どうも、そいる塾長です。
データは見せ方で変わる
どこの高校の合格実績が良いか悪いかというのは各高校のホームページ等を参考にしていただくとして、今回は合格実績を比較する上での注意点だけ書いておきます。
数字は見せ方で変わります。またちょっとしたことからその背景が読み取れたりするもんです。
ちょっと高校入試とは関係ない例ですがわかりやすいのを見てください。
新司法試験合格者数のデータに潜むトリック
とある年度(セミナーで毎年使いまわしておりまして、いつのものか忘れました。)の新司法試験合格者数の法科大学院別合格者数です。
このデータを見る限り弁護士になりたければ絶対早稲田ですよね。
と…、なりそうなもんですが…。
では次のデータ見て下さい。
はい、これがトリックです。早稲田まさかの6位転落…笑(今のデータじゃないですよ)
まあ、こんなのにひっかかってるようじゃ司法試験は合格しませんわね。
数と率。
公立高校入試の社会で出題される資料の読み取り問題みたいですね。
さすがに嘘のデータは良くないですが、見せ方のテクニックでここまで変わるんです。世の中にはこんなのが溢れてますよね。
「合格実績」と「進学(進路)実績」
上の例で言えば国公立合格者50人の学校AとBがあるとします。これならAもBも同じですよね。
しかし卒業生徒数がが300人のAと500人のBでは当然Aのほうが実績はいいでわけです。合格率が違いますわね。
でももしBは校内でコース分けされていて最上位(国公立進学)コースは500人中100人だったとしたらこれまた国公立に進学する可能性が高い高校はBになるわけです。
合格実績
国公立大学 総計 36 名
医歯薬系大学 総計 7 名
私立大学 総計 590 名
海外の大学 総計 1 名
こうなっていますが、この合計は634名となります。
しかしこの学校、卒業生徒数は約480名。生徒数を合格数が超えているのがお分かりいただけるでしょうか。
こちらの学校のホームページには残念ながらこの数字がどのようなものかを明記していません。考えられるのは以下の可能性。
☑ 一人で複数校に合格した場合別で合算している。
☑ 過年度(浪人)生の合格先を含んでいる
ちなみに今年浪人した生徒数も明記されていません。(説明会で聞いたところかなりの人数が今年は実際は浪人しています。)
また、専門学校に進学した生徒、就職を選択した生徒数は明記していない。
彼らはいずれも卒業者数480名には含まれるものの、この合格者数634名には含まれていませんからね。
となるとこの634名はかなりの数が実際の卒業生の進学先である進学実績に上乗せされた数字であるということです。
※この学校は例年防衛大の一次学科試験の合格者を国公立合格者に含んでいますがなぜか今年は含んでいません。ですので前年国公立52名だったのが今年36名。大幅減のように見えますが今年だけ防衛大を含んでいないために大幅減に見えるということになっております。
ちゃっかり説明会などでは防衛大込みの人数で国公立54名と謡っていらっしゃるようで…。
この辺が信頼できないと言う所以です。
進学実績
一方信頼できる数字である進学実績を出してくるのは公立高校(進学校)に多いです。
こちらは堀川高校の進学実績。これが理想の公表の仕方かなと。
☑ 実際に進学した先のみ記載されています。
☑ コース別に合格者数が記載されています。
☑ 学部学科まで記載
☑ 「その他」で大学名をまとめない
☑ 浪人生は別で記載
当然進学実績と合格実績を比べると合格実績のほうが数字は派手になります。
私立高校はとにかく進路指導でたくさん大学を受験するよう促してきます。
例えば関関同立志望者に他私大はもちろん、中堅以下の国公立大を受験させます。そうして合格した大学を全てカウントするんですね。
私立大は試験日程が複数あります。同一人物が別日で同じ大学に合格した場合は流石にカウントしていないと思いますが(してないですよね?)、別大学は100%カウントします。(別学部ならカウントしている可能性あり?)
