【保護者さんへの手紙】「英単語が暗記できない子どもたち」の件

そいる塾長
そいる塾長

拝啓 保護者様

どうも、そいる塾長です。

以前書いていた中学生向けの英単語の暗記法についての記事をリライトして書いているタイミングで、質問箱に英語に関するご質問が↓。そしたらついうっかり完全に保護者さんへの手紙になってしまったという内容です(笑)英単語が暗記できない子どもたちの話を引き合いに、早期英語教育や英会話などに関しての私個人の見解を書かせていただきます。

 

保護者からのご質問

ご質問ありがとうございます。

結論から申し上げておくと、私はあまり早期教育とは言わない人なんですが、英語だけは何らかのかたちで備えておくべきだとだと思います。

それは国際社会がどうとかって話は一ミリも関係ありません。

理由は学校教育で一番ダメなのが英語だからです。それだけ。算数や理科もいろいろ問題はありますが、英語には段違いのヤバさがあります。

そのヤバさをよく表すのが中学生で単語を暗記できない子どもたちです。

中学生でどうも英単語が暗記し辛くて困る、というお子さんがいらっしゃるならぜひ保護者様に読んでいただきたい。

本当にそれはお子さんの努力が足りないだけの問題なのでしょうか?

もしも保護者さん自身が単語の暗記に困ったことがなかったとする場合、お子様にも「あなたは努力しないから暗記できないの!」なんてセリフを言ってしまいがちでは?

たしかに努力不足の面はあるとは思いますよ。しかし現代の子どもたちにはそうなってしまう原因があるような気がするのです。

スマホやゲームが邪魔をする…なんてお話をしたいわけではありません。そして今回は学習障害などを想定したお話ではありません。

単に英語教育の問題です。というお話。

ということでせっかく質問箱でタイムリーなご質問を頂いたので急遽英単語の話を引き合いに昨今の英語教育についての個人的な考え方を書かせていただきます。

日頃の英語教育へのウップン晴らしになってしまい、長くなってしまいましたが頑張ってお付き合いくださいm(_ _)m

 

変わる英語教育

 

大学入試の外部試験導入。四技能の重視。このあたり実際は問題山積で本当に実施して大丈夫なのかというレベルです。今回は特にこの件には触れず、特に中学の英語について見ていきますが、保護者さんとしては心配ですよね。

心配して正解です。

なんか少し前まで子どもたちの理科離れとか話題になってましたが、私は個人的にそんな次元ではなく英語教育に不安を覚えています。

英語の授業だけがもはや勉強というラインから外れてきているのです。ですが同じようにペーパーテストの形式で、入試でも出題されるわけです。これが厄介なんですよね。

 

早期英語教育について

保護者さんの世代、小学校で英語なんて習いませんでしたよね?

英語教育は保護者さん世代が中学生のころとは全くの別物になっています。

例えば英単語。

覚えなければいけない英単語は馬鹿みたいに増えています。しかしその一方で英単語の暗記についての指導はおかしなものとなっています。

単語カードをつくりなさい

ノートに10回ずつ書きなさい

たくさん音読しなさい

いやたしかに勉強法なんですけどそこだけ指導しても英単語ってできない子は出来ないと思うんですよ。

そもそも今まで暗記してきた感じなんかとは頭の動かし方が違う。なのに「書いて覚えろ」なんていう形だけの勉強法を伝えてしまったら逆におかしな暗記をしてしまうんですよ。

私的には、英単語の暗記法については、書いて覚えるとか、音読するみたいな具体的な方法の話はどうでもよく、英単語という記号をどのように処理して、そこから情報をとるのかという意識的な部分のお話が必要だと思うのです。

【保護者さんへの手紙】勉強法を教えてくださいの件
「勉強法を教えてくれる塾を探している」保護者さんから一番よく聞くセリフ。ですがこれには実は大きな問題が潜んでいます。

前回のこちらの記事でも書いたことですね。今の学校での指導は勉強法のかたちだけで目的が伴っていない指導がなされている気がします。

 

英単語の暗記をできなくしてしまう要因

中学で単語が暗記が出来ない人は音とスペルが一致していないというか、文字から音を拾わないので文字の形で覚えようとします。

まさに漢字を覚えるような感じです。漢字の書き取り暗記が影響しているのでしょうね。

いっぱい英単語を書いておぼえている子に「その単語なんて読むの?」って音について聞くと・・・。

と返ってきます。

どんな苦行をやってるんだと突っ込みたくなります。

なお新学習指導要領案では以下のように明確にこのことについて言及されています。

『発音と綴りの関係』についての指導法 研究、実践・検証・改善

これで多少はましになるといいですね。「小学の英語は楽しければ良い」的な姿勢はこの英単語から失敗しているんです。

「理解しなくてもできる」はつまり「理解したらもっとできる」のはずでは?

