どうも、そいる塾長です。
保護者さんが塾に求めるもの
保護者さんが塾の授業で求めるものってなんでしょう。「成績を上げてほしい」「志望校に合格させてほしい」でしょうかね。しかしそれはあくまで結果。そしてそれは即効性がないものですから、どうしても過程が気になるわけです。
ということでよく誤解されていることについて今日は一つお話を。
分かりやすい授業
世の保護者さんが求めるものは大抵これ。
私もありがたいことに最近面談で保護者様から面談で「先生の授業がおもしろい」「先生の授業がわかりやすい」とおっしゃっていただきました。
これは確かに塾をやっていくうえでは重要な要素ではあるのですが、成績を上げるという点においてはたいして重要ではない(とすら考えています。)
不要とは言いませんがあくまで1要素(言うならばきっかけ)であり、これだけでは成績はあがりません。
「勉強ができる」人の能力の一つに、本当の意味で自分が「分かった」という状態を把握する能力があります。
だからそういう子たちは自分自身の授業中の「分かった」を信頼しません。
あくまで演習のなかでその「分かった」を確認します。
「こうかな?」「これとはどう違うのかな?」「あれ?このパターンはさっきとは違うけどこうすればできるかな?」といった感じです。
演習時間を伴わない勉強、つまりインプットのみでアウトプットを伴わない勉強で成果を出せるなら相当の天才でしょうね。
まだそんな天才には出会ったことがないですが。
演習はどこでやるの?
では授業時間をフルに使ってわかりやすい解説をしてくれる先生の指導を受けている子どもたちはその「演習時間」をどこでとるのでしょうか。
普通は自宅です。できる子なら自主学習という時間になるのでしょうが、多くの場合は宿題でしょう。
塾に行く前に慌てて…
はい、これではすべてが無駄になりますね。
これぞ成績があがらない最恐のパターンです。
「わかったつもり」だけの状態を授業でつくり、1週間ですべてかき消してくるという恐ろしいパターン。労力も時間もお金も全てが無駄。
そのうちそんな生徒は「わかりやすい授業」をしているはずの先生に「こんなの教えてもらっていない」なんて言い出したり、なんなら最初分かりやすいと言っていたはずの先生の授業を「授業が分かりにくい」なんて言い出したり…^^;
ということでどのような指導形式であっても、我々指導する側にとっては生徒が自分で考え手を動かし演習しているところを見るのってすごく大事なんです。
だから塾で勉強する
SOILのような自立型の指導形式を取り入れた塾は多くなってきました。それもこれもやはり授業というインプットの面だけで生徒に関わる限界を感じる塾が増えてきたからです。
つまり演習というアウトプットの局面で指導を入れていく必要性を塾も強く感じるからです。
通い放題系の塾は「塾依存」なんて言われたりしますが、正直私には分からない。
その子にとって「自宅」という環境、と塾という「勉強するための空間」とどちらが学習する環境としてふさわしいかということじゃないでしょうか。
間違ってほしくないのは塾がないと勉強ができない子が毎日塾に通って勉強させられているということは、うちの塾に限ってはまずないです。強制しないので。
勉強したくない子が勉強しようというモチベーションのために塾という空間に来たり、勉強できる子たちがよりよい環境(休憩時間に友達や講師と談笑できる・参考書がいっぱい・冷暖房が効いている・先生に質問できる etc…)を求めて塾へ来るならそれでいいかと。
家で勉強”できている”ならそもそもなぜ塾に通っているのか、その必要性の方を疑問に思うのですよね。
サボらないように見張るなんてつまらない仕事をするために自立型があるんじゃない。勉強の仕方が分かっているのかどうか、そこを修正し自分で学ぶ力をブーストするために塾はあると思うのです。
「塾へ来なくていいように」ということが自立型の最終目標なわけですが、成長してより高い目標が設定できたら、またそのためのブーストが必要な子もいますしね。
そういう意味では授業も同じ。あくまでメインは自分で学ぶ力、その入り口でブーストをかけるのが「分かりやすい授業」。
分かりやすい授業は生徒に答えを与え続ける授業ではないですよ。そうやって子どもたちの頭と手が動いていない時間は何の役にも立ちません。
とまぁ、このように考えております。
テスト対策って何?(おまけ)
テスト前期間となると、いろんな塾で「テスト対策」と銘打って何やらやっています。やらない塾もありますが、それは大体難関校を目指す個人経営の尖った進学塾ですね。
進学塾SOILも「テスト前道場」という名で世間でいう「テスト対策」を行っています。
