振り返る時、そこにあるのは何のためにあんなに頑張っていたのかわからない部活と、なんであんなに馬鹿みたいにキュンキュンしてたのか分からない恋愛だけ。

今しかできないぞ!精一杯やるがよい、若者よ。

 

 

今日はこの辺で。

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