【兵庫遠征記】あの尾方学習塾で1泊2日の武者修行② 教えない授業

そいる塾長
そいる塾長

どうも、そいる塾長です。

前回に引き続き兵庫遠征記「尾方学習塾で武者修行その2」です!とか言いながら完全に自立学習の大切さをひたすら説いているだけになっていますがお許しを!教えない授業でめちゃめちゃ教えることとはいったい何なのか。その秘密に迫ります。
前編はこちらから
https://soil19.com/gotoogata1

教えない授業で教えること

さて私の授業レポです。

尾方学習塾はお子さんが自分で運転する力を身に着けさせるところに特化した学習塾

前回の記事で尾方学習塾をこのように表現しました。

自分で勉強する力を身に着けさせる塾。

ここでポイントになるのが”教えない”ということなのですが放置ではいけません。それは自習。

いや自習は自習で大事なんです。本当に一人、いや孤独に問題と向き合う時間。だからこそこの自立学習と自習の差はめちぇめちゃ大きいと考えています。

今回尾方学習塾でこのような貴重な体験をさせていただく機会を得たのはSOILでも自立学習を取り入れるというお話を以前より尾方先生に相談していたため。

ということで自分の考える自立学習のやり方、考え方を思う存分実践させていただきました。

 

私が自立学習で心掛けていること

私が自立学習の目的としたいものは大きく2つ。

① 学習の土台をつくる

いつも言っている学習の基礎となる部分の構築ですね。IQではなく非認知能力の部分と言ってもいいでしょう。

これができていないとおかしな学習態度を身に着けてしまいます。そしてこれがいったん身についてしまうと変な癖のようになってしまい抜けにくくなる。

例えばこれまで書いてきたやってはいけない勉強法のように、目的意識の伴わない”作業”のような勉強をしてしまう子は何時間勉強しても伸びません。

中学から塾に通い始めた勉強が苦手という子の多くがこの非認知能力を身に着けていません。逆にを持っている子は入塾数カ月で成績がどーん!と上がるタイプだと思っています。

面談で私がお母さんにこの子は伸びますというとき、間違いなく体験授業でこの非認知能力を見て言っています。

だから生徒たちには何よりも先にこの能力を身につけさせたいのですが、そのためには授業だけでなく自立学習指導が必要だと感じています。

もちろん授業でもこの部分の指導は行います。パターンとしていくつか系統だてて理解しているつもりですし、共通する部分もある。

しかしやはり最後のところで一人ひとり症状が違うし、その症状がでてくる要因も違う。そして何より彼らは自分がそういう状態であることに気が付いていない。

尾方学習塾で2日間にわたり中1~中3生まで見させてもらいましたが、やはり生徒それぞれに色々な形の学習の癖があった。

ノートまとめ作業員や、英語は苦手だと言ってせっかく持っている知識を使いこなせない子、そして語句の意味を理解しないまま答えだけを丸暗記してテストを受けてしまう瞬間記憶術の持ち主などなど。

この子たちには科目の知識を教える以上にその子の勉強の仕方の何がいけないのかをひたすら説明してきました。

何がいけないのかをしっかり説明し、自分で意識してもらうことが何より必要だと考えるからです。

本人におかしな勉強をしている自覚はありません。それが正しいと信じているパターンがほとんど。勘違いと言ってもいいでしょう。

子どもたちに自分の学習を客観視する力をつけさせる

だからこそ自立学習を行っているところを見てその場で指摘していくことが最も効果的だと思うのです。

こんな感じで(笑)

そのためにはやはり個別に見ていく必要があるのです。だからこそ集団個別と呼ばれる自立式の指導スタイルが効果的だと考えています。

授業後に〇〇さんは××なところがありますか?と聞くとやはり尾方先生もそう見ているわけです。会って数時間でこれが見抜けるのは自立学習というスタイルだからこそ。

目の前で実際に手を動かしてももらっているから分かるんですよね。

彼らのなかには塾に通い始めて数カ月の子もいるし、そもそも尾方学習塾が自立型を取り入れてまだ3カ月。今まさに芽が出始めているところでしょう。

ここで大切だと思うのは時間をかけてとにかく継続すること。毎回指導する側がブレずに一貫性をもって指導する。

そうすると人によってばらつきはあるものの、必ず自立し始めます。ここからの成績アップはドーンですよ(笑)

 

 

