どうも、そいる塾長です。
漢字一文字が持つ「力」を身につけよ!
日本語の語彙力をつけるにはですね、漢字の意味というのをしつこく押さえていくことが大変重要です。すべて漢字で書く言葉でもないので全てには当てはまりませんけど、漢字の語義を押さえていれば見知らぬ熟語が出てきても意味のイメージができる。これ大変重要。— あいぴー (@IPP_Yas) 2018年4月3日
あいぴー先生に引用させて頂けるようご連絡したところご快諾いただきました。本当にありがとうございます。
本当に先生のおっしゃる通りでして、漢字は表意文字なので、正直これを意識していればあとはおぼえた漢字の組み合わせで熟語の意味がかな~り推測できるわけです。
推測できる時点で暗記などせずともとんでもない数の語彙力を得たようなもの。(ホントの事を言うと読んで理解することは出来ても使えるようになるわけではないのですが…)
少なくともある程度は辞書を引かずに読めるようになるので読むスピードUP=語彙を獲得するチャンス増大となるわけです。
では漢字一文字の語義から熟語の意味を推測する例をみてみましょう。
公立高校入試の問題から見る漢字の語義の重要性
例:「満足」
(なんだそれ、簡単すぎるだろう!?はなしで。これホントは一番漢字を学ぶ小学生に読んでほしいんだから高校生とかがごちゃごちゃ言わない。ちゃんと最後に高校生向けの話になるので最後まで読むべし。)
「満」には「満ちる」つまり「いっぱいになる」という意味がありますね。
「足」は「あし」だけでなく「たりる」という意味もあります。
ということで「満ち足りる」=「いっぱいになる」+「たりる」というのが「満足」の意味です。
なんだ、それくらいわかるわ!と思うのは当然ですが、実はこれ入試問題です。
平成28年度京都公立高校前期選抜入試:国語より
これが出来ない中3がうじゃうじゃいる。(うじゃうじゃは嘘かな。でもある程度はいる。)
この形式の問題は京都の公立入試では定番問題なのですが、やはり国語が苦手な人ほど出来ない。
ただこの問題が出来ないことが”問題”なのではなく、普段からこういう考え方で漢字を見ていないということが”問題”です。
「満」と「足」の語義の組み合わせで「満足」の意味を捉えるのではなく「マンゾク」という音や漢字の形と意味を対応させて暗記している子たちがいる。
もうこれは表意文字ではなく表音文字として捉えているのに近い。これでは「満点」も「充足」もまた全く無関係な語彙としておぼえていくことになります。
にしてもまあこの問題は簡単ですのでピンとこないか…、ならこの問題だとどうでしょう?
平成29年度京都公立高校中期選抜入試:国語より
こうなると一気に正答率が下がります。
厳密にはこの問題の言葉は形容動詞なので熟語ではないですが漢字の語義から意味を推測するという意味では同じです。
ただこの問題では片方の漢字が推測し辛い可能性があります。
少し入試のテクニックみたいになってしまいますが、こういった場合語義がわかりやすい方の漢字の方でしっかり考えていかなければいけません。
漢字一文字一文字の語義を意識していない人は全体の意味を考えるあまり知らないうちにそこから逸れていってしまうんですね。
どっかでつかったことあるなー、こんなときだったけなー?みたいに意味を推測すると外してしまう。
普段から読書をするような人でなければこういう言葉って会話で使うわけもなく。
一応ここでいう解き方を。
aは「率」はイメージしづらいが、「直」がもつ「まっすぐ」から「ありのまま」が導ける。
(「率」は率いるイメージから全体を「統制」する感じかな?「全体的にまっすぐ」というイメージ)
bは「固」なものが「有る」⇒「そのものに限ってある」。「固」がイメージし辛いかもですが「有る」という意味からそれるものは選んではいけません。
(「固」は固まって動かないイメージが「そのものに限る」となるのでしょうね。)
こんな感じで解けますね。
大学入試でも大切となる漢字の語義
これ実はセンター試験でも同じなんですよね。
例えばこちら。(ぱっと開いた問題で解説するので良い例かどうかは微妙ですが)
2015センター国語第2問(1)より
「浅慮」これはそのまま「浅い慮」。「慮」は思慮とかで使うし「考え」のイメージは出るでしょう。
「嘲笑」これは「嘲け」「笑う」。「嘲」の語義(馬鹿にするイメージ)さえ知っていれば「馬鹿にして笑う」で解けますね。
つまり「浅い考え」=「短絡的な考え」or「軽率な」、「馬鹿にするイメージ」=「見下した」or「軽蔑した」で両方満たすのは①となるわけですね。
ここは文脈と経験則から解くとダメ。漢字の語義を外すと死にます。
大学入試でも重要なんですよね。
伝わってるかな?
