どうも、そいる塾長です。
よくある風景
塾で出した宿題を翌週チェックするわけです。
宿題でわからなかったところはありませんか?
は~い、だいじょうぶで~す
ではテストしてみましょう。
えー!!?テスト無理~(゚Д゚;)
こんな会話が繰り返されているわけです。
さてこの場合いくつかの可能性が考えられます。
一番上の☑に関してはこないだ書いたこちらの記事を読んでみてくださいね。
真ん中のは論外ですね。
そして今回問題となるのが一番下のパターン。
中学受験バリバリ組は…少し仕方がないかなと思う部分もあるんですが、親や大手進学塾のフォローに通わせている個別指導塾の先生が解いちゃっているパターン。
いや、保護者さんが受験するわけではないし、塾は宿題代行屋じゃない。しかし多いんですよ。授業で宿題終わらせないと切れちゃう保護者さん。子どもが理解したかどうかなんかより宿題が終わったかどうかが大事。
こういう保護者さん…確実に受験に失敗してますよ(-_-;)
ま、今回はそういうパターンも含めてお話しますね。
お母さん(お父さん)が宿題を手伝ってはいけない理由
塾の宿題をやっていて分からないところがあるとお母さん(お父さん)に教えてもらってくる子がいます。
低学力層に多いこのパターン、保護者さんからすれば勉強ができないんだから教えてあげるのは当たり前!なんて思うかもしれませんがこの姿勢こそがそもそも低学力を生み出す要因となっている可能性があります。
親が勉強を教えて何が悪い?と思われるかもしれませんが、ここで質問です。
まさか答えを…教えてはいませんよね?
先ほど宿題はできているのにテストができない子供たちの3パターンのうち、真ん中の「論外だ」と言った「答えを写しちゃっている子」。
これがダメなのは誰でもわかるでしょう。
ではもしもお母さん(お父さん)が答えを教えているとするならば、そんな答えを写すだけの子たちがやっている子と何が違うのでしょう?
中にはカリスマ講師のように教えるのが”上手”なかたがいらっしゃるやもしれません。
しかし教えるのが上手の意味を間違えている方が多いので注意が必要です。
保護者さんが塾に求める勘違い
保護者さんが塾に求めること。
これが大きな勘違いです。
一から十まで教えてあげればそのとき形としては丁寧に教えたことにはなりますが、生徒はできるようになってはいません。「わかる」と「できる」は違うのです。
塾の仕事は分からせること以上にできるようにすることです。そのために自分で考える力をつけさせる授業をします。
数学の文章題を最初から最後まで講師が解いて見せて「分かった?」と尋ねる。こんな授業は最低だということをご理解いただきたい。
学校の授業が分かりにくいから成績が上がらないという勘違いですね。
分かりにくい授業はその科目を嫌いにします。そういう意味で分かりやすい授業は勉強のモチベーションにはなりますがしかしそれは勉強ではない。いや授業なんてものは勉強の一部にすぎないというべきでしょうか。
もし信じられないなら今どきカリスマ講師の授業なんてYouTubeでいくらだって見れますのでご自宅で見せてみましょう。絶対それではできるようになりませんから。できるようになったとしたらそれはもうすでに勉強ができる子です。
しかし残念ながら宿題の答えを教えてしまうようなご家庭ではそういう子は育たない可能性大です。
おそらく幼少期から「教える」ことばかりしていたはずですから。大切なのは「教える」ことだけではないのです。
マンツーマン授業の危険性
私はこれまで1対1と1対2を併用する個別指導という形式の塾を運営しておりました。
近所の1対1オンリー(料金は内の倍)の塾さんからは「1対2では成績は絶対に上がらない」というお言葉をいただきました。ホームページにそう書いてあります。本当に教育をしたことがあるのでしょうか?(笑)