② 思考の土台をつくる

個別具体的な内容を一般化する力とでもいいでしょうか。例えば基本問題の知識を応用問題に援用する能力だったり、いくつかの問題から規則のようなものを自ら発見する能力。

この能力がないと同じことを尋ねている問題でも別問題と処理する子が出てきます。

「こんな問題ならってな~い」てやつですね^^;

一語一句同じでないと同じ問題と認識できない原因がまさにこの一般化能力の欠如というわけです。

そしてこの一般化ができないと勉強の時間以上のものを得られないわけです。

1教えたら1返ってくるか、2になっているか、はたまた10になって返ってくるか。思考する力があるかどうかで大きく変わります。

この思考をさせるためには先生が答えを教えてしまってはいけないというのはよくわかりますよね。

我々指導する側こそいかに一般化して指導できるかが大事。
「この問題は〇〇…、あの問題は××…」と個別具体的に指導するよりも「この単元の根底にある考え方は○○だよ」ということを教える。
例えば数学。

2日目に指導させてもらった中3生は三平方の定理に入っていました。各自プリントで導入部分を自分で読みながら問題演習を進めていきます。

ここで授業であれば今から起きる間違えをいくつか潰せます。

例えば三平方の定理の単元に入った生徒が演習を進めるとありがちなことというと…。

「三平方の定理」の画像検索結果

関連画像

左の公式を暗記して問題を解いていくと右の比を使う問題でまず詰まり、次に右の比で解く問題の演習を続けていくと、角度が書いていなくてもなぜかこの比が使えるように思い込んでいたり…。

私たちはこうやって経験から生徒の間違えを先読みし授業で潰すことができます。

確かにそうすることで圧倒的なスピードで進めることはできるのですが、そのスピード故生徒がついてきていないことが多々あるわけです。

そしてそうやって危険な芽を摘んでしまうことで生徒たちの考える機会を奪っているのではないかという思いもあるのです。

このあたり授業で潰すなら潰すでしっかり意識をしなければいけないですね。

ですので先ほどの学習態度のときとは違ってできる限り”教えず”生徒が頭を動かすような質問対応にしました。

例えば、直角三角形が2つ組み合わさって急に手が止まった生徒には「使うのは三平方の定理だけ」「三平方の定理は2つの辺の長さが分かれば絶対解ける」といった当たり前の基本をもう一度意識させなおすこと。

「習っていないことを使うんじゃないか」とか「ひらめかないといけないんじゃないか」みたいなおかしな思考をさせない。

「上の問題と何が違うの?」のような質問も効果的ですね。別問題にしちゃう子が多いので。基本問題の組み合わせだったり、その基本のパターンが見えにくくなっているのを自分から掘り起こすような考えで応用問題を見ていく必要があります。

これぞ一般化する能力と言えるでしょう。

こういった指導が”教えない”指導。尾方先生(や私笑)のような力のある先生だからこそできる匠の技ですね。

「まずここの長さ出して」とか言ってしまうのが分かりやすい授業だと思っているなら大間違いです。

生徒自身が解説部分や基本問題で学んだことをいかに自分で一般化して頭にセットしていくか。できるようになってもらわないと指導側は地獄です。それまでは教室中を走り回らなければいけませんからね^^;

 

英単語の覚え方

英単語の暗記に苦しむ中1の女の子が尾方先生に「どうやって英単語を暗記すればよいか」という質問。ニヤニヤしながら尾方先生から私にオーダーが入りました。

ニヤニヤの理由はこれですね(笑)

中学生のこの時期になるともうフォニックスを仕込む暇なんてありません。やるなら小学からみっちりです。

しかし私自身フォニックスという言葉を知ったのは塾講師になってから。

ですのでそこまで簡単に仕込み切らなくても良いと思っています。

あくまで上の記事にあるような音と文字の関係を毎回意識しながらやっていけば自然とその規則に気が付き一般化するようになると思うんですよ。

ですが彼らにはその一般化する力がないからこそこのように自立型の授業でしっかりとこちらが指導している形でやっているかを確認しなければいけません。

彼らは油断したらすぐに漢字の書き取りみたいな暗記法に戻ってしまいますから。

こうやって最初の段階で絶妙な距離感でしっかり寄り添うことも自立学習のポイント。

決して放置するんじゃないです。

 

私はやっぱり自立型の指導が一番好き

自立型なので授業準備のしようがありませんし、全員初めましてなのでそもそもどんな生徒さんがいらっしゃるのかもわかりません。しかし尾方先生にいつも通りやってくださいとおっしゃっていただいたので遠慮なくやらせてもらえてよかった。