ではもう1個。
お次はセンターの漢文から
2015センター国語第4問(1)
これはもちろん本文の文脈で選択するわけで、本文を載せずに解説してもしょうがないので省略しますが、まだ漢文を知らない方のために書いておくと、この漢字は漢文単語帳(そんなもんはない)で暗記する漢字ではない。
完全に日本語としての漢字の語義から文脈に沿うものを選ぶ問題です。
これはたまたま選んだのですっごく簡単な問題。
それはさておきこの問題、漢字の語義(複数ある場合も)を知らなければ文脈だけでは当然解答するのは無理。
これがセンターでは定番なんですが、どの年度でも問題解かせるとね、わかるんですよ。
これまでの国語との付き合い方が。
こういう問題こそ小手先のテクニック的なものが一切通用しないTHE国語力。語彙力なんですけど国語力。読解とか関係ないけど国語力。
これだけは高3で私がどうにもしてあげられない気がしてます。なんせ時間が足りない。
だからこそ、小学、遅くとも中学の漢字の書き取り練習でいかにこの語義を抑えていくかです。大学入試過去問演習でこんな問題に直面してから「現代文の語彙」みたいな参考書買ってきても遅い。
「ポストモダン」とかの意味を暗記するのとはまたちょっと違うのです。それも大切ですが。
この漢字の語義の話はそういうことじゃないんですよ。
これを如何に早期に意識するかで積み重ねられるものが違うということです。
国語だけの問題じゃない
例えば社会科の用語を暗記する際に漢字の意味を考えない子はとんでもなく大変な暗記をすることになります。
(Twitterでも書いた内容ですが)例えば、「禁中並びに公家諸法度」
「禁」とは「禁裏」のことで天皇の住居を表します。禁とか裏という漢字が使われるのは、天皇がアンタッチャブルな存在だくらいに考えてください。この辺はちょっと社会で習うこと。
で「中」はそのまま「なか」だから「禁中」で天皇家を表します。
「並びに」は「ならべる」わけですから「アンド」くらいに考えて、「公家」は「公」な「家」で貴族。当時の「公」とは朝廷(=天皇)で、それに仕える家の人って感じ。これも社会で習うことかな。
「諸」という漢字は「もろ」とも読んで「もろもろ」という意味。これはもろ国語(もろもろは色々ですよ、念の為)
「法度」は見たまんま「法律」位の感覚でOK。
これまとめると「天皇家&貴族のもろもろに関する法」。この意味は、漢字の意味さえ知っていれば社会の教科書で学ばなくても意味がわかる。
もちろん「禁中」や「公家」なんてのは社会の知識だろうけど、それでもそのへんだけ押さえればこれがどんな「法」なのかわかるだろうよ。
もちろん社会で勉強するときはこの用語の意味だけでなく、その「意義」が重要になってきます。(朝廷=天皇・公家の権威に対して、幕府=武家の権威を確立した)
でも少なくともそれだけ理解すれば良いわけで、暗記すべき内容が一気に減るというわけですね。
「墾田永年私財法」なんてその意味だけなら「開墾した田んぼは永久に私有財産としてみとめちゃう法」でいけるわけです。(何度も言いますが社会ではそれ以上にこの用語の歴史的文脈での意義が大切なんですがね!)
このように漢字の語義をおぼえてそこから様々な熟語を意味を類推していく能力は日本語で物事を学ぶあらゆる場合においてとても重要となるわけです。
推測できるので暗記の手間が減る。そして推測できない熟語が出てくればまた漢字一文字一文字に分解しその意味を別々に暗記した上で再度ドッキングして熟語の意味を再現するといった感じで語彙力が増えていきます。
もちろんあいぴー先生がおっしゃる通りひらがなの語彙はまた別の話ですが語彙の大部分を占める熟語系の暗記を一気に削減できます。
なので国語の全国模試1位の私ですからさぞかし語彙力があることだろうと思われがちですが、語彙なんて意識して暗記したことないです。
全く分からない言葉は辞書を引いていましたが、ほとんどが推測。もちろん漢字の意味からです。
これはおそらくは小学生の漢字の書き取りのときから一文字一文字語義を意識して暗記した結果だと思います。
意外にも本当に漢字の語義を無視して漢字を暗記していく子が多いんです。
とりあえずこれを読んで「そんなの当たり前やん」て感じる人はそれで結構。ですが例えば小学生(確実に読んでいるのは保護者さんでしょうけれど)や中学生の皆さんは今日から漢字を見る目を変えてみましょう。
この1歩が将来大きな差を生みますよ。
今日はこのへんで。
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