反例一つで命題が偽であることが証明できます。1対2で成績はあがります。だってオール3の子がオール5になりましたよ。ね?成績あがってますやん?(笑)逆に1対1では講師がうまくやらないと成績が上がらない子がたくさんいるのです。だってその塾から何人うちへ流れてきたか…。
これは1対1でずっと先生が授業をすることこそが丁寧でわかりやすい指導であり、1対2は生徒が放置される時間があり無駄な時間があるという誤認によるものです。
確かに1対1でないといけない子がいます。しかしそれは間違っても低学力層ではない。ハイレベル層です。演習時間を授業外でしっかり確保し、自立・自律学習の土台が備わっている子です。
つまり難関大を目指す高校生なんかは1対1であるべきだと思います。生徒が1週間でため込んだ疑問に答えるような授業。導入だけしっかり丁寧に叩き込んで自主学習でそれを何倍にもしてこさせるような授業。それが可能なそうなら1対1がベストに決まっている。
こういう子に有料で演習時間というのは確かにお金がもったいないわけです。しかしそれでも解いている過程を講師が確認する時間というのは非常に大事だし、生徒からしても確認してもらいながら演習を進めていくのは大切なプロセスだったりします。
しかし低学力層に授業時間いっぱい生徒にわかりやすくひたすら授業する。これは駄目。保護者さんが一番勘違いしている部分です。
ではそれを「できる」に変換させるのはいつなのか?
これじゃ結局分かった気になって翌週また0からの繰り返しですよ。
1対1でも演習時間をしっかりとればよいというならその時間その子の演習の様子を確認しながら隣の子に教えておいてもいいんじゃないのと。なら費用は半分で済むわいなと。無駄な時間とは何なのか考えた方が良いなと。
それに低学力層は依存性が強い。先生が自分を見ているとなんでも頼りたくなる。かまってちゃんというやつです。ワーク解いている途中で突然…
先生今日さ~部活でさ~最悪やって~ん
みたいなね(-_-;)
かまってちゃんに1対1は最悪の相性ですので注意しましょう。
1対2だと演習で動かない・動けないレベルの生徒には1対1でないといけないようにも思えます。ですがそれは講師がひたすら手とり足取りで解説し授業を成立させているように演出しているだけで子どもの頭の中は動いていないことも。
もちろん1対2は力のある先生でないと演習時ただの放置になります。授業での演習の意味をちゃんと理解している先生でなければ確かに無理ですね。
ですので1対1か1対2かは生徒により、そのとき指導する内容により適性が変わるということです。
閑話休題
ということでわかりやすく丁寧な指導をすれば成績が上がるなんて妄想は保護者さんは捨ててください。
大切なのは自分で「できる」ところまで持っていく力を育てること。もちろん放置しろということではありません。
私が指導するうえで一番大切にしているのはどうやって答えまでたどり着くのか、そんな方法を試したのか、何を考えてきたのかという過程をチェックすること。宿題の答えがあっているかどうかなんてどうでもよいわけです。
そこでお母さん(お父さん)が分からせようと答えを教えてしまうと、その大切な過程の部分が吹っ飛びます。せっかくのお子さんの自分の力で「できる」に変えるチャンスをつぶしてしまうというわけです。
一部中学受験ですとお母さん(お父さん)のご家庭での指導が不可欠です的なことを言われるわけですが、そこでご両親がその問題を解けるかどうかを心配されますがそこじゃないんです。こういった基本的な勉強法のところを理解しているかどうかだと思われます。
教えるよりも聴く姿勢を
「教える」だけが教育ではないのです。特に幼少期はそうかもしれませんね。
例えば一緒にお風呂に入って「なんでお風呂の水が増えるの?」と聞かれてアルキメデスの原理をちゃんと教えるのが良い教育でしょうか?
そんなもの誰だってそのうち学校で学びます。それを5歳児が知っているからといって何になるのでしょう?