イメージは体験授業に来た生徒に指導する感覚。

結論から言うと非常にやりやすかったし楽しかった。いつも自塾でやっていた感覚そのまんまでした。

自分の前職の塾が個別指導という形式だからか体験授業に来た子たちの方がすごく緊張していてなかなかあそこまで最初から距離を詰められない気がします。

私自身も距離を詰めるために私がエネルギーを使ってましたね。普段の倍くらいのどが渇く感じ。

距離を詰めるというのは信頼関係を築くという意味です。でないと科目の知識以外、特に今日お話しした①②という自立学習に関するお話なんかは聞いてもらえません^^;

だけど尾方学習塾の生徒さんはやはり毎週この形式で学んでいるだけのことがあって非常にやりやすかった。もちろんいい子たちばかりだったというのに助けられました。みんな素直でちゃんと話を聞く。そして勉強は嫌いでもできるようになりたいという気持ちがある。

今回中学生のテスト分析も任せていただきました。ちょうど一人の子が2日間来てくれていたのですが、2日目には少し分析の仕方が変わった感じがします。より自分の”できない”原因について考えていた気がします。

 

わたしにとっての”教えない”の意味

いくら”教えない”といっても、体験授業から帰ってきてお子さんに「先生が全然教えてくれなくて~(‘ω’)」なんて言われたら…ね?

なので私のスタイルは最初は教えます。しかもバカ丁寧に教えます。「先生すごいわかりやす~い♪」と言わせます。

「しかもイケめ~ん!(*’ω’*)」とは残念ながら言われたことは…ありません(T_T)

しかし教えるのは答えじゃない。ということです。

生徒が自分の力で苦手で意味不明だった不定詞の英作文を自分で書ききれたり、数学の文章題を解ききれるからこその「わかりやすい」です。

生徒を分析し、正しい勉強に対する姿勢、勉強法について教え、かつ生徒がもっともっと頭をぐるぐる動かすような問いかけや聞き方をする。

 

自立型学習の最大のメリット

そして最後に。それは自立学習によるモチベーションを上げるというお仕事。

そのためにとにかくしっかり生徒とコミュニケーションをする時間をもつ。これは声に出した会話でなくてもいいのです。生徒のペンの動きや解くスピード。時計を見る回数。そういった時間を生徒と共有する。

そして何よりこの自立形式での学習では子どもたちは自分で勉強することで勉強ができるようになる瞬間に立ち会うことができます。それこそが「やる気スイッチ」が入る瞬間なのかもしれませんね。

今回の尾方塾での武者修行でも強く感じました。これが私の一番の武器だなと。この時間をなくしてしまったらSOILはうまく行かないだろうと強く思いました。

 

武者修行を終えて

 

今回本当にこのような形で呼んでもらえてよかった。かけがえのない経験になったしなにより楽しかった。もうすでに生徒さんたちに情が移りまくりです。

尾方塾はかわいい女の子ばかりというのもいけないのですよ(笑)

しかし何より素直な聞く気持ちを持った子ばかり。こういう子は絶対に伸びます。信じてくれていい!ぜひ頑張ってもらいたいところですね。

 

今回尾方先生にはホテルまで取っていただき貴重な時間を私のために割いていただいたおかげで本当にじっくりお互いの塾についてお話をすることができました。

尾方先生は私がこうやって外に出始めて以来常に気にかけてくださっていつも暖かく接してくださいます。

いや、いかんいかん、尾方先生からは帰り道送っていただく車の中で「私たちはもう親友ですね!」と言ってもらったのでもうこれから親友(マブダチ)でいかねば(笑)

尾方先生も私もキャリアはもはやベテランの域ですが、まだまだ尾方学習塾は開校したばかりですしまだまだヨチヨチ歩き。私のSOILなんてまだ生まれてません(笑)

塾としては同世代ということになりますのでこれからも一緒に熱くこの業界で戦っていきたいですね。

もっと近かったらいいのになとお互いに思う私と尾方先生でした。

最後になりますが尾方先生、そして私と一緒に勉強してくれた生徒のみんな、本当にありがとうございました!またすぐに遊びに(教えに)いきます!行かせてください!

 

こちらは2日目のお昼に食べた加古川名物かつめし!加古川は私の出身地姫路の隣なんですが初めて食べました。超絶美味ですのでみなさんお立ち寄りの際はぜひ!

 

今日はこのへんで!

 

 

 

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