つまり、ある生徒が、公募推薦で①佛教大、②龍谷大、③京産大、④近畿大、一般入試で⑤立命館、⑥同志社、⑦関大、⑧防衛大学 ⑨国公立の前期で滋賀大に合格
これで私立大で7,国公立で2の合格実績が積み上がります。
やろうと思えば、国公立の前期蹴って中期、後期も受験は可能です。
この防衛大で国公立大合格実績のかさ増し手法はもはやインチキ高校の常套手段だと思っています。
あと、有名私大合格者に人生で一度も耳にしたことがない公立大学の夜間を勧める進路指導する高校。別に経済的に問題ない子に対してです。
私は申し訳ないですが二度とその高校を勧めることはしません。そんな学校に大事な生徒を預けられるはずがなかろうて。
ちなみに大学受験では私立だけでなく国公立でも合格後に”蹴る”ことが可能です。簡単に言えば入学手続きをしなければ入学しなくて済むという仕組みですね。だから上の例の場合もだいたい滋賀大には行かず、同志社に進むことが多い。
こちらの記事に私立・国公立大学のちょっと古いデータですが大学別の歩留まり率が詳しく載っています。コレを見ると国公立でも歩留まり率30%台のところがありますね。
これでいかに国公立が蹴られているか理解いただけると思います。
こういういわゆる合格しやすい国公立、またはセンター試験で3科目(いわゆる私立型)しか要求されないような公立大学は難関私立大学の滑り止めになっているということがわかります。
滑り止めなら良いのですが(いいのか?笑)、合格実績を稼ぐために利用されていることも。
ちょっと昔にはお金渡して受験させてたバカ私立高校がニュースになってました。
間違ってほしくないのは、合格可能性を上げるために複数の日程、複数の私立大学を受験するよう進めるのは悪いことではありません。
逆に一発勝負でないことが私立入試のメリットなので本命の大学を1日しか受けないような強者はよほど自信があるのでしょうね(嫌味)
ですが、進路指導で、やたら複数の有名大学を薦めてくる。行く気はない私立大学もとにかく併願を薦めてくる。そして私立専願なのに言葉巧みに国公立を薦めてくる高校。
また国公立大史上主義というか、国公立大であれば有名私大よりも良い大学だというようなことを言ってくるわけですよ。
とりあえず聞いたことが無い国公立を薦められたらまずは疑うようにして本やネットで調べるなり、信頼できる塾の先生に相談してみましょう。
ということで合格実績の数字は国公立大でも私立大でも信頼し辛い。
一方で進路実績のほうはもう少し明確。基本的に実際に進学した大学だけをカウント。つまり一人一大学しか数に入れない。本命の国公立に合格したら滑り止めを合格していても数に入れないのです。
公立トップ校よりもそのへんの普通の私立高校のほうが関関同立や産近甲龍の数がやたら多いのにはこういうトリックがあるんです。
推薦という名のもう一つのトリック
こちらはもはや説明不要かもしれませんが、指定校推薦や高大連携のような特殊な高大のパイプの存在。
私立大学への合格実績が(これは進学実績であっても)分かりにくいのはどのような方法で合格したのかがわからないということ。
立命館大合格者50といっても推薦合格者が10なのか40なのかでみなさんが進学すべきコースが変わります。
というのも高校によっては、この指定校推薦を受けられるコースというのが決まっているからです。
よくあるのは最上位コースの子は推薦を受けられず、中位のコースが有名大の推薦を、下位コースが残り物を分け分けするパターン。
ちなみに学内でコースわけがされている場合カリキュラムだけでなく評定も別でつくわけです。そのコースで平均点をとれば4がつくわけですね。ですがその枠が自分のコースに割り当てられているかを知っておかなければ、最初から内定をもらえるはずのない大学に推薦希望を出してしまうなんてことがあるわけです。
そもそもその指定校推薦の枠は昨年一般入試で戦った最上位コースの子たちが勝ち取ったものであるのですがね(-_-;)
さらに複雑なのがスポーツコースのように特殊なコースを併設している場合。
例えば強化指定の部活の子をスポーツクラスかなんかに編成している学校の場合、評定はそのコースだけでつけるので、中学みたいな簡単なテストでみんなに4を付けて(平均とれば4がつきます。)優先的に指定校推薦を与え有名大学に進学させる。
そうすることで翌年も全国から有能な選手を、有名大学への進学を餌に呼び集めます。
なので指定校推薦で、と考えている方はどのコースからどの大学に合格しているか見極めなければいけません。見抜けるわけがないので教えてもらうことしかできません。しかしこれはブラックボックスなんで中で何が行われているかなんて本当のことをいうと誰もわかりません。
寄付をたくさんしている子が優先と聞いたのですが…
私にはわかりません。学校はNOと言うでしょう。知りません。ブラックボックスです。
逆に推薦でなく中位コースから一般入試でたくさん合格させている高校に行こうとしている方も注意です。
というのも例えば合格実績に関関同立50名合格と書いてあっても、もしかしたら指定校推薦が30、最上位(国公立コース)コースの子が滑り止めで受験しまくって20という可能性も。
