【暗記しない英文法】英文法を丸暗記している人ができないこと

そいる塾長
そいる塾長

どうも、そいる塾長です。

英文法は暗記するんじゃなくて理解する。「丸暗記ではなく理解を伴う暗記を」というのは数学~社会科まで全科目に共通する私の指導の根本理念。特に英語、そして英文法に関しては丸暗記に頼る人が多くそれが英語が伸びない原因をつくっていることも。ということで今回はそんな丸暗記に頼っている人あるあるを書いてみますね!受動態の簡単な文法を例に解説しますんで、高校生だけでなく小・中学生のみなさんにもぜひとも読んでほしい!という内容になっております。

英文法を丸暗記している人ができないこと

ネクステを3周したのにセンター第2問が解けない。

いくら単語を頑張っても英作文や長文読解ができるようにならない…。

そんなあなたにチェックしてほしい、英文法丸暗記組が絶対できない次のパターン。

今から説明する英文法を高校生で知らない、理解できない人はいないでしょう。ですが問題はそこではありません。問題はそれを教えてもらわないとできない、習っていないからできないといってしまう子どもたちの存在です。

その典型例を一つ上げて今回は説明しますね。

受動態の進行形を教えてもらわないとできない人

例えば次の文。

This cake is made by  my mother.

受動態の基本例文ですね。ちなみに東書の教科書において受動態は中3で最初に学ぶ英文法。

私は中学生に受動態を指導するとき、「これを進行形(相)になおしてごらん」とよく言います。高校生ではなくあえて中学生に言います。

ここでこの文章を現在進行形(相)にできない子は”丸暗記型”の危険性ありですね。

生徒
生徒

せんせ~い、中学生は受動態の現在進行形(相)なんて習わないですけどぉ~?

たしかにそうですね。ですが「これを習ってないからできない」と言っている時点で英文法を理解しているのではなく、単に例文を丸暗記しているだけで雰囲気で英文を書いている危険性があるということです。

例文暗記がいけないのではありません。私も例文暗記を推奨します。問題はその例文暗記がアウトプットできる知識となっていない可能性がある点。

雰囲気だろうが何だろうが問題解けたり話せたりすりゃいいやって人はいいんですがね。

ちなみに今回の受動態の進行形(相)。これが難しいと感じる高校生はほぼいないと思います。それくらい単純なルールしかないです。

今回お話ししたいのはこの「受動態の進行形(相)」を理解してもらいたいという内容ではないので悪しからず。

理解を伴う暗記のメリットと丸暗記のデメリット

これを中学生が習っていないのに解けるということは他の人に比べて勉強の負担が小さくて済むということです。暗記にかける時間、リソースを節約できます。

これは単に受動態の進行形(相)を理解できるかという問題ではありません。英文法全体に関する話ですし、勉強全体にかかわる話。

勉強をいかに効率よく回すか、そしてその空いた時間をほかのこと(勉強だろうが勉強じゃなかろうが)は中高生にとってとても大事なことだと思うんです。

以前こんな記事を書きました。

真摯な姿勢で一つのトピックに向き合い、時間をかけてじっくり考え取り組むことは大切です。

しかし受動態の進行形(相)を丸暗記するために時間をかけることを、真摯な姿勢で向き合っているとも、じっくり取り組んでいるむとも言えません。

それは単に時間の無駄。

そんなことをしている暇があったらまず理解。そして時間をかけて音読して無意識レベルでアウトプットできるようにしましょう。

この方が圧倒的に使える(アウトプットできる)ようになりますし、何より忘れない。そして他のものにも効果をもたらします。

これぞ一般化の考え方です。

一般化については以前こちらの記事で書きました。

順番が逆なんですよ。暗記してからでなくて理解してから。

もちろん逆でないと難しいこともあります。ですが今回の受動態の進行形(相)なんてものを暗記してからというのはどう考えてももったいない。英文法の中でも屈指の簡単な知識です。

既に頭の中に持っている手ごまだけで完結できる内容まで、新規事項として新たな収納スペースをいちいち設けていったらそりゃどこかでパンクしますよ。

生徒
生徒

中学の頃は英語が得意だったんですけど…

こういうかわいそうなタイプの典型です(かくいう私がそうだったんですがね。)

現在の中学英語は他科目に比べ考えることを求めず、「慣れ」「暗記」というキーワードで指導します。だからこそ、丸暗記で点数がとれてしまう。

英検もそう。わかっていなくても解ける。今の英検3級や準2級くらいなら何の英語力の担保にもならないというのはそのためです。

それが高校に入ると途端に対応できなくなる。高校でも相変わらず先生によっては「慣れ」「暗記」一本でゴリ押ししてくる先生も多い英語業界。言葉は悪いですが英語しかできない人に多いんですよね。

こうなるとその分量に圧倒されるとともに思考力を要求する入試問題に対応できなくなる。

というわけですね。

今”できている”子に「君はできていない」ということの難しさ。教えていたら一瞬で分かるんですけどね。この子高校で詰むなって子。でも本人も保護者さんも学校の点数が取れているんだから大丈夫ってなってしまうわけです。

それがもどかしい。

矯正するなら早いうちに。体に染み込んでしまったクセはなかなか抜けません。ぜひ今回の記事を読んでいただき中学生のみなさんには早めに動いていただきたいところ。

ルールは3つ?

