「三単現のSって何か説明して」と言ってみる(一般化する能力)

そいる塾長
そいる塾長

どうも、そいる塾長です。

今日は勉強ができる子とできない子を分ける”何か”についてのお話。ちょっとした質問で見えてくる問題点について。新しく入ってきた生徒の力はテスト結果を見ればわかりますが、そんな結果になっている原因まではなかなか分からないもの。そういった部分は実際に指導していくなかで見えてくるものですからね。ということで体験授業で私が生徒によく尋ねる質問についてのお話を。

三単現のSってどういうときにつけるんだっけ?と聞いてみる

前職の個別指導塾では大体入会してくる子のほとんど全員が英語を分かっていなかった。

で、体験授業なんかに来た子に聞いてみるわけです。

三単現のSってどういうときにつけるんやっけ?

「わからへん」…今どき中3でもいますよ。複数形との違いが分かっていない子もいますね。

ま、私はこういう子たちを高3でセンター8割にのせるのが主な仕事でしたからこんなのもういまさら屁でもないですが^^;

しかし今回はこういうタイプのお話ではありません。

問題なのは以下のように返答する子。

HeとかSheとか…

これが一番問題なんですね。これだと高3でもいる^^;

「とか…」ってなんだよと。だから私はこんな顔で尋ねます。

怒りそいる
怒りそいる

とか…?じゃあ全部言ってみろや。ほれ!ほれはよう!

(本当は優しいですよ私。ポメラニアンの毛並みくらいに優しいですよ。)

これの何が問題なのか分からないようなら心配ですね。生徒でも指導者でも。

その子が三単現のSをちゃんとつけられるかどうかの問題じゃないんです。

なんでそんな説明しかできないのかが問題なんですよ。

これは英語が苦手な子はもちろん、テストで90点とかとれている子でも同じ。

正直私は中学の5科のなかで断トツで英語が簡単だと思っています。教科書の本文丸暗記で対応できてしまいますし、まさに今の英語教育がそれを推奨していることもあって最近とくに理解を伴っていない生徒が多い印象。

だから頑張って丸暗記をすらしない子は死んでいくのもまた摂理。

この話は以前こちらで書いたのでどうぞ。

英語で「理解を伴う」なんていうと何か難しい文法書なんかを読んで勉強しろと言っているように思われるかもしれませんが決してそんなことを言うつもりはありません。

私自身高校で配布された参考書以外大学入学まで読んだこともありませんでした。

では、なぜ英語が人並みにできたのか、というとその根本にあるのは英語力ではないとおもっているからです。

大切なのは一般化する能力。

今流行りの「情報を編集する能力」ともいえるかもしれませんね。

これがないとどこかで詰む。一番わかりやすいのが内申点はいいけど模試が悲惨なわかりやす~い実力不足の子。

実力ってなんだよって話ですが、個別具体的に暗記したものが出題される定期テストごときでは点数が取れても、それが抽象化され出題される入試や模試の問題に対応できない。

「応用」という言葉で単に難易度が上がったことを原因にしてしまっている感じもします。

本当のところはその難易度の要因がその問題の持つ抽象性であることに気が付いていないのは問題。

こういう子は確実に高校で詰む。大学では言うまでもないですね。

暗記・暗唱がダメなんじゃない。そこから一般化・抽象化する能力がなければ望んだような結果は出ないということ。

だからこそ指導する側も気を付けないといけない。

自分はできてしまったからそれに気が付かず暗記すればできると言ってしまっている人が多いような気がするんですよね。

例文を暗記する

例えば「英語の例文を暗記しなさい」と言われるとしましょう。

そしたら大きく次の2パターンに分かれます。

  • 本当にその例文を一字一句間違えずに暗記することを目的にする人
  • その例文にある文法という規則性に気が付き一般化する人

分かりやすく言えば同じ文法が使われている例文を5つ並べて暗記しなさいといった場合、前者はそれをすべて個別に暗記する一方で、後者はその共通点と相違点に着目し一つの例文を基に残り4つの例文をその派生として暗記するということ。

ここで差異を生むのはつまり一つの例文から文法の規則に気が付き(または習った文法の規則に基づき)一般化できるかどうかです。

これは確実に学ぶという行為において大きな差となります。それは暗記する時間という効率の問題以上のもの。私が良く言う言葉で表すならば、アウトプットできるかどうかの差となります。

これが中学校の定期テストレベルなら問題ない。

ほぼ例文通りの型が出る。

しかしそれが高校入試になったり、高校に進み、大学入試の英語となると手も足も出なくなる。

定期テストでも自由英作文の問題とか嫌いな人に多いですね。

「to~」を用いて〇語以上の英文を自分で考えて書きなさい

こんなの不定詞の例文使うにきまってるやん。テスト範囲不定詞やん。て思うんですが全く手が出ない生徒がいる。不定詞わかっていない、例文が言えないならわかりますよ。

ですが例文を暗記していても使おうという気がない子が多いのですよね。

インプットしてあるにも関わらずそれだと気が付かずに通り過ぎていくようになる感覚。

だから私は「例文を暗記しろ」という指導にはもっとその背景にある目的についてしっかりと指導する必要があると思っています。

頑張っているのに伸びない子の一要因でもあると思っています。

大切なのは一般化する能力

話を戻して三単現のSのお話。

正式(?)には三人称単数現在のSですよね。まず問題なのはこれを知らずにサンタンゲンと言っている子。

漢字見たら分かる。

主語が三人称でかつ単数、そして時制が現在形の時に使ってね♡

と書いてありますやん。しかしこれが言えない。

これも先ほどの例文暗記と同じ。一字一句言えても意味は分かっていない。よく丸暗記の重要性について語るとき最初は暗記からだというのがあります。

その点は完全に同意します。そうあるべきものは間違いなく存在します。

しかしこの三人称単数現在という言葉に関しては、丸暗記してから意味を理解するのと意味を理解してから暗記するのとではどちらが正しい順序でしょうかね。

少なくても意味を理解しないままになっている時点でこの暗記には意味がありません。

文法用語なんて暗記しても意味がないという方の論理ではこれでいいのでしょうが、あくまで文法用語は一般化・抽象化された文法の規則にラベリングしカテゴライズしやすくするための便利な道具です。当然それは目的ではなく手段です。

しかし「サンタンゲン」なんて言っている子はこの時点でカテゴライズなんてできているはずありません。

三人称という言葉がつかえなくてもいいんです。「IとYou以外」でもいい。

ダメなのはHeとか、Sheとか…の「とか」です。具体例でしか説明できないのが問題。

何も「なぜsをつけなければいけないのか」というところまで理解しろというつもりはありませんよ。疑問は持ってほしいですがね。

興味のある方はこの辺どうぞ^^;

とにかく頭の中に入ってきた個別具体的なデータを一般化するクセを身につけましょう。

当然三単現のsだけの問題ではないし、英語だけの問題ではない。

数学なんてまさにこの能力。

「数学は暗記だ」という偉い先生の言葉の裏には大前提としてこの能力が備わっているという条件があるわけです。

国語でもそう。語彙力不足の一要因である漢字からイメージする力の欠如もこの一般化する能力につながっているのかなと。文法用語を活用できないのはまさにこれですよね。

ということで過去記事の宣伝(笑)

しかし漢字に限らず、例えば接続詞やどこかで聞いたあるような言葉(例えば「あやかし」とか「麗しい」なんてのが最近指導しててありましたね)の意味用法を尋ねても答えられない子は多い。

これも一般化する能力の欠如ですね。聞いたそのときだけのものにしてしまっていてそこから活用できないなんて、なんて不幸なことか。

大事なことなのでもう一度言いますよ。大切なのは一般化する能力。

そしてそれをアウトプットできるような情報編集力を養いましょう。

これこそが考える力の源。

勉強ができる子への出発点であり、学ぶことの基本であると思います。

今日はこのへんで。