とにかく塾の現場で現在の新中1を見る限り、英語塾や英会話教室に通っていなかった生徒に関しては英語が苦手だと感じている子はどんどん増えている印象です。

やはりこの辺の感覚を学校で英語を始める前に入れておくという意味でも早めに英語は”ちゃんとしたところ”で始めておきたいですよね。

特に中学最初のテストで膨大な量の単語を暗記することになって嫌いになる、苦手意識をもつようになると悲惨。そして中2・中3で入会してくる子たちの英語はもっと悲惨。おそらく最初の借金が大きすぎてどこかで取り返すができない状態なのだと思います。

今の制度では中学入学のタイミングが、突然英語が楽しく、いや”楽”ではなくなってしまう瞬間です。新指導要領ではこれがさらに早まる可能性があるということです。

塾や英会話に小学生のうちから通っておくと、とりあえずはここで突然のギャップを感じなくて済むというわけです。

それにしてもいつも思うのですが中学の教科書で、「曜日」とか「月」とかなぜいきなり最初に暗記させられるのでしょう?その後ほとんど出てこなくなるのに。

最初に暗記する単語としてはハードル高すぎません?私としてはもう少し音と綴りの関係がわかりやすいものからやってくれりゃあなと。

つまりは小学や、せめて中学の最初にちゃんとフォニックスを仕込んでおきたい。それだけのことです。

フォニックス - Wikipedia

小学生から英語を始めていくならば、このことを意識して英単語に接することで、その後の中学での英語、そして高校での英語に対する意識が変わります。いや意識などしなくても楽に単語が暗記できるようになります。

しかし、残念ながら今の小学校でも中学校でもそういった指導はされていない。昔からそうなのかもしれませんが。こういう理屈の部分はどんどん確実に削られています。

残念ながら専科でもない、ましてや今まで英語など指導したことのなかった小学の先生にそのようなことを期待すること自体が酷なのかもしれませんが、これは先生個人の問題ではなく制度としての欠陥でしょう。

小学校の先生は全科目を担当しているということを忘れてはいけない。こんな状況で新たに英語を勉強しろとか言う事自体おかしいですよ。

英単語ですらこうなんです。文法なんて言うに及ばずでしょう。

とりあえずピンと来た保護者さんは次回更新予定の「種まき勉強法」の中学英単語の暗記法をお読みください。

 

 

英語嫌いが絶好調で増殖中

現在の英語教育はコミュニケーション重視の教育。だからまずは英語に触れさせる機会を増やすために早期教育を実施するわけです。この理屈はわかります。

しかしそのために「難しいことをやってはいけません。」それに「考えさせてはいけません。」という流れ担っていることに危機感を覚えます。

私的にはそっちのほうが断然難しいし時間もかかるししんどいと思うんですけどね。勉強しないといけないのは英語だけじゃないんですし。

先程の単語を急に書かされるのもそうなんですけど、これだと難民が大量発生するのも仕方がないのかなと。

小学校で英単語に触れていると言っても楽しくカード遊びをしたりお歌をうたってただけですよ。

なのにいきなり大量の単語テスト。単語だけじゃない、挨拶文もいきなり書かせるようなテストを実施する学校も。

ここで英単語の暗記の仕方が見についていない状態でスタートすると当然、その後の英語学習に大きな問題を生むことになります。

英語教育に力を入れるようになった今、以前(保護者様の時代)より英語力に格差が見られるという矛盾した状況を生み出している以上、やはり学習指導要領に問題ありということにはならないでしょうか。

実際「平成28年度 英語教育改善のための英語力調査」でも中学生の「英語の学習が嫌い」という生徒が前年度よりも増えちゃってます(笑)