そうなると中位コースから一般入試で合格する子は0ですよね。これは極端な例ですが実際、偏差値が60未満の私立高校の中位コースの子が一般入試で関関同立に合格するなんて最上位コースで旧帝に合格するような奇跡ですよ。
実際「難関私大コース」という名を関しながら化学の教科書が半分も進まないまま終わった高校もあります(実話)
こういう高校は滅びてほしいレベルですよ(笑)
ちなみにここで私が憤慨している内容はすべて京都に実在する高校のお話です。これが意外に人気があるから困る(-_-;)
どのコースからの合格者なのか
先ほど見たように京都では公立の堀川高校や嵯峨野高校、洛北や鳥羽高校も進学実績を各コースごとに発表しています。ですのでどのコースに行けばどういう大学に進むかがイメージしやすい。
(都合が悪くなると途端に実績が大雑把な表記に変えてごまかす場合があるので注意。)
京都で人気の公立高校は一時期ホームページの進路実績を2年くらい更新していませんでしたからね(-_-;)
堀川は当然として、嵯峨野さんは指定校なんて存在しないと説明会で断言しているのでその辺もわかりやすいですね。
一方でいっぱいコースが有りながらコースごとの内訳を発表しない下衆な公立高校もあります。どことは言いませんがね。
私立はお察しの通り、頑なに出さないところがほとんどです。
こういうのって明らかに情報開示の仕方として問題がありますよね。教育ですよ?公立なんて市民の権利を侵害しとるような気もしますし。私立に関しても消費者保護の観点から問題だなと。
こんなインチキ商法みたいな手法を放置してどうするんだと思うんですが。
特定の大学への合格者が異常に多いのには注意
例えば偏差値が同じような私立高校A,Bが京都にあるとしましょう。
Aは京産大に合格者100、龍谷大に合格者30
Bは京産大に合格者30、龍谷大に合格者40とします。
あきらかにAの京産大合格者100は異常。だって人気・偏差値ともに同レベルの龍谷の合格者がほとんど変わらないのになぜ京産大がこんなに多いのか。
これは確実に何かしらの提携です。なんかかっこいい名前を付けてはいても、ただの業務提携です。指定校推薦や高大連携というグレーな方法で確実に人員を配給しているわけです。
同じように
C高校は立命館に合格者20 関西学院に合格者50
D高校は立命館に合格者30 関西学院に合格者8
この場合合計で上回るC高校のほうが強いような気がしますよね。
でも関西学院って京都からだと通うのがしんどいので、ほぼ確実に京都ではどこの高校でも人気は立命館。偏差値が同じくらいなのでどうしても進学するのは立命館のほうが多くなる。
にも関わらずC高校で関学合格者が多いのはやっぱり提携です。
推薦枠が多く貰えているだけです。こういう違いははっきり言って実力差ではなく経営力の差です。
推薦を狙う方は多いほうが当然良いですが、入試制度が変わるので今のように本当に楽に推薦がもらえるか分かりません。あとこういう大人の事情で決まる以上自分の努力でコントロールできないことを理解しておきましょうね。
楽をしようとして大変な目に合わないように祈りましょう。
その他国公立に注意
国公立ならなんでも良いわけではないのでその他国公立の数を見てもほぼ価値はないです。いやどうしてもそこへ行きたい人もその他でまとめられたらね…^^;
簡単な話、合計数ではなく自らが進学したいところの数が多ければそれで良いですね。
ただ、志望校がなく漠然と国公立と考えている方には難しいです。
京大が二桁超えてる高校はあくまで京大に行かせようとします。3人くらいしか合格してないのに後期京大の問題ガンガンやってくる何がしたいのか分からない空回り学校もありますが…。
京大を目指す子たちが一番得をする授業・カリキュラムになる可能性があるのでその他の国公立志望者は注意です。高いレベルで揉まれるのはいいことですけどね。
逆に信州とか金沢とかは関西ではマイナーです。ですが実は今注目されてる大学だったりします。ただメジャーではないのでそもそも誰も受けていなかったりする。そういう時は同じレベルの地元で人気の大学の合格数を見るしかないですね。
ですが本当に誰も知らない行ったら最後みたいな公立大学もあります。おそらく数年後には閉鎖または私立に売却です。
国公立という名前にだまされないようにしましょう。
そして国公立の数さえ増えれば良いと考えて進路指導してくるクズ野郎が確実にいるので注意しましょう。
まとめ
とりあえず合格実績にまつわる注意点をいくつか書いてみました。全国の高校の進学実績だけに統一してまとめたような冊子も出ているので是非参考にしてみてください。
このようなものに掲載されているのは大学への聞き取りで出てくる数字なのでわかりやすいです。いわゆる進学実績ですね。ただし過年度生が含まれるのでそれだけは注意ですね。
特に私立高校が発表している数字(合格実績)と違いすぎてびっくりします。正しく情報を収集するのは大切ですが難しいです。とくに公立と私立の数字の比較は注意。その合格実績に本当に何百万ものお金をかけるほどの価値があるのか考えた方が良いでしょう。
保護者さんはその辺冷静にしっかり判断していきましょう。
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