どうも、そいる塾長です。
以前中学生のための計画的勉強法については書きました。
今回はPART.2ということで高校生版です。
進学塾SOILでは中高ともに集団個別式指導を併用します。ここで鍛えるのは自立学習。つまり自分で学ぶ力ですね。もちろん計画的に勉強するのはとても重要。
計画を立てなければ今どこに自分がいるのか分からなくなりますからね。
しかし計画通りにすることが自立学習だとも思っていないのです。
いずれにせよ中学生の学習計画と同じくポイントは計画は手段であり目的ではないということは大前提でお願いします。
① 目的(志望校合格)から逆算した計画にする
質問者さんの学習の「目的」は何なのかわかりませんが、この際「志望校に合格する」だとしましょう。
ということでまずはこれが”大”目的という設定。数学の証明問題で言えばこれが最終的な結論になりますかね。
でそれを学習計画で証明していくような感覚が大事かと。
つまり論理的に計画は立てましょうということ。できない計画立てて満足していても気づいたらドツボにはまっているようじゃ話になりませんからね。
② 目標は数値化する
今回は勉強のお悩みなので、目標はテストの点数だけだとしましょう。
となると定期テストの得点をあげるという目的でも全く同じことが言えますが、入試では志望校に合格最低点のような合格するための目安となる得点があります。
定期テストなら自分が目標とする得点があるでしょう。この点数が”小”目的となります。
もちろん合格最低点を目指せと言っているわけじゃないですしあれは得点調整入った点数なので素点で考えると死にますのでご注意くださいね(笑)ま、今回はその辺の細かな話はおいておきましょう。
この”小”目的は中学数学の問題で三角形の長さが同じであることを証明するために、まず合同を証明するようなイメージですね。伝わります?^^;
で、このように目的が数値化されたらいよいよ証明開始、つまり計画を立てるのです。その過程一つ一つのスモールステップでさらに細かい数値目標を立てましょう。
そしてその時点で志望校に必ず合格するという証明(計画)がどうやっても導けないのであれば、仮定が間違えていると考えるしかありません。
この仮定とは自分の現状。実力です。これを把握できていなければ学習計画なんて立てられませんからね。
1人でやっていると証明できているつもりが、まったく論理的でない証明をしている場合も…。
例えば「青チャート1周しただけで数学の入試の得点が倍増する計画」とかね。
これはできる人とできない人がいるわけです。白チャートをやるべき人が青チャートを何周しても意味はないですね。
やはり先生や先輩(合格者)の目が必要かもしれません。
ですが、他人の真似をしたところで自分とは性格も能力も違うのですからそこは気をつけましょうね。
やはり自分のことをしっかり分析して計画をたてることが最重要です。
③ 何よりも重要なのは現状把握
これをやらずに立てた計画など無意味。
数学では問題も読まずに解き始めている状態。どこの長さが同じで、どこの角度が直角か…、絶対にしっかり問題条件をおさえることが大切です。
目標達成のために今何がどれだけ足りないかまず最初にしっかりと分析しましょう。
例えば昔、学習相談に来た高3女子の例を見てみましょう。
彼女は京大工学部志望。文系科目が得意な理系女子(リケジョ)でした。
模試の成績を持ってきていたのですが、E判定。
原因は物理・化学・数学と苦手な理系科目ばかり。逆に英語と国語は非常によく出来ていた。
で、私に聞くわけです。
これでも頑張れば合格できますか?
私を含め現役京大の理系講師が3人ほど集まり彼女の成績表を見てこういいました。
無理じゃない?(笑)
そりゃそうです。センターはなんとかなりそうな気配でしたが、京大オープンや京大実践の成績を見る限り完全に理系では通用しない成績だったからです。
しかも入試まであと数ヶ月。
どうすれば合格できますか
過去問ではどれくらい取れるの?
といってメモ用紙に彼女の現状の過去問での得点を書かせました。
それを見る限り合格点には遠く及びません。もちろん原因は数学と物理・化学。
で、本題はここからです。合格する(した)人は”ここ”が違うというのをよく理解して下さい。
あと、○○点足りないけど、どれで何点稼いで合格点にのせるつもり?
・・・?
(5分ほど考えて…)
得意の英語であと○○点、国語で○○点とって・・・
そりゃ無理ちゃうか?
!?でも・・・
英語が得意とはいっても、せいぜいこのへんまでしか伸びないよ。
その国語の点数やと多分受験者のなかでトップクラスくらいじゃないかな?
得意科目を伸ばす方向で計画していた生徒からすればショックだったでしょう。
じゃあ今から何をすればいいですか?
数学と物理の基本問題をしっかり取りきることじゃない?
マーク模試の結果をみても数学と物理は基礎力がまだまだ怪しいのは目に見えていました。
苦手なので伸びないとあきらめていた彼女でしたが、基礎力さえ固めればセンターでも2次でも伸びしろはあると判断しました。
そこで私たちが出した結論は「2次試験で合格者の殆どが解ける”標準”問題を取りこぼさないための勉強」でした。
京大の2次試験なんかでは、もしも数学が強烈に難しい年であれば数学が苦手でもごまかせます。しかし簡単な年ほど標準レベルの人が得点をしっかり積んでくるので、苦手な人はここで大きく差をつけられてしまいます。
以後、彼女は過去問のなかでも標準問題のみを徹底的に演習。
・・・
結果、彼女は合格。
運も味方しました。数学が歴史的に簡単な年だったのです。
基本、標準問題が多かったためしっかりそこで得点を積めたというわけです。
で、合格後の得点開示で出てきた点数が我々のシュミレーション通り。
彼女はその相談後、言われた通り学習時間をほとんどを数学と物理に費やしたそうです。
あくまで彼女の能力と努力があっての結果ですが、作戦通りとはこのことを言うのでしょう。
④ 現状分析を行うためのツール
①模試
模試はその得点から様々なことがわかります。まずは自分の位置を偏差値や判定で理解できます。
「結果が悪いに決まっているから受けない」とか言ってしまう「頭がお花畑」な生徒に出会いますが、受けなければどれくらい悪いのかもわかりません。
同じE判定でも「限りなくDに近いE」と「限りなくFに近いE」では全く違うのですよ。なんか本のタイトルみたいですが(笑)
「E判定からの大逆転」という言葉をよく耳にしますが、どっちのEからなのか言わなくてもわかりますよね?
あと、継続的に同じ模試を受けていれば成績の推移がわかるのが模試の模試最大のメリット。
たとえ判定や偏差値が変わらなくても、英語の文法問題だけは正答率があがったとか、数学の関数だけは得点があがったとかがわかるわけです。
模試は回ごとの現状分析を受けてとったリアクションの結果が可視化出来る
あとで書きますが、計画は随時修正していく必要があります。やったら必ず成果が出るわけではありません。
勉強法を間違えれば時間だけ無駄にして結果につながらないなんてことは多々ありますし、能力によって習得に時間がかかるには言うまでもありません。
「悪いから受けない」ではリアクションのとりようがないし、何より自分のやっている勉強があっているかどうかもわからないのです。
そういう意味で問題形式や難易度が自分の求めているのものと多少ずれていても模試は学習計画においては重要といえます。
模試の後は見直し(分析)を徹底してやる。これだけで学年順位は驚くほど上がりました。しかしこれは間違えた問題がどうのこうのというのは正直そこまで重要ではないです。ここまでの勉強の成果がどう出てくるかを見るのが何よりも重要なのです。
この模試という自分では動かせないイベントがあるからこそ計画は練りやすいですし、模試の見直し(分析)は本当に重要です。単に答えが何かを見直すのではなく、自らの学習計画をしっかり考えるために重要というわけです。
模試の問題は入試問題とは別物
②過去問
これは最強の現状把握ツールです。
これで合格点が取れるかどうかが一番わかりやすいのです。
またそこから何が自分に足りていないかもわかります。
ただし注意が必要で、過去問は模試とちがって未修単元が出題されています。
未修単元が残っているようでは当然合格点はとれません。
そういう意味ではある一定レベルまで学習が進んだ人のみが使えるツールではあります。
そのため過去問演習が遅れ、自らの現状に気がついたときにはとき既に遅しの状態になりかねません。
出来ない状態でやり込むのはすすめませんが、では既修範囲なら解けるのか、そんなレベルのどんな問題が出るのか、つまり敵を知らなければ自分の現状など捉えることができるはずがないというわけです。
過去問演習については以下の記事で詳しく書いていますのでどうぞ。