小学校の間のアンケート結果は良好なんです。だって楽しいことしかしてこなかったから。

やはり書く、もしくは音のみだったものが文字として出てくる、そしてテストされ点数がついてくることが嫌いになってしまう最大の原因でしょう。

これは実態を表していますよ。

小6で国算受講者している子で英語に不安がある子なんていない。学校の英語は簡単としか思っていない。そしてスタートが遅れると数カ月後、中学最初のテストに泣く。

小学校での早期英語教育はやらないほうがましだったとまでは言いませんが、ハッキリ言って大失敗では…?だからこれから小学校でも英語は教科にしてもっと本格的に教えるいうわけです。

ちがーう、そういうことじゃないでしょうよ。

それは余計に駄目な方向ですよ。

一応私が一人でほえているわけではなくこれが一般的な見方であることを示すためにこちらの記事を紹介しておきますね。ほとんど同じことが書いてあると思います。

「小学校の英語教科化」が直面する4つの課題
2020年、日本の英語教育に大きな転機が訪れます。この年から、小学3、4年生では外国語活動が、5、6年生では外国語科が始まるのです。日本の公立学校では外国語とはすなわち英語ですから、2020年からは、...

小学校の英語教科書「We can」の内容を見る限り戦慄が走ります(笑)

これを見る限り、おそらく今ですら中学でろくに説明されない英文法の解説を、全部ぶっ飛ばして例文暗記だけで乗り切る作戦ですよね。

いや英会話では良いでしょう。ですがこれでいったい中学に入ったときどんなテストをするんでしょう?それが怖いのです。その辺の整合性がとれるのかなと。

まぁ、この辺の批判は識者の方におまかせするとしても、私個人としては歴史上稀に見るほどの英語難民が発生するのは間違いないかなと思っています。

苦手と感じる生徒が増えているのも問題ですが、半数近くの生徒が「嫌い」と回答してしまう状況はだめ。特に英語はだめ。そんな難しい科目じゃないし、そもそも喋れるようにしたいなら「英語は友達」みたいに四六時中英語にまみれていたくなるくらいじゃないといけない。

それを小学校卒業と同時に嫌いにさせる教育って…。

理想だけ掲げて現場がついていかず、形だけやっている風にし、子供たちに責任を押し付けるのはもうやめたほうが良いですよ。

え?でも英語が得意な子も増えた気がするんですけど。

おっしゃるとおりです。中学で英検3級はもはや当たり前、準2級、2級と帰国子女じゃなくてもとれる時代です。

でも・・・それって学校の英語教育の成功なんでしょうか?

できもしない英語教育の看板だけでっかく掲げたせいで、一気にこのご質問のような不安が一気に増し、とりあえずお手軽な習い事として英会話がチョイスされている気もします。

お金を払って早期からしっかりとした英語教育を受けさせられた家庭と、学校教育のみで来てしまった家庭の差が現在の学力差となっているのであれば日本の教育の失敗ではないでしょうか?(ある意味英語ができる子を増やし、お身内の業者さんが儲かったとしたら政治的には成功なんでしょうかね)

しかし、やはり早めにちゃんとした英語の勉強法と基礎知識をしっかりとしたかたちで入れておいたほうが良いと思うのです。

ご質問にある企業名についてはノーコメントとさせていただきます。

以下英会話についてです。

 

私が考える英会話に必要なこと

今の教育は英会話にしたいわけですよね。考えなくても(文法を理解していなくても)話せるようにしたい。

であれば民間の英会話教室を選ぶ際に気をつけてほしいのが以下の2点。

①楽しいだけの英語教育なら学校と同じことをさらに先取りするだけ

②英検を英語力の指標としてみてはいけない(準1級以上は除く)

 

英会話と塾の英語って何が違うのか

よくある偏見は英会話は英語が話せるようになるけど、塾はテストの点数が上がるだけで話せるようにならないというやつね。

私…英会話に通っただけで英語話せるようになった人見たことないんですが、いらっしゃいます?

もうそんな期待はやめましょう。

一般的にげんざいのところ塾は英語を科目として指導します。ですので他の科目同様「理解させる」ところに主眼を置きます。すくなくとも