子どもたちにとって大事なのは自分で考えてアルキメデスの原理に気が付くことであって、教えてもらったアルキメデスの原理を覚えることじゃないですよ。
いやいや自分で気が付くなんて確かに超ハイレベルですね(笑)。普通はできないです。でもできなくていいじゃないですか。大切なのはここで5歳児が持っている情報をフル活用して考える機会を与えることじゃないでしょうか。
それを親が教えてしまってはせっかくの学びのチャンスを親自らが潰すことにはなりませんか?
そういった過保護が子どもの自立を妨げるということです。過保護だという自覚のない過保護。
しかし一方で放置はいけない。
では教えてはいけないし放置してもいけないなら親は何をすればいいのか。
聴くんです。ひたすら聴く。子供はわけのわからない理論を組み立てます。
うちの5歳児は「父ちゃんがお風呂に入ったら水が爆発して増えた」という理論を生み出しました。
そこで違う!と言ってしまうことこそ一番やってはいけないことだと思うんです。なんでそう思うの?の一言があればそれでよし。そしたら何か出てくるかもしれません。それを聞きのがしてはいけないと思うんです。
これって面倒臭い。さっさと答えを教えたくなります。親だって暇じゃない。
でもそこに考えるきっかけが隠れていると思うんです。だから親がすることはしっかり聴いて考える機会を与えること。そこはやっぱり親が頑張らないと。
「例えば父ちゃんが風呂に入ったら水が”増える”なら、父ちゃんがお風呂から出た後はどうなる?減るときも爆発してるの?」といった感じで。そしたら考える材料が増えますよね。
アルキメデスの原理を教えるよりも5歳児にはよっぽど大切なことじゃないのかなと思うわけです。
これは中学生だって同じこと。宿題を考える機会を奪ってはいませんか?できなくってもいいんですよ。ちゃんと考えたなら。でもちゃんと考えるような子は親には聞かないですよ。
「塾の宿題が難しくてできない」というのは宿題をやりたくないと同義と考えてまず間違いないでしょう。(一部頭のおかしい宿題を出す学校や塾もありますが^^;)
保護者さんとしては「できないと先生に叱られる」というなら「なんでできないのか」を聴いた方が良い。
お子さんが叱られたらかわいそうですか?
その宿題は授業を受けていればできないといけない授業内容の定着を目的とした宿題。それに対し今、授業の前日にして手も足も出ない状態を作ってしまっているお子さん。お金を払って通わせている塾の先生があなたの代わりに叱ってくれると言っているのです。なんでわざわざ叱られないように隠ぺい工作に手を貸すのですか?
そんな勉強の仕方をしているから成績が上がらないのです。だから塾の先生は叱るのです。
そんな宿題の正解が書いてあるかどうかなんてどうだっていいんですよ。
三者面談で保護者さんが子どもの代わりに全部話してしまうご家庭。
非常にまずいですよ。面談に来ない保護者さんよりも厄介だなと思います。変わらないといけないのはお子さんではなく保護者さんかもしれません。
口を出す前に聴きましょう。
子どもが何を考えているのか。その会話のなかにヒントはあります。命にかかわるようなことや親として絶対譲れない倫理面に関すること以外、親が答えを与えなくていいと思いますよ。子どもにとことん考えさせたらいいんです。
与えてほしいのは答えではなく子ども自身が考え、動くきっかけです。これを自立といいます。
さっき書いたでしょう?良い授業ってのは勉強のきっかけに過ぎないって。子どもを自立させることこそが最も良い教育です。餌を与えるのではなく狩りの仕方を教えましょう。
ご両親の子どもへの「良い接し方」というのもまさにそれではないでしょうか?
どんどん考えて動くきっかけを与えてあげてください。
とくに塾の宿題なんて教えなくて良いですよ(笑)こんなものに保護者さんの手を貸す必要はありません。逆にお子さんが手と頭を動かすのを邪魔しないでください。保護者さんのお仕事はお子さんが手と頭を動かしているか確認することです。
それをやっていなければ「ちゃんとやれ」と口だけ出しておいてください。
今日はこのへんで。
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