しかしこの「テスト対策」という言葉の定義は塾によって様々なんですよね。
ということでこれまたTwitterで最近見た保護者さんが塾の役割と言いますか、そもそも勉強するということがどういうことかわかっていないために起こった悲劇的なお話を見て気になったので、おまけで書いておきます。
では一般的な保護者さんにとっての「テスト対策」のイメージは?というと、特別な対策プリントが用意され、先生が”テストで出る問題を解説する”といった感じでしょうか。あとは過去問くださいとか…。要は「テスト対策」=「テストで出る問題を教えてもらう授業」となっている可能性があります。
だから「テスト対策」が塾のチラシに踊ります。何か特別なことをやる感(笑)
もしも保護者の方でこういった考え方で塾をお探しであればよく考えた方がいいです。
私が中学生だったころ、近所の塾で配布された問題と全く同じテストが近隣の中学で実施され大問題になりました。
これ何が問題かというと先生が塾に問題を流している(おそらく金銭の授受がある)という大人の問題ではなくて、そこの塾の生徒は塾で与えられる問題以外勉強しなくなるということです。
分かりやすく言えば「入試はどうするの?」ということです。
入試では何が出るか分からない状態で勉強する必要があるわけですから。
なお定期テスト過去問についてのお話は以前書いた記事がありますのでよろしければどうぞ。
この考え方がまず間違っている。
私は基本的にテスト前道場で授業はしません。だから”道場”なんです。
もちろん傾向と対策として定期テストならではの問題(数学の用語問題など…)や先生の癖の強い問題に対して学習する指示はします。これらはちゃんと勉強している子たちにとっていわば不意打ちですからね。
こんな不意打ちで内申点を下げられるのはたまったもんじゃないです。京都は中学3年間の内申点がすべて加算され中期選抜では当日の試験の点数と(約)1対1の配点です。内申点が効きすぎ問題です(笑)
また、道場では、生徒から出てくる質問には答えますし、その質問対応で深堀して授業みたいになりがちなのがSOIL(私)ですが、このように生徒が自分で演習しているなかで出てくる質問に答えるかたちではない、いわゆる一方向の授業は”テスト対策”として必要ないと思っています。
だからSOILではすべての授業を基本的にはこの道場(自立型)の「集団個別」に切り替えます。
この期間大切なのは、自分のできることとできないことを仕分けし、一つでも「できない」を「できる」に変えていくことです。
最悪なのはここでその仕分けを生徒にさせず、できるかできないかも分からないまま授業で一方的に知識を与え続けることです。
これによりもうすでにできることに時間を割き、できないものを「分かりやすい授業」で分かった気にさせ、生徒が自分で手と頭を動かす時間を奪い成績アップの芽を奪うことです。
これでは問題になっている中学のテスト前課題と同じレベルです。やっている感だけ出して実は意味がない。
だからうちのテスト前道場では授業はしないというのが基本です。
一方、何かやっている雰囲気だけ醸し出して自習室に詰め込んで放置、という塾もあるようです。なんなら最近も転塾生から「前の塾ではテスト前はみんなで自習室でおしゃべりしてるだけやった」なんて話も聞きました。
終わってますね。
放置と自立型を区別するならば、子どもたちの演習に講師の目が入るかどうかです。
これがすべて。
生徒が勉強しないと成績は上がりません。これだけは絶対条件です。ここを間違えると大変なことになります。
そして現に勉強が苦手だった子たちがグンと成績を伸ばすのはこのテスト前道場。そして前職で毎日テスト前道場だったらいいのにとの声を受け始めたのが通常期の集団個別型指導。
ここで自分の頭と手をフルで動かすことで成績が上がるのです。そして自分で勉強することを覚えると勉強は楽しくなります。
最後は宣伝みたいになってしまいましたが、世の保護者さんへ知っておいていただきたいことを書いてみました。
SOILでもやはりこの「自立型」の部分の説明にはまだまだ苦労しています。ブログのおかげでお問合せいただく方は、私のやらんとしているところをご理解いただいている方がほとんどなので、その点ご信頼いただいておりますのでとてもありがたいです。
この記事が世の保護者さんの塾選びに少しでも役立てばと思います。
そういえば塾選びの記事も昔書いたのを思い出したのでリンク貼っておきますね。
参考になれば。
今日はこのへんで。
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