閑話休題

では実際に受動態の進行形(相)についてみていきましょう。

①受動態:be動詞+過去分詞 = ~される

中3で受動態にするルールはこんな感じで習いますよね。

そもそもここで「過去分詞ってなんだ?」とかならない人もよろしくないと思っているのですが長くなるので今日は割愛(笑)とりあえずここはスッと行きましょう。

では今回は受動態の進行形(相)ですよね。もしもこれを上のような公式のように教えてもらうとしたら…

②受動態の進行形(相):be動詞+being+過去分詞 = ~されている

これが高校で習う受動態の進行形。「being」入るだけなんで普通パッと見た瞬間暗記できてしまうはずです。

何度も言いますが今回の記事はこれを暗記できない人に向けて書いているわけではありません。あくまでこの”公式”を教えてもらえないと出来ない人に向けてです。

なぜこれを高校生にもなって新たな”公式”として暗記しようとするのかなと。

だってもうすでに中3の時点で頭のなかに受動態の”公式”に加え進行形(相)の”公式”も入っているはず。

③進行形(相):be動詞+~ing=~している

中1で習いますね。

分詞の説明なしに現在形がらみだからといって、いきなり中1のあの頃に教えること自体が”公式”丸暗記推奨教育の象徴だと思うんですが…、今回はその話も割愛(笑)

とりあえず今回言いたいのはこの進行形(相)の”公式”と受動態の”公式”を組み合わせて考えれば習っていなくても受動態の進行形(相)なんて誰でも書けるはずだ!ということです。

ここまで長かったですね…申し訳ありません。やっと本題です。

まだ習っていないのに受動態の進行形(相)を書ける人の頭の中

ではできる子はこの情報をどう処理しているか。

使うのは次の二つのみ。

  1. 進行形(相):be動詞+~ing=~している
  2. 受動態:主語+be動詞+過去分詞 = ~される

簡単に言えば新たに受動態の進行形(相)のルールをおぼえるというより、中1と中3で学んだ知識を活用して(組み合わせて)新たな受動態の進行形のルールを自分で考え出すということです。

その思考を図式化するとこうですね。

え?これだけ?

そうです。めちゃめちゃ簡単な話です。こんな簡単なものを何えらそうに長々とブログで書いているんだと思われるかもしれません。

だからこそ…

なんで教えてもらわないとできないんですか?というお話。

文法のルールに忠実にふたつのルールを組み合わせるだけの話です。

教えてもらわないとできない人の頭の中

こんな風に説明すると…

生徒
生徒

be動詞にまさか~ingが付くとは思わなかった

という人がいます。

では逆に聞きたい。be動詞というように「動詞」といっているのになぜbe動詞は”例外”だと認識したのですか?

これぞまさに一般化と例外に対する考え方がおかしくなっている証拠。

まずルール(一般化されたもの)があってそれに当てはまらない例外を暗記するのが正しい姿勢
新出のもの(未知なるもの)をまず例外として処理するのは勉強ができない子の典型例

これにはbe動詞を理解していないというのが大きな要因となっている可能性があります。

思考のスタート地点の知識が欠如しているパターン

だからかもしれませんが、できない子に特有なのは勝手に物事を難しくする。3つしかないルールをテスト中勝手に7個くらいに増やしてきたり。

一般化ができないからまず例外として物事をとらえている気がします。

そして、もう一つのパターンが…

亜鉛先輩
生徒

え~、そんなんでええの~!?

「それやったらできたわ系」ですね。しかし自分で考えてみろって言った結果がこれです。

それならできたというわけですが、じゃあなぜやらなかったのか?

勉強が受け身なんですよ(受動態の話だけに笑)

実験してみようとしない。「もしかしてこうかな?」っていう思考がない。だから与えられたものを全部疑うことなく丸暗記する。自分の思考に沿うものかどうかその違和感すら感じることなく取り込むから消化不良を起こすんです。

この考え方は応用が利く

英文法においてこの考え方は応用が利きます。

中学生なら例えば受動態の疑問文とか否定文とかいちいちテキストには進出の情報のように載っています。まさかあれをまた新たに覚えてませんよね?

ただのbe動詞の文ですよ?「This is a pen 」の疑問文・否定文が作れるなら一緒です。

高校生なら「もし水がなければ~」のあの例文。全部覚えてませんよね?

  • If it were not for water …
  • If it had not been for water…
  • Had it not been for water…

最初の基本文の時制を変えたらどうなるか、省略による倒置が起きたらどうなるか…。これも一般化されたルールに従っています。丸暗記する必要なんてないんですよね。

この基本文を暗記することによって、倒置のルールを暗記しようとするとかなら良いんですが。

あと英語だけじゃないですよね。数学の公式や理科の計算も同じ。

加法定理を暗記したら済む話。単位円を書いたら済む話。それを別々の事象のように例外として処理するから一般化できず理解につながらない。

単位量当たり、割合の話が理解できたら高校化学でも応用がきく。なのにそこを理解することなくいつまでたっても「くもわ」「はじき」なんなら圧力は「力あめ」とかやっていると困ったことになる。

「同じものなんだ」と気が付く感覚を磨きましょう。有機的に知識をつなげることが大切。そのためには「なんでだろう?」という視点がとても大事になるんですよね。

先ほどお茶を濁した「過去分詞」。中3の教科書でいうと次の単元である現在完了でまた過去分詞が出てくることに対する違和感を持ってほしい。

過去分詞という名称に違和感を持ってほしい。

”違和感”を思考するきっかけにしてほしいのです。

そして思考するための道具をしっかり使いこなせるように。スタートするための知識を暗記しなければ思考はできません。この辺はできる限りその場で暗記するというよりも、使いこなすうえで体の一部になるような感じで染み込ませてほしい。そうしないとなかなか思考するための道具にはならんですからね。

今日